パチンコホール「ガイア」の倒産が巻き起こした‟パチンコ業界の悪循環”。中小ホールは死活問題に

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2024年05月11日 09:01  日刊SPA!

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 パチンコホール運営会社、ガイアが昨年10月に民事再生法の適用申請を行い、事実上の倒産となった。その余波なのか、半年以上経った今も業界には不穏な空気が漂っている。ある信用調査会社の調査員は「問い合わせは今も増えている」という。
「ガイアの倒産後、メーカーだけでなく周辺機器を取り扱う企業からも『ガイア以外のホール会社は大丈夫か』という問い合わせがひっきりなしに相次ぎました。最近は少し落ち着いたと思ったのですが、新札発行を巡って閉業するホールが増加するのではないかという懸念が広まり、問い合わせは増えています」

◆ガイアが倒産した特殊な事情と中小のホール事情

 こうした問い合わせに対して、「当面は倒産することはない」と返答しているという。その理由はガイアが抱えていた特殊な事情も影響しているからだ。

「ガイアの倒産は業界関係者だけでなく、我々のような信用調査会社の間でも“既定路線”でした。売上も年々右肩下がりを続けていただけでなく、社長が11年には覚醒剤で逮捕されるなど、まともな会社とは思えない不祥事も起こしています。加えて、『ガイアは出ないから客がいない』というのはもはやパチンコ業界だけでなく、我々のような調査会社でも周知の事実でした。こんなにもネガティブ要素が多すぎる企業はそうそうない。遅かれ早かれいずれは倒産するだろうと」

 パチンコファンの間で「ガイアは出ない」と言われていたことを、信用調査会社も把握していたとは驚きである。こうした事情もあり、ガイア倒産は特殊な事例と、この調査員は解説するが、「中小ホールにとって今年は冬の時代になる」とも指摘する。

「2022年1月に旧基準機撤去に伴う台の入替に始まり、スマスロ、スマパチの導入。そして今年は新札対応の周辺機器導入と、設備投資の波がここ数年、パチンコ業界を襲っています。大手ホールでも負担は大きいのに、中小ホールにとっては死活問題です。人気機種の導入を諦めて閉業したり、無理をして導入したもののその後に資金繰りが悪化するケースが目立っています」

◆パチンコ業界が陥る悪循環

 また、パチンコ業界が陥り始めている悪循環も、今後は大きな問題となって襲いかかると指摘する。

「パチンコは出ないホールにはお客さんは行きません。そうなると売上が減るのは火を見るよりも明らかです。おまけに新台価格や中古台、光熱費、人件費の高騰で利益率はさらに減っていき、ホールはさらに出玉を削って利益を確保しようとします。その結果、客が離れるだけでなく、『パチンコ=出ない』や『パチンコ=負けて当然』という見方が一般化してしまうと、新規のファンを獲得するのも難しくなるでしょう。完全に悪循環に陥っているのです」

◆業界一丸となって打開策を考える時が来た

 調査員は、「この悪循環は業界全体の問題として捉えなければ、パチンコ業界はますます厳しくなる」と話す。

「パチンコ業界は特殊な業界と言われますが、顧客離れや規制によって環境が変化して問題化するということは、パチンコ業界だけに起こる問題ではありません。他の業界の場合、規制が入って客が離れたなら、どう顧客満足度を上げるかを考えて問題を解決し、利益を上げるかを考えるでしょう。しかしパチンコ業界は『規制が入ったから客が離れた』と行政に対して恨み節を言うばかり。エンターテインメント産業なんですから、客を喜ばせる方法をもっと考えるべきだと思います。

加えてこうした規制に対して、行政や管轄する警察庁に対してのアプローチが、パチンコ業界は非常に弱い。ホール、メーカーなどが一丸となってアプローチしていくべきでしょう。よくパチンコ業界は警察の天下りでベッタリなんて言われますが、それならそういう方をもっと使ってネゴシエーションしていくべきです」

 今のパチンコ業界は手をこまねいている暇などないのである。

取材・文/日刊SPA!取材班

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