平野啓一郎氏の同名小説を石井裕也監督が映画化した『本心』(公開中)で、エンドロールに役名が伏せられた状態で登場する窪田正孝が、劇中のAIの声を担当していたことが公表された。テクノロジーが著しく進化した時代の変化にさまよう主人公・朔也(池松壮亮)に、新たな時代の無慈悲な一面を感情ゼロで突きつけ、“悪気なく”朔也を追い詰めていく。
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豪雨で氾濫する川べりにいた母を助けようと川に飛び込み、重傷を負って昏睡状態に陥っていた主人公・朔也が目覚めると、母は亡くなっており、勤務先の工場もロボット化の波で閉鎖されていた。朔也は、幼なじみの岸谷(水上恒司)の紹介で、「リアル・アバター」の仕事に就く。
「リアル・アバター」は、遠隔で操作する依頼者に体を丸ごと貸し出し、指示通りに動く仕事。自身のカメラ付きゴーグルと依頼者のヘッドセットをつなぎ、擬似体験を届けることで、依頼主はアバターの行動を自身のことのように体験できる。そのリアル・アバターたちを管理しているのが、人間ではなく“AI”なのだ。劇中で窪田演じるAIは、依頼主からの心無いひとことや評価を、“悪気なく”感情ゼロ、明るい一定のトーンで朔也に突きつけ、一方的に追い詰めていく。
先日行われた舞台あいさつのQ&Aで、観客から窪田の出演について問われた池松は、「撮影時はスタッフの声を相手に演じていましたが、映画が完成したらまさかの窪田さんの声で…」と池松自身も驚いたことを明かしていた。『本心』の原作者・平野啓一郎氏が書いた『ある男』を映画化した作品に出演し、石井監督が監督した『愛にイナズマ』では主演を務めた縁で、今回の窪田のサプライズ出演が決まったという。