東京都文京区の東京メトロ南北線東大前駅で東京大3年の男子学生(20)が切り付けられた事件で、逮捕された無職戸田佳孝容疑者(43)が「親に仕送りを求めたが、もらえなかった」と供述していることが17日、捜査関係者への取材で分かった。
同容疑者は調べに「一応、自営業だ」と説明したが、定期的に収入を得ている形跡はなかったという。警視庁は生活困窮が事件の引き金になったとみている。
捜査関係者によると、同容疑者は「親からの仕送りがなかった」「金を求めても、もらえなかった」と供述。「生活が立ち行かなくなったことも事件を起こした理由の一つだ」とも話した。
同容疑者は以前、親から毎月、仕送りを受けていた。しばらく前に父親が死亡し、仕送りはなくなったが、生活が困窮するたびに母親に金を無心。ただ、事件前は要求を断られていたという。
同容疑者は名古屋市出身で、母親は同市内で1人で暮らしている。近所の女性は、戸田容疑者の父親と祖母について「同じ頃に亡くなったと聞いた」と話す。幼少期の同容疑者を知る別の女性は「親子仲はいい印象だった。(事件を知って)びっくりした」と語った。
事件は7日夜に発生。同容疑者は電車に乗ろうとした男子学生を背後から包丁で切り付けた上、車内まで追い掛け、さらに2回ほど襲った。
同容疑者は「中学時代に親から教育虐待を受けた。度が過ぎると子どもがぐれて、罪を犯すと世間に示したかった」と供述。男子学生と面識はなく、無差別に襲撃したとみられている。