田中将大がまさかの「4勝9敗」…好投すれども報われなかった投手たち

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2021年12月14日 07:12  ベースボールキング

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楽天・田中将大 (C) Kyodo News
◆ “無援護”に泣いた男たち

 12月も半ばに差し掛かり、いよいよ2022年が近づいてきた。

 15日(水)には、シーズンの総決算である『NPB AWARDS 2021 supported by リポビタンD』が開催。今季のリーグMVPや新人王、ベストナインが決定し、本格的なオフシーズンが到来する。




 そこで今回からは、1年の終わりにプロ野球の2021年シーズンをしみじみと振り返る企画をお届けしたい。

 第1弾では、内容的には15日になんらかの表彰されてもおかしくないような投球を見せながらも、運に見放されて「報われなかった男たち」に注目。

 打線の援護に恵まれず、なかなか白星に結びつかなかった不運な投手を“3名”ピックアップした。



◆ 8年ぶりの日本球界復帰も…

 まずは、今季8年ぶりに日本球界に復帰した楽天・田中将大から。

 開幕前に話題を独占した“神の子”の帰還。NPBラストイヤーの2013年には、プロ野球新記録のシーズン24勝0敗で、チームを創設初の日本一に導いたのは今なお伝説として語り継がれている。

 あれから8年…。さすがにそこに匹敵するような成績は難しいとしても、「最低でも2ケタ」を確信していたファンも多かったのではないか。


 だが、そんな期待とは裏腹に、今季の田中将大の歩みは厳しかった。

 5月から6月にかけて3連敗するなど、前半戦は13試合で4勝5敗と負け越し。しかし、決して不調だったわけではない。

 5月22日のロッテ戦は7回1失点の好投で、5月29日のDeNA戦も8回1失点と、先発としての仕事は十分に果たしていたのだ。

 ところが、両日ともに味方打線は同点にするのが精いっぱいで勝ち負けはつかず。ほかにも、6月30日の日本ハム戦では7回を3安打・1失点で負け投手になるなど、巡り合わせの悪さに泣き続けた。


 後半戦でも苦しい流れを断ち切ることはできず、なんと10試合で0勝4敗…。

 10月3日のロッテ戦では2失点完投、10月25日のオリックス戦も8回を投げて自責点1だったが、両日とも味方打線が完封されて無念の敗戦投手に。「今年一番良かった」と振り返った試合で、相手が山本由伸だったのも今季を象徴していた。

 その他にも、8月27日のロッテ戦や、9月26日のオリックス戦でも7回1失点と好投しながら勝利投手にはなれず。数字上は0勝4敗だったが、「4勝2敗」でもおかしくない内容だったと言える。


 最終的に4勝9敗と大きく負け越してシーズンを終えたが、防御率3.01はリーグ5位。先発して6回以上を自責点3以内に抑えるクオリティ・スタート(QS)を見ても、リーグ3位の23試合中17試合を記録しており、防御率もQS率(73.9%)もともにチームではトップだった。

 「こんなに苦しんだシーズンはNPB、MLB両方でプレーしていてもなかった。結果が付いてこず、とにかくつらかったし、しんどかった」

 骨の髄まで悔しさを味わった田中将大だが、12月3日に楽天残留を発表。2022年にリベンジを期す。


◆ 山口俊がハマった「負の連鎖」

 もう一人のメジャー経験者で、6月途中に巨人に復帰した山口俊も、「好投すれども援護なし」の悪循環に泣いた。

 復帰2試合目の登板となった6月30日の広島戦では、8回一死まで無安打に抑えながら、外木場義郎(広島)以来となる49年ぶりの複数回(自身2度目)のノーヒットノーランまであと5人という場面で、野間峻祥に右越えソロを被弾。記録が幻と消えたばかりでなく、0−1で負け投手になった。

 「1点でも負けは負け。次は反省していきたい」と雪辱を誓った右腕だったが、8月13日の中日戦でも、4回までパーフェクトに抑えながら、1−0の7回に初四球を許した直後、ビシエドに逆転2ランを被弾。目前の3勝目を逃している。


 「試合の後半に失点してしまい、投げ切れていないことが2回目ですのでそういったところを含めて、しっかり調整していきたい」と気を引き締めるも、相次ぐ不運で「1点もやれない」の気持ちが空回りしたのか、ここからズルズル7連敗…。

 10月14日の阪神戦でも、7回無失点の好投報われず、0−0で降板。2勝8敗、防御率3.56という不本意な成績でシーズンを終えた。


 さらに、ヤクルトとのCSファイナルステージ第1戦でも、初回にいきなり3失点と乱れ、悪い流れを変えることができなかった。

 経験豊富な投手でも、一度“負の連鎖”にハマってしまうと、なかなか脱け出せないのが野球の怖さだ。


◆ 五輪決勝で先発の大役・森下暢仁も…

 田中や山口同様、打線の援護に恵まれなかったことで、ルーキーイヤーより成績を落としてしまったのが広島・森下暢仁だ。

 プロ2年目の森下は、開幕から2試合連続無失点で2連勝という絶好のスタートを切り、4月20日のヤクルト戦から8月24日の巨人戦まで12試合連続QSを記録したが、成績は6勝6敗と伴わない。


 これには、味方打線の得点力不足が影響していた。

 4月20日のヤクルト戦と、8月24日の巨人戦はいずれも援護が1点のみで負け投手に。また、5月7日のヤクルト戦は7回をゼロ封。6月27日の中日戦は8回を1失点だったにもかかわらず、どちらも引き分けに終わった。


 シーズン終盤になっても、9月20日のヤクルト戦では7回まで2−0とリードしながら、8回一死から4連打で2失点。「勝てる試合で勝てなかったのは、本当に申し訳ないです」と悔しさを噛みしめた。

 さたに10月3日のヤクルト戦では、7回1失点の力投を見せながら、1−1の同点で降板。同23日の阪神戦でも、1−0の8回二死から坂本誠志郎に同点打を浴びるなど、勝ち運に見放されるシーンが目につき、前年の10勝3敗を下回る8勝7敗に終わった。


 防御率はリーグ4位、チームではトップの2.98。QS率(79.2%)もチームの先輩・大瀬良大地に次ぐリーグ2位だったことを考えると、打線の援護があれば、2年連続2ケタ勝利も達成できていたはずだった。

 それでも、7勝目を挙げた10月10日の巨人戦のヒーローインタビューでは、「チームの仲間から“腐るな”と言ってもらって、必死に頑張っていました」と語ったように、森下とチームメイトの信頼関係は厚い。

 この関係を維持しつつ、今季の経験を生かして、3年目のさらなる飛躍を期待したいところだ。


文=久保田龍雄(くぼた・たつお)




【動画】田中将大のファン感密着 語った“残留”への想い

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