「早く着替えなさい!」「早くご飯食べなさい!」「早く歯を磨きなさい!」
「今日も、『早く〜しなさい!』と、何度言っただろう?」
そう、思わずため息をついてしまうことがありませんか。
この記事では、20年近く様々な立場から子育てに携わり、米国発「ポジティブなしつけ講座」の認定講師である長岡さんに、子育て生活で思わず口をつく「早くしなさい!」を減らすための工夫をご紹介いただきます。
思わず「早くしなさい!」と急かしたくなる幼児の行動には、次のような理由があると筆者は思います。
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●「運動スキル(motor skills)」の未発達
幼児が洋服の袖に手を通したり、ボタンをかけたり、お箸を操ったり、口に食べ物を運んで噛むのであっても、大人が想像するよりずっと時間がかかるものです。
●「前頭前野(prefrontal cortex)」の未発達
長期的な計画に照らし合わせ、今何をするべきかを理解し行動に移すといった脳の働きを司る“前頭前野”は、20代にならないと、大人のようには機能しないと分かっています。(※)
ましてや、赤ちゃんから少し成長した幼児のこと。幼児は、過去を基に未来を思うより、より“今この瞬間”に生きています。
ですから、目の前に興味を惹かれることがあれば没頭し、“長期的な計画からみて適切な行為を選択する“ことができないのも、とても自然なことです。
●自我の芽生えからくる反抗心
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幼児期は、自我が芽生え、「させられる」と感じることについては、「イヤ!」と反抗する子もいます。
何度指示してもいつまでも取り組まないのは、こうした反抗心の表われという場合もあるでしょう。
●難しすぎる
「するべき」とされていることが、その子にとって難しすぎるということもあります。
例えば、ボタンかけがまだスムーズにできない、パジャマが入っている引き出しが重い、ハンガーが高い位置にかけてあるなどの理由で、取り組むのが”おっくう”になっている場合もあるかもしれません。
幼児が計画通り動いてくれない場合、以上のような理由が絡み合っているものです。
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ですから、「早くしなさい!」と叫んだとしても、なかなか改善はしません。
それどころか、ママの言うことを右から左へ聞き流す癖がついてしまったり、「今日も怒られてばかり」といったネガティブな気持ちが重なってしまうこともあるかもしれません。
では、どうしたらいいでしょう?
(1)スケジュールを見直す
「するべきこと」を少し減らし、なるべく幼児のペースに合わせたスケジュールを組んであげましょう。また、目の前のことに夢中になれる時を、日常の端々に確保してあげるのも大切です。
(2)日課に巻き込む
反抗したい子には、「自分でする!」という気持ちを盛り上げてあげましょう。
「朝は出かける前に何をしたらいいかなあ?」「夜は寝る前に何をしたらいい?」と話し合い、一緒に書き出し、順番に並べてみるのもいいです。
(以前紹介した「ルーティン・チャート」を作ってみるのも方法です:
【イヤイヤっ子対策】主体性を育む「ルーティン・チャート」の作り方&活用法)
子どもは、自分で考え計画したことは、より守ろうとするものです。
(3)取り組みやすいよう工夫する
例えば、「ボタンはママが半分かけてあげようね」と声をかけたり、パジャマを重い引き出しの中ではなく、布団の上に置いてあげるのも方法です。
また、幼児でも簡単に手が届く高さに、ハンガーをかけてあげるのもいいでしょう。
(4)ユーモアのある言葉へと言い換える
とはいえ、ママも人間ですし、常に完璧に環境を整えるなんてことはできません。
また幼児との生活では、出かける直前に“おもらし”してしまったり、ミルクをこぼしてしまったりと、予想外のハプニングも起こるものです。
そんな時は、「早くしなさい!」という言葉を、少しユーモアのある言葉に言い換えてみるのも方法です。
例えば、「特急電車でお願いしま〜す」「スポーツカーでいってみよ〜」といった言葉に、その気になる子もいるものです。
筆者の周りのアメリカ人のママさん達も、実に様々な言葉を使っていました。
「このままだと間に合わないから、よし、チーターに変身!」や「レッツ・ロックンロール!」といったものもありました。
少し言葉を変えるだけで、「早くしなさい!」ときりきり迫る雰囲気が、一気に力の抜けたより楽しいものへと変わります。
ぜひ、できる範囲で工夫をし、「早くしなさい!」と親子で消耗する機会を、減らしていきたいですね。
【参考・画像】
※ ‘The Amazing Teen Brain’Scientific American 312(6):32-37 · May 2015
(前頭前野の機能はティーンに全く働いていないというわけではありません。より大人に成長してからの場合にくらべて、それほどうまく働いていないというだけです。なぜなら、前頭前野の機能は、20代になるまで完全には成熟しないからです。)
※ yongtick、 paulaphoto、 spass / Shutterstock
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