「自分らしさを大切に」マーティ・フリードマンが語るアイドルのあり方

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2017年02月04日 21:02  おたぽる

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おたぽる

マーティー・フリードマン。

 日本のアイドルの強みとは? 1月9日、芸能プロダクション・ノーメイクの25周年を祝った、所属アイドルの青SHUN学園が主催するアイドルフェス「Zepp D.C.TOKYOで織り成すオーエーオー!!」が行われた。



 ノーメイクは、日本のトップアイドルグループにも人材を輩出している、九州では有力な事務所。その事務所が開催したイベントには、神宿、仮面女子、愛乙女☆DOLL、FES☆TIVEなど今のアイドルシーンには欠かせない16組が集まった。そして、イベント中に設けられたトークセッションでは、なんと日本のアイドルに精通しているマーティ・フリードマン氏と、@JAMの総合プロデューサー橋元恵一氏が登場。日本のアイドルが持つ強みについて、青SHUN学園のプロデューサーで数々のアイドルソングの作詞作曲も手掛けるSHUN氏をプレゼンターに、熱い議論が交わされた。本稿では、その様子をお届けする。



 日本に移住して10年以上になるマーティ氏。日本のポップカルチャーや音楽に興味を持つ中で、アイドルには以前から注目していたと話す。「アイドルの音楽って、日本に住む前から注目していて、普通のポップミュージックと一次元違うと思っていました。普通のポップミュージックは意外とBGMみたいな存在だと思っていたんですけど、アイドルの音楽はいろいろな合いの手が考えられていて、メロディーも普通のポップミュージックとは違うんです。もっと深く楽しめると思って興味深かったので、自分の味をアイドルの音楽に入れたいと思ったんですよ」とマーティ氏は、アイドルの音楽の特徴を語る。



 そんなマーティ氏にSHUN氏が「お客シャンの合いの手やコールを見ていて、どんなことを感じますか?」と問いかけると、「合いの手は日本の文化だと思います。日本の民謡など昔の曲でも合いの手って、あったりするじゃないですか。だから、それはもちろんポップミュージックにも入ってくるけど、アイドルの合いの手は別物だと思います。合いの手がついている音楽を作るのは素晴らしいですね」と答えた。



 こうした独自の音楽を持つ日本のアイドルは、台湾を始め、フランスのJapan Expoなど、海外に行く機会も増えている。海外でも積極的に@JAMのアイドルフェスを行っている、橋元氏にSHUN氏がその様子を聞くと、「年に2回、香港とか台湾とか、上海とか、そういうところで行っています。日本から来てくれるお客さんももちろんいらっしゃるのですが、だいたい2〜3割で、ほとんど現地のお客さんに来ていただいています。ちゃんと海外でライブをしている感じが出ていて、すごく盛り上がっていますよ。特に台湾は熱いですね」とその様子を語った。



 それに対し、SHUN氏はアイドルのどのようなところが評価されるのかとマーティに質問すると、「基本的にアイドルはみんなかわいいから、“かわいい”ということは置いといて欲しい。かわいいだけは全然売れないと思います。基本的にアイドルも音楽の話じゃないですか。音楽の原点は曲ですから、アイドルたちは自分たちのアイデンティティを深く考えてほしい。選曲を大事にしてほしいです。適当に曲を選ぶんじゃなくて、自分たちらしい曲だけ歌おう。“私の気持ちを本当に表している曲”を真剣に選んで欲しいですね。それが一番大事です」とアドバイスを送る。



 これにはSHUN氏も「本当にそうだと思います。楽曲はユニットの個性やカラーを決めるものだと思います」と共感。そして、今回出演しているアイドルたちに「セットリストにもこだわっていますか?」と問いかける。



 すると、Ange☆Reveの渡辺くるみが「ライブのセットリストはけっこう自分たちで決めることが多いのですが、そのときのライブによって雰囲気を変えています。カッコイイ方の後の出演なら1曲目にカッコいい曲を持ってきた方がファンの人にウケがいいと思うし、共演者のことを考えずにAnge☆Reveとして勝負するときは、ライブのコンセプトに合わせた一番自分たちらしい曲にしています」と答えた。



 一方で橋元氏は、ライブについて、「僕はライブを作る立場なので、普段、お客さんと接する場面が多いのですが、ライブをするグループには、しっかり歌って欲しいのと、生歌で歌って欲しいという思いがすごくあります。かぶせもいつ見ても同じ感じになってしまうので、その日のコンディションも含めて、しっかり見せてもらいたいというのがあります」とコメントした。



 そして、いよいよトークショーは終盤へ。最後にSHUN氏は、すべてのアイドルが持つ「どうしたら売れるのか?」という疑問を、マーティ氏にぶつけた。それに答えるマーティ氏。



「売れるかどうかは、まったくわからないんですよ。いくら才能があっても、いくら良い曲があっても、いろいろなほかの要因が大事ですよ。タイミングとか、いろいろな“魔法”が必要です。“魔法”は習うことができないから、とりあえず、いつも言っていることは、“やるんだったら、成功してもしなくても、やる”ということです。成功しなくても、歌っている。そういう、成功するためでなくて、『私は歌う人』というように―僕の場合はギタリストですね―売れなくてもアイデンティティを持つことが大切だと思います。それがないとアイドル活動は、ハード過ぎて、絶対無理だと思います。トップアイドルは、疲れたなんて一切言わないです」



 マーティ氏によれば、ももいろクローバーZと共演したとき、自身は2曲ほどでも大変だと思っていたけれど、彼女たちは30曲くらい歌っていたのにまったく疲れた様子を見せておらず、普通の若い女の子とはまったく違うと感じ感動したそうだ。だからこそ、アイドルの一日は、ライブやレコーディング、ダンスレッスンなど、相当ハードだと思うけれど、それに対して、「疲れた」とは一切考えないで欲しいと話すマーティ氏。



 他方、橋元氏は「頑張っている子もいるので、逆に運営がしっかりしなければならないですね。休みの日に大事なお金と時間を使ってライブにお越しいただいているファンのみなさまがいらっしゃるので、運営が頑張ってファンと一緒に上っていける階段をちゃんと設定してあげないと、アイドルも先が見えなくて辛くなってしまうと思います。しっかりと運営がお客さんと意識を共有することが大切ではないでしょうか」と、アイドルがモチベーションを保てる環境を作る必要性を語った。



 日本のアイドルのすごさ、そしてそのアイドルたちを支える運営の意気込みが存分に語られた今回のトークセッション。最後にマーティは、「アイドルのファンには、『この子が好き』とか個人差があって、何で人それぞれの好みがあるかと言うと、そのアイドルさんにアイデンティティやその子の雰囲気、その子らしさがあるからです。だから、みんなそれぞれの自分らしさを再発見しながら磨いていけば、自分たちのファンは本当に自分のものになります。みんながそうしていけば、さらにポップな世界になって、アイドルをするのも楽しくなると思います。だから、自分らしさを大切にしましょう」とアイドルたちにエールを送った。



 今回のイベントに出演したアイドルたちも、1組1組の違いがはっきりとわかる個性豊かな16組。彼女たちは、今、第一線で活躍している。ライブを通して、さらに「自分らしさを大切にする」というマーティの言葉が、心に響くところだった。
(取材・文/桜井飛鳥)


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  • 誰も言わないけどマーティって結構顔でかいよね(^^;;
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