「ソフトウェア開発インフラが整ってない」――“赤裸々すぎ”と話題のホンダテックブログ、突然の記事削除 「逆に印象悪い」の声も

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2025年05月21日 07:31  ITmedia NEWS

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削除されたホンダのテックブログ記事(出典:web.archive.org、以下同)

 「ソフトウェア企業でふつうに存在したインフラが存在しない」――本田技研工業(ホンダ)が5月19日に同社のテックブログで公開した記事「ソフトウェアエンジニアがHondaに転職して感じたこと4選」が話題だ。IT業界から自動車業界に転職し、ホンダに務めて2年目という社員がつづる赤裸々な内容が「公式ブログらしからぬギリギリな内容だ」とXなどで注目を浴びたが、20日になって記事を削除。「逆に印象が悪い」などと波紋を呼んでいる。


【画像】自動車業界へ転職後の体験談をつづったブログ記事(現在は削除済)


 記事中では、AWSを活用して車載システムやアプリ向けのWebサービス・サーバ開発に携わる同社のソフトウェアエンジニアが、自身の経験をもとに、転職して感じたことをつづっていた。書き手はセキュリティ対策ソフトのパッケージベンダーから、自動車業界に転職して8年目の社員で、ホンダでの勤務は2年になるという。


 “4選”のうち、最初に挙げられていたのは「(ソフトウェア企業と比べて)ソフトウェアの仕事の経験がある人が少ない」こと。「われわれは自動車会社なので当たり前のことではあるのですが……」と前置きしつつ、「ソフトウェアの仕事をするときには、非常に手間がかかる」と率直につづっていた。


 2点目は「ソフトウェア開発のインフラが整っていない」こと。かつて勤務していたベンダーでは、「最高レベルのデスクトップPCと豊富なコンピュータリソースを自由に使えた」が、自動車業界への転職後は「仕事で使うのはノートPCだけ」になったと述べていた。


 業界の実態を紹介するとして、ホンダではない前職の自動車会社で、Androidを用いたカーナビを内製開発した際の経験も紹介。「ノートPCでAndroidをビルドすることはかなりのストレス」「インフラ構築にお金を使うために、ソフトウェアに詳しくない他部署の説得が必要だった」と、非IT企業への転職で感じたリアルな課題を打ち明けていた。


 3点目では「能力が高い人が多い」と業界を評価。「日本における自動車会社は、新卒・中途採用のマーケットで、優秀な従業員を採用し続けているというのも事実でしょう」と述べた上で、説明を行うことで一気に仕事がスムーズに進み始めるといった場面もあり、「自動車会社の従業員の底力を感じた」としていた。


 4点目では「労働組合の正体が分かる」という感想がつづられていた。給与やボーナスの交渉を担ってくれることをメリットとして挙げつつ、「選挙の際には労働組合関連の市議、県議、国会議員の応援などを求められる」との言及もあった。末尾では、最近の自動車がさまざまなソフトウェアを活用していることに触れ、「自動車会社のソフトウェアエンジニアとして、少しずつソフトウェアのことが分かる人を増やしていこうとしています」との意気込みが語られていた。


 SNS上では、こうした内容がいわゆるJTCの働き方やカルチャーをエンジニア視点で捉えたものとして注目され、はてなブックマークでは500を超えるブックマークを集めていた。


 記事中で語られるソフトウェア開発環境については「これを見て入りたいと思うソフトウェアエンジニアはいるのか」「ホンダクラスの企業でこれはありえない」といった驚きや批判の声も寄せられていた。こうした反響を受け、企業イメージへの影響を懸念して削除に至ったとの推測もある。


 一方で、エンジニア目線での率直な内情を企業ブログで明かしたことについて「懐が広い」「嫌みではなく、赤裸々で良い記事だと思った」と削除を惜しむ声も。中には「削除する方が、かえって印象が悪い」といった、ホンダの対応を批判する意見もある。


 ホンダのテックブログは4月25日に開設。同社のデジタルサービス ソフトウェア内製化チームとデジタルプラットフォーム開発チームが、使用技術やチーム運営の知見、イベント情報などを発信していくとしている。



このニュースに関するつぶやき

  • まーた「飛ばし記事」だよ。 ソフトウェアと一括りに仰るが、詳細に分けるとHONDA程の大手なら幾つ有るか解らん。その一部署にあって四の五の言われましても
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