113キロから「10ヶ月で53キロ減量した」30代男性。秘訣は「食事の改善と毎日のウォーキングだけ」

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2024年05月11日 09:31  日刊SPA!

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10ヶ月で50キロ超の減量に成功した建部博氏。変化は一目瞭然だ
 過度にストレスフルな状況下にさらされた人間が取る行動は驚くほど似ている。
 不眠または過眠。過食または食欲不振。ギャンブルや色欲に溺れるか、酒に飲まれるか。こうした問題を同時に抱えるうちに、傍目にもわかりやすい変化が起こる。極端に痩せこけていくか、急激に太ってしまうのだ。

 現在、月刊誌の編集長を2誌掛け持っている建部博氏(39歳)も例外ではなかった。仕事に邁進していたからこその出世であるが、自ら課していたストロングスタイルの労働に体は悲鳴を上げていた。昇進前、体重計が指した最大値はなんと113キロ。25以上で肥満とされるBMI値が41.5にのぼったのだから、いかに「巨漢」であったことか。

 そんな氏だが、昇格とともにダイエットを開始すると、わずか10ヶ月で-50キロ超の減量に成功。さらに「紙の時代の終焉」が叫ばれる昨今、赤字から黒字へのV字回復をも同時に成し遂げたのだ。

 ダイエットと仕事。片方だけでも難題のこの二兎を、いかにして捕らえたのだろう。秘策を探るべく、当時についてざっくばらんに語ってもらった。

◆昇進の打診を受けたタイミングで「限界」が…

——『MONOQLO』では編集長、『家電批評』(いずれも晋遊舎刊)では統括編集長を務めていらっしゃいますが、編集長に就任されたのはいつだったのでしょう。

建部博氏(以下、建部):2021年の4月付けで『家電批評』、その翌々年から『MONOQLO』の編集長も兼任することになりました。まだまだ悩みの種はありますが、『家電批評』は他の編集長に任せられるようになるなど、大幅なテコ入れは自らのダイエットと同じく、ひと段落したかと思います。

——今や順風満帆そのものですよね。けれど、就任直前には「事件」があったとか。

建部:当時の体重が物語るように、惨憺たる生活習慣を長年続けていました。昇進の打診を受けたのと時を同じくして限界も訪れたようで、会社の非常階段で倒れてしまったんです。そのまま3〜4日寝込み、「あ、死ぬな」と。今ではすっかり元気ですが、さながら臨死体験でした。

——大事とならなくてなによりです。ただ、会社や家族の方から心配されたのでは。

建部:はい、心配も迷惑もかけてしまいました。ただ、腹を括るきっかけになったのも事実ですね。回復後の面談で、ダイエットを主軸とした健康面の改善と、編集長となる覚悟を表明し……今に至ります。

◆「絵に描いたような不摂生」がやめられなかった

——改善以前はどのような生活を送られていたのでしょうか。

建部:編集者たるもの「人と顔を突き合わせて飲み食いすべし」と、平日は毎日会食の予定を入れていましたし、会社には長時間いるほどよいとも思っていました。誰に言われるでもなく、ひとりで昭和を引きずっていたんですね。がむしゃらに仕事をするのだけれど、健康面はなおざり。ストレスの捌け口は食や酒に頼りきりで、気づけば1日の摂取カロリーが3000kcalを優に超えるようになっていました。

——具体的にはどのような食生活だったのですか。

建部:仕事の合間には昼夜ラーメンのようなジャンクフードを食べ、退勤後には会食。帰宅しても、妻が家族用に作ってくれた夕食だけでは飽き足らず、カップラーメンなども追加して晩酌していました。休肝日はなく、運動はゼロ。絵に描いたような不摂生でした。

◆10ヶ月で「53キロの減量」を達成するまで

——そうした状態からたった10ヶ月で「53キロの減量」を達成できるとは、にわかには信じがたいほどです。一体どのような取り組みを?

建部:食事の改善と毎日のウォーキングだけで減量しました。当時食べていたのは、コンビニで売っているカットキャベツ2袋にスティック野菜のみ。家が埼玉で職場が東京なので、「都内では食べない」ことを徹底していました。お酒も一切飲みませんでしたし、ソフトドリンクもブラックコーヒーなど、0カロリーのものだけ。あまりにシンプルかつ極端過ぎるので、人には決して勧められないのが残念なところです(笑)。

——ツッコミどころが渋滞していますね(笑)。順番にお伺いしたいのですが、アルコールはいきなりゼロにできるものだったのでしょうか。

建部:倒れてからの2〜3週は決意するまでもなく控えていました。ただ、休肝日のない暮らしが常態化していたので、アル中ではとの不安もあって、医師に聞いたんです。しかし「それだけ我慢できるなら、アル中ではないよ」とあっさり言われて。それが自信となって、難なくお酒を断てました。

◆「2時間のウォーキング」が習慣に

——断酒はともかくとしても、栄養不足は気がかりです。低血糖などの体調不良は起こらなかったのですか?

建部:起こらなかったから完走できたという結果論だけなので、「絶対に真似しないでください」としか言えないのですが……。ただ、私自身の健康状態としては、減量中でも向上していたほどです。たとえば健康診断の数値は、ダイエット以前は4割がB、3割がCなんて、目も当てられない有様。それが半年後には9割がAとなるまでに漕ぎ着きました。

——一方のウォーキングもBMI41.5を前提とすると、膝や腰への負担が気になるところです。

建部:少しずつ距離を伸ばしていったのが幸いしたようです。関節まわりのトラブルには見舞われないどころか、開始前に抱えていた膝の軽微な痛みが消えましたね。一駅分程度から開始して、距離に慣れたらもう一駅。これを繰り返していき、最終的には2時間のウォーキングが習慣となりました。

——ここまでストイックな取り組みができるとしたら、もはや3桁オーバーまで太ってしまったことの方が不思議にも思えてきます。

建部:一番の理由は、太ることに無関心だったからですかね。会食や仕事のパフォーマンスの方が体重の多寡よりも大事だしと、気にしていなかった。もちろん、ダイエットに挑戦することも時にはありました。10キロ程度落としては、すぐにリバウンドの繰り返しでしたが。

◆同時進行だからこそ、逃げ道があったのかもしれない

——今回は立場の変化もあるなかで50キロ以上を落とされた上に、減量期から1年が経過したなおも維持されています。過去のダイエットとは、なにが異なるのでしょうか。

建部:以前はウォーキング程度の運動も一切行っていませんでしたね。また、「仕事が大変なときにもかかわらず」と思われるようですが、むしろ仕事のおかげだと考えていて。食事だけ、断酒だけ、運動だけと目標を絞っていたら、ひとつ挫けるとすべてが泡に帰ってしまう感覚を覚えてしまうといいますか。欲張れば、もしどれかが停滞したとしても、きっと他のことは進んでいる。縛りを増やすことが逃げ道の用意にも繋がるんです。

◆本業の知見を活かし、最新ガジェットをフル活用

——その発想なら人を選ばず取り入れられそうです。他にも、誰もが真似できそうなことはありますか。

建部:ガジェットですかね。仕事柄、日々たくさんの電化製品に触れていますから、本気で取り組むならばと導入しまくりました。ウチの編集部は方針として、広告費などをもらわずに製作しているので、自腹購入ですけれど(笑)。

——家電テスト誌編集長のお眼鏡に適ったガジェット……。ぜひ知りたいです。

建部:ひとつはガーミン社のスマートウォッチ「vivosmart5」。ずっと愛用していたApple Watchのみでもよかったのですが、ダイエット期間は並行して運用していました。日中は両方装着して、睡眠時やシャワーの際はvivosmart5だけ着ける形ですね。

——Apple Watchにはない魅力があったのでしょうか?

建部:vivosmart5は、体力の残量ゲージのようなものが表示されるんです。観測した活動状況や、登録した体重などから計算されているようなのですが、なかなかの精度を感じましたね。ゲーム感覚の楽しさもありますし、残量を参考に仕事量やウォーキング量を調整することで、無理のない継続に役立ちました。Apple Watchが戦線離脱しなかったのは、従前通りの使い道にくわえ、多様な連携力を生かしていたからです。

——どんなものと連携させていたのですか。

建部:「MyFitnessPal」というアプリと、アンカー社の体重計「Smart Scale P3」です。アプリは有名な「あすけん」のようなもの。そちらでもよかったのですが、自分には「MyFitnessPal」の方がしっくりきました。

「Smart Scale P3」もいわゆるスマート体重計で、乗ると同時に登録した端末に情報が送られる代物です。それらの情報が統合されることで、体重や見た目以外の些細な変化にも気づけるようになるから、「自分は間違っていない」と安心感が生まれます。

◆ダイエットに「正解」はあるけど、仕事には…

——途中で挫折しそうになることはなかったのでしょうか?

建部:ありませんでしたね。ダイエットって、目指したいゴールと進捗が明確に見えるじゃないですか。もちろん停滞して不安になることはあると思いますが、それでもセオリーははっきりしている。対して仕事となると、正解がまったく見えない(笑)。目指す方向性から施策から、手探りで立ち向かわなければならない苦しみに対峙していると、ダイエットはまさしく心の支えとして機能していました。

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「あちら立てればこちらが立たぬ」ではなく、「一挙両得」を達成してみせた建部編集長。編集者ならではの、柔軟かつ俯瞰的視点こそが、なによりの成功の秘策と見えた。

 ほぼ絶食生活は真似してよいものではない。けれど、変化を促す周囲の後押しを逃さず掴み、己のものとして乗りこなす姿は、記憶に焼き付けておきたい。

<取材・文/海原あい>

【海原あい】
コンビニで買えるビール類はほぼ全制覇しています。本は紙派。さらに調味料と服とスペースエイジ系のインテリアを収集しているため、収納不足に陥りがちです。好きな検索ワードは「備忘録」

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