「殺人犯へ、あなたを無罪にして差し上げます」──。放送中の日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系)が回を重ねるに連れて、夢中になる人が続出している。
なぜ、これほど多くの人を魅了するのか、取材してみると…。
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■「作り手の本気が伝わる」夢中になる人続出
『アンチヒーロー』は司法組織を舞台にしたオリジナル作品。長谷川博己演じる主人公・明墨正樹が、犯罪者である証拠が揃っている人物でも無罪を勝ち取ることにこだわる姿を描いている。
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彼は検察側の証人がつらい過去を持っていることを大勢の人の前で暴露したり、ある事件を担当する弁護士の弱みを握って弁護人の座を奪い取るなど、目的のためなら手段を選ばない。冷たい笑みを浮かべる長谷川のダークな演技が好評だ。
ネット上でも、「アンチヒーロー絶対今期いちばん面白い」「作り手の本気が伝わってくる」「見始めると止められなくなります」「これから先の展開が読めなすぎ」など、夢中になる人の声が多数見受けられる。
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■魅力的な登場人物
なぜ、これほど視聴者を魅了するのだろうか。ある制作会社関係者は、登場人物が理由の一つではないかと推察する。
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「手段を選ばない明墨、彼に対立する正義感の強い青年・赤峰柊斗(北村匠海)、ポーカーフェイスでミステリアスな紫ノ宮飛鳥(堀田真由)など、一人一人のキャラクターがはっきり描かれています。登場人物たちの過去がしっかり掘り下げられ、よりストーリーに興味を抱く作りになっていると思います」(制作会社関係者)。
一見、脇役に思える人物にもつらい過去があり、思わず感情移入してしまうのかもしれない。
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■「次を見たくなる」ストーリー展開
過去に、弁護士をテーマにしたドラマは多数放送されてきた。ある種、“やり尽くされた”と言えなくもないジャンルだが、ストーリー展開もファンを増やしているようだ。
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「近年の民放ドラマは、冒頭で事件や問題が起きて、後半で解決するのを繰り返していく“1話完結型”が多く、特に弁護士モノはそのスタイルを取りがち。その点、『アンチヒーロー』は大体2週続けて描く前編・後編スタイルが多い印象です。現在、ドラマは何か別のことをしながら見る人が多いため、テレビ局側も長期的なストーリーは避けがち。今作は、長すぎず、短すぎず、それでいて絶妙に視聴者が次を見たくなる構成だと思います」(前出・制作会社関係者)。
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■「視聴者参戦スタイル」
ドラマを見て楽しむことに加えて、「視聴者参戦スタイル」であることも大きいという。前出の制作会社関係者が続ける。
「第2話放送後、町工場で起きた殺人事件の容疑者だったものの無罪となった緋山啓太(岩田剛典)が不穏な行動を取ったことで、緋山が本当は殺したかや彼をあらゆる手段で無罪にした明墨に正義はあるかなど、ネット上でも意見が分かれました。ドラマを見ながら、登場人物と一緒に“正義とは何か”を知らず知らずのうちに考える点で、視聴者も物語に参戦するドラマと言えます」(前出・制作会社関係者)。
物語が進むに連れて、謎めいていた明墨の過去が少しずつ明らかになっている。今後の『アンチヒーロー』からも目が離せない。
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■執筆者プロフィール
斎藤聡人:1991年生まれ。『Sirabee』編集部記者。
某週刊誌の芸能記者を経て現職に。旧ジャニーズネタなど、芸能ニュースを中心に様々なジャンルを取材する。
チェーン店からローカル店まで様々な飲食店をめぐり、グルメ記事も手がける。仕事も兼ねた毎日のドラマ鑑賞が日課。
今期の推しは、『95』(テレビ東京系)、『Believe─君にかける橋─』(テレビ朝日系)、『イップス』(フジテレビ系)、『アンチヒーロー』(TBS系)。
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(取材・文/Sirabee 編集部・斎藤聡人)