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Samsung Electronics(サムスン電子)は7月9日、折りたたみスマートフォン「Galaxy Z Fold7」を発表した。国内版のSIMフリーモデルは7月31日に発売となる。Samsungオンラインショップ価格は256GBが26万5750円(税込み、以下同)、512GBが28万3750円、1TBが32万9320円となっている。
この記事では、先代の「Galaxy Z Fold6」から何が進化したのか、機能や体験の内容を交えて解説する。
●ボディーの薄さを徹底重視 Ultraクオリティーに
Galaxy Sシリーズの最高峰モデルであるUltraが折りたたみスマートフォンになったとも言い換えられるほどに、機能性やそれにより得られる体験がUltraクオリティーのデバイスといえる。
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素材と構造を1から見直した結果、前作Z Fold6から2.4gの薄型・軽量化に成功。バータイプのスマートフォンと比べて圧倒的な大画面を備えているにもかかわらず、バータイプのスマートフォンよりも軽量という究極のハードウェアスペックになっている。
いざ手にすると、サムスンがアピールする「革新的に薄い」という言葉がしみじみと刺さる。Z Fold史上最も薄い。開いた状態では競合他社のタブレットである「iPad Pro」よりも薄いという。また、閉じた状態でも手にするとバータイプのスマートフォンのようななじみがあり、グリップ力も感じられる。
薄く軽くなりながらも、耐久性も担保している。薄い筐体に強固なヒンジを搭載すべく素材や構造を刷新し、アーマーグレックスヒンジと新たにチタン層を追加し、新素材の採用など構造の見直しにより薄さと耐久性の2つを両立しているという。
ここで、ボディーサイズが数値的にどう変化したのかを記載しておくと、オープン時は約132.6×153.5×5.6mmから約143.2×158.4×4.2mmへと大型化したが、厚みは5.6mmから4.2mmと薄くなっている。一方、クローズ時は横幅が68.1mmから72.8mmへ増加し、高さは153.5mmから158.4mmへ拡大、厚みは12.1mmから8.9mmへと薄くなった。重量は約239gから約215gへ24g軽量化されている。
●アウトカメラもウルトラ級に向上 一方で犠牲になったのは内側の「アンダーディスプレイカメラ」
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カメラもウルトラ級の性能になった。特にZ Foldシリーズユーザーからは「Galaxy SのUltraシリーズと同じ高画素のカメラを搭載してほしい」という要望があったことから、Z Fold7ではシリーズで初めて2億画素カメラを搭載し、ついにS Ultraシリーズと同等のカメラ性能を実現した。従来のZ Fold6と比べると4倍鮮明で44%大きくなったセンサーにより、さらに明るくクリアな撮影が可能だという。
超広角カメラはオートフォーカスを採用し、ピクセルサイズを大きくしたことで、風景や集合写真など超広角レンズを使った撮影でも、手ブレを抑えて明るい写真が撮れるようになった。超広角でのマクロ撮影にも対応した。
インナーディスプレイのカメラが1000万画素にアップグレードしたが、これに伴う仕様の変更もあった。Z Fold6はディスプレイの中にカメラを埋め込むアンダーディスプレイカメラを採用していたが、Z Fold7ではパンチホールに変更されている。
Z Fold6のアンダーディスプレイカメラはコンテンツの閲覧を阻害しづらいメリットがある反面、カメラの高画素化をしづらいデメリットがあるという。そこで、画素数向上を優先してアンダーディスプレイカメラを廃止し、パンチホールを設けた上でセンサーを1000万画素にアップグレードした。
画素数の向上だけでなく、最大視野角も100度に向上しており、フレームから被写体が外れずに集合写真などを撮影できるようになった。
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●インナーディスプレイは7.6型→8.0型へ大型化 折り目は目立たなくなったのか
Z Fold7のディスプレイは、Z Fold6と比べてサイズが拡大された。カバーディスプレイは6.2型から6.5型へ、インナーディスプレイは7.6型から8.0型へと、それぞれ大型化している。これにより、閉じた状態でもより広い画面での操作が可能になり、開いた際の表示領域もさらに広がった。インナーディスプレイの折り目は完全になくなったワケではないが、それでもZ Fold6よりは目立ちづらくなった。
最大輝度はZ Fold6と同様に2600ニトを維持しており、屋外でも視認しやすい性能を確保している。リフレッシュレートも従来と同じ1〜120Hzの可変式で、滑らかな表示と電力効率を両立している。表示性能の数値自体に大きな変化はないが、画面サイズの拡大と薄型化の両立によって、実際の使用感や没入感は向上しているといえる。全体として、Z Fold7は視認性や操作性を高めつつ、携帯性にも配慮されたディスプレイ設計へと進化した。
●Z Fold7はOne UI 8を搭載 画像・動画のAI編集がより直感的に
AI編集もZ Foldシリーズ史上最も強化されている。Z Fold7では2025年7月時点で最新のOSであるOne UI 8を搭載。Android 16をベースにしており、AI機能をより直感的に使用できるそうだ。
画像編集については、背景に写り込んでしまった人をGalaxyの生成AI編集によって除去できる。かなりほそぼそと入り組んだ場所では、こうした編集処理が難しいとされるが、Z Fold7では自然に違和感なく修正できるという。「元の画像を表示」というボタンも画面に表示されるため、タップすれば編集前と後を見比べながら快適に編集できる。
また、生成や編集は被写体のみならず、影まで自動的に認識してきれいに消すことができるのも1つの特徴だ。iPhoneのクリーンアップツールで消した結果よりも、Z Fold7では違和感なく自然に消せるシーンもあるそうだ。消しゴム機能は各メーカーが力を入れだしており、Xiaomiなどの中国メーカーも搭載したことで、特にグローバル端末機能の1つとして定着化が進む。
Z Fold7で撮影した動画のノイズを除去することも可能だ。屋外における風やエアコンのノイズといった不愉快な音を除去できる。従来の生成AI編集でも同じことはできたが、AIアイコンをタップして自分で手動で編集を行う手間があったのに対し、Z Fold7では「全く消せる」ボタンが表示され、編集に進まずともワンタップでノイズを一気に除去できるようになった。
さらに、従来はギャラリーの動画のみが対象のアプリだったが、Z Fold7ではボイスレコーダーや通話の録音からのノイズを消すことができるように進化した。
●画面分割でAIとのやりとりがはかどる Geminiとの連携も強化し、スムーズに困りごと解決へ
Galaxy AIの機能は、One UI 8によってさらに使いやすくなったという。例えば、Webブラウザでどのスニーカーを買うか迷っているとき、自分のランニングの実力に合った最適なシューズを選びたいと思ったとする。その際、サムスンのデバイスで日頃記録しているランニングのデータをAIに提示し、その情報をもとに最適な一足を提案してもらう――という使い方が可能になった。
サイドキーを長押しするとAIアシスタント「Gemini」が起動する。「右側の画面は最新のランニング記録なんだけど、自分のペース記録を参考にして、左側のシューズの中から自分の実力に合った商品を2つお勧めして」と指示すると、AIが次のように応答する。
「ランニングの記録を参考にシューズを選びたいということですね。左側のシューズは『オン クラウドストラトス 3』と『オン クラウドフライヤー』ですね。クラウドストラトス 3はクッション性と反発性のバランスが良く、長距離ランやマラソンに適しています。一方、クラウドフライヤーは軽量でクッション性が高く、スピードも求めるランナーに向いています。あなたの記録を見ると、1kmあたり7分19秒のペースで3.5kmを走っているので、クラウドストラトス 3の方がより合っているかもしれません。もう一足としては、トレーニングや短い距離のレースにぴったりなクラウドフライヤーをお勧めします」
さらに、「教えてくれた内容をSamsung Notesアプリに保存して」と指示すれば、AIが「はい、おすすめのランニングシューズについての情報をSamsung Notesに保存しました」と返答する。
つまり、AIが現在表示中の画面を認識し、そこから情報を読み取ってユーザーに最適な提案を行えるようになったことに加え、GeminiとSamsung Notesアプリがシームレスに連携することで、アプリをまたいだ指示でもスムーズに操作できるようになった。
実際にAIから提案されたシューズについて、もう少し詳しく知りたいと思ったとき、参照するWebサイトが全て英語で、情報量も多いというケースは十分に考えられる。そうした場面では、Galaxy AIのWebアシスト機能に加えて、ポップアップ表示や画面分割機能を活用することで、原文と生成された情報を見比べながら、快適に調べものができる。
このように、ただAIに質問して答えを得るだけでなく、「いま目の前にある画面を、まるで誰かと一緒に見ながら会話しているような体験」が、Galaxy Z Fold7では実現している。One UI 8によって最適化されたGalaxy AIの機能と、Z Fold7の大画面が組み合わさることで、ユーザーは自然で心地よい形でAIとやりとりをしながら、日々の困りごとや仕事上の課題などをスムーズに解決できる。
●スペックがどのように変化したのか
最後に、プロセッサなどのスペックを比較する。
Z Fold7はプロセッサにSnapdragon 8 Elite for Galaxyを搭載し、Z Fold6のSnapdragon 8 Gen3 for Galaxyから性能が向上した。メモリはZ Fold7で12GBと16GBの2種類が用意され、Z Fold6の12GBのみから選択肢が増えた。
無線LAN規格はWi-Fi 6EからWi-Fi 7へアップグレードされ、プリインストールOSもAndroid 14からAndroid 16へ更新された。全体として、Z Fold7は画面サイズの大型化やカメラ性能の向上、軽量化と薄型化が図られている。SIMはどちらもnano/eSIMに対応する。薄型化に伴いnanoSIMスロットが削られることはなかった。
●Z Fold7の特徴をおさらい:薄さと耐久性の両立、AIの機能とOne UI 8を折りたたみスマホに最適化
このように、Z Fold7はかつてない薄さと軽さを誇りながらも、新しいヒンジなどの内部構造により、耐久性を担保している。カメラ性能においては、折りたたみスマートフォンでありながら、サムスンの最高峰である2億画素のカメラを搭載し、サムスンはUltra級の撮影体験を提供するとアピールする。
ソフトウェアに関しては、AIの機能とOne UI 8がより密接に連携し、折りたたみスマートフォンに最適化されたことで、Z Foldシリーズの歴代モデル以上に直感的な操作が可能になった。国内ではGalaxyの他にGoogle Pixelも折りたたみスマートフォンを展開しており、残るPixelがどう対抗するのかも今後焦点となりそうだ。
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