最高裁=東京都千代田区 難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者から依頼を受け、薬物を投与して患者を殺害するなどしたとして、嘱託殺人や殺人の罪に問われた医師大久保愉一被告(47)について、最高裁第2小法廷(高須順一裁判長)は10日付で上告を棄却する決定をした。4人の裁判官全員一致の意見。懲役18年とした一、二審判決が確定する。
一、二審判決によると、大久保被告は元医師山本直樹被告(47)と共謀の上、2019年11月、SNSで知り合った京都市のALS患者の女性=当時(51)=の依頼を受けて薬物を投与し、死亡させた。11年3月には東京都江戸川区のアパートで山本被告の父=同(77)=を何らかの方法で殺害した。
弁護側は患者の選択した「穏やかな死」を実現するための行為で、刑事責任を問うことは個人の尊厳を定めた憲法に反すると無罪を主張したが、一審京都地裁、二審大阪高裁とも「社会的相当性は認められない」などとして退けた。