息吹き返すかコンパクトカメラ――今年に入り好調維持【道越一郎のカットエッジ】

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2025年03月23日 18:00  BCN+R

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コンパクトカメラで久々の新製品に人気が集まるCP+2025キヤノンブース
 レンズ交換型カメラが息切れし始めた。昨年夏以降前年割れ基調になっている。販売金額で市場の6割以上を占めるレンズ交換型。単価が高く収益への貢献度も大きい。カメラメーカー各社もそろって注力している。特にコロナ禍終息以降、市場回復の原動力として機能してきた。しかし、コロナ明け後の反動需要がほぼ一巡。折からのインフレに伴う単価上昇が購買意欲の減退を招いているのも一因だ。

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 一方、今伸びているのはコンパクトカメラ。昨年11月以降、販売台数前年比の2桁増が続いている。2月現在で、コンパクトカメラの販売構成比は、販売台数が71.0%、販売金額が37.8%。依然として台数では主流のカメラだ。高価で大きく重いレンズ交換型より、安価で小さく軽く、そこそこの画質で写真が撮れるカメラを求める声は根強い。ところが、メーカー各社は、カメラ機能の進化が著しいスマートフォン(スマホ)にコンパクトでは戦えないと判断。白旗を掲げ、コンパクトの製品ラインアップを極端に絞り込んだ。市場に残ったのは、ほとんど高級機ばかり。低価格コンパクトのラインアップは消えかかっていた。

 そこにはまったのが、コダックなど安価なカメラを得意とするメーカー。1〜2万円台の手ごろなコンパクトカメラでシェアを伸ばしている。コダックは、1月、2月と20%超の販売台数シェアを獲得しトップを走っている。売れ筋モデルは「PIXPRO FZ55」。オーソドックスなコンパクトカメラで価格(税抜き、以下同)も2万円前後と安い。昨年春ごろまでは、価格が1万円台半ばだったこともあり、メーカーシェアも一時36%を超える勢いだった。しかし単価の上昇とともに失速。夏以降はキヤノンの攻勢に遭って大幅にシェアを失っていた。

 そのキヤノンは、7月にトップシェアを奪還。12月まで維持した。最も貢献したのは2016年発売のロングセラー「IXY 650」。これもオーソドックスなコンパクトカメラだ。2月に2位に浮上したのが富士フイルム。チェキフィルムが使える「instax mini Evo」が強い。4位のケンコートキナーは、1万円未満の「KC-03TY」を筆頭に低価格モデルでシェアを伸ばしている。2月に久々の新製品「LUMIX TZ99」を発売したパナソニックは、8位から5位に浮上。GRのリコーをわずかながら上回った。

 2月27日から3月2日、パシフィコ横浜で開催されたカメラの展示会、CP+2025でも、個性派コンパクトが人気だった。例えばキヤノンが4月に発売する「PowerShot V1」の試用コーナーには長蛇の列。オーソドックスなスタイルながらVlogを意識した製品。同社久々のコンパクトカメラの新製品ということもあり、期待が高まっているようだ。マイク部にモフモフを備えたその姿は、ソニーの「VLOGCAM ZV-1」を想起させる風貌。果たして2匹目のドジョウを捕まえられるかに注目したい。ニコンも2月に発売したばかりの「COOLPIX P1100」が人気を集めていた。コンパクトとは名ばかりの大ぶりなレンズ一体型カメラ。最大の特徴は35mmカメラ相当で24mm〜3000mmのズームレンズ。なんと光学125倍ズームを実現する超ド級のカメラだ。こうした特徴が明確な製品は、スマホとの差別化も容易。コンパクトカメラのさらなる市場活性化にも寄与しそうだ。(BCN・道越一郎)

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  • 4☓5インチ判(10☓12センチ)の大型機を衝動買いしちゃったオイラから見れば、35ミリ一眼レフはコンパクトカメラに見えます
    • イイネ!41
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