高速道路に土砂災害を及ぼす恐れのある道路脇の「危険箇所」が、東日本高速道路(NEXCO東日本)、中日本高速道路(NEXCO中日本)、西日本高速道路(NEXCO西日本)の管理する道路で計290カ所あることが10日、会計検査院の調査で分かった。防災への対応にも不備があったとして、検査院は3社に改善を求めた。
3社がそれぞれ策定した「災害点検要領」は、土砂崩れが起きる恐れのある道路脇の斜面など「道路区域外の危険箇所」を選定し、土地を管理する自治体などと協議して防災対策を取るように努めると定めている。
検査院は、3社の計92の道路管理事務所の危険箇所を調べるよう各社に要請。その結果、都道府県が指定する「土砂災害警戒区域」と重複する高速道路では、災害リスクのある道路脇の箇所が約3000カ所あることが分かり、うち290カ所は危険箇所に選定された。
また、72事務所では、危険箇所を把握していながら防災対策に関する協議を実施していなかった。3社は検査院の聞き取りに対し、「防災対策は土地の管理者が実施し、事務所として協議しなくても問題ないという認識だった」などと話したという。
高速道路は交通手段の役割に加え、災害時には住民の避難や救助などに重要なインフラに位置付けられる。通行不能に陥ると、国民生活や経済活動に重大な影響を与える。
3社は「指摘を真摯(しんし)に受け止めている。関係機関と連携を図りながら高速道路の維持管理に努める」などとコメントした。