島崎遥香、“反抗期JK”役がハマる理由ーー『スーパーサラリーマン左江内氏』バイプレイヤーの資質

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2017年02月18日 18:43  リアルサウンド

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 島崎遥香が、女優としてのポジションを明確にしつつある。ドラマ『スーパーサラリーマン左江内氏』(日本テレビ系)での左江内はね子役が名演と好評だ。


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 島崎がこれまで演じてきた役柄は大きく2つに分けることができる。まずは、ドラマ『マジすか学園3〜5』(テレビ東京系、日本テレビ系)や『警視庁 ナシゴレン課』(テレビ朝日系)といった作品で演じた、クールかつニヒルな役柄。AKB48における島崎の“塩対応”からくるイメージが、そうした役柄にハマったのだろう。島崎のパブリックイメージはこちらの方が強い印象だ。


 2つ目の役柄は、『ゆとりですがなにか』(日本テレビ系)で演じたごく普通の女子大生役。『スーパーサラリーマン左江内氏』での島崎も、自由奔放でやりたい放題の女子高生を演じており、同じタイプの役柄といえそうだ。言うなれば、どちらも島崎の素に近い、等身大の役柄とも取れる。そして、『左江内』は配役もなかなかに秀逸だ。左江内家は、堤真一が演じる父・左江内英雄、小泉今日子演じる母・左江内円子、島崎演じる娘・左江内はね子、横山歩演じる息子・左江内もや夫で構成される。英雄は妻の尻に敷かれ、子供たちも常に母親側につく。ソファーで寝転がる円子と母親の近くでのんびりする子供たちが、英雄に文句を言い朝食を作らせる毎週お決まりのシーンは、ユーモラスでありながら、塩対応の“島崎遥香像”も兼ね揃えていると言える。


 円子は“美人だけが取り柄”の冷たい妻として描かれていて、小泉今日子は役に徹して一切の隙を見せない。島崎は、そんな母があって、この娘なんだなと納得させるだけの存在感を示している。母ほど厳しくはないものの、反抗期真っ盛りの娘といった雰囲気で、名女優に負けないくらい近よりがたいオーラを常に放っているのだ。しかも、そのツンツンしているところもまた可愛いのだから、世のお父さん方はますます、英雄に同情せざるを得ないという構図だ。これだけ味のある娘ぶりを見せられると、次のドラマのハードルが上がるのではと心配になるくらいである。


 先週の第5話では、本田翼演じる藤崎が英雄に接近。左江内家を巻き込む不倫劇へと発展した。背筋を凍らせ眠る英雄の夢に着物姿の円子が登場し、「浮気しよったじゃろがい」と広島弁で捲し立てる。円子が英雄の脇腹を包丁で一突きした後、横から現れたはね子が「これからはおかんと密林で生きていくけぇのぅ」とドスの利いた声で睨みを効かせるのだ。このシュールなシーンは、円子のキャラをきちんと立たせながらも、島崎自身も印象に残り、バイプレイヤーとしての資質を感じさせる。英雄が彼女たちをどれだけ愛し、そして恐れているのかが伝わる名シーンだったといえよう。


 AKB48出身の女優は、「脇にまわれる女優」として、堅実なキャリアを築きつつある。『東京タラレバ娘』(日本テレビ系)の大島優子や『就活家族〜きっと、うまくいく〜』(テレビ朝日系)の前田敦子、『連続テレビ小説 とと姉ちゃん』(NHK総合)の川栄李奈などは、その好例だろう。『マジすか学園』や『警視庁 ナシゴレン課』といった主演ドラマに比べ、脇にまわった島崎は伸び伸びと演技している印象がある。アイドルの魅力を前面に出したドラマ・映画での主演ではないからこそ、すぐに消費されることもなく、シーンにとって必要な存在になりつつあるのが、彼女たちの現状といえるのではないか。


 以前、AKB48からの卒業を発表した記者会見で、島崎は「簡単に『女優さんになります』って(言える)実力もないですし……頂いたお仕事に全力で挑んでいきたいなという前向きな意思はあります」とコメントしていた。その謙虚な姿勢は、彼女の資質をさらに磨き上げるのではないだろうか。(渡辺彰浩)


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