「50万円払っても働けない……」未経験からのヨガインストラクターが挫折する、職探しの壁。乗り越えるには?|ヨガインストラクターのひとり言

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2024年05月12日 09:20  女子SPA!

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こんにちは。ヨガインストラクターの高木沙織です。

やってみたい、もしくはすでにやっている習い事ランキング・上位の常連となりつつある“ヨガ”。

日本にヨガブームがやってきた2000年代からヨガ人口は右肩上がりにグングンと増え続け、今ではその数なんと400〜600万人にものぼるそう。

単純に計算すると、国民の20人に1人がヨガをしていることになる…というのはさておき、駅前には大手ヨガスタジオの看板、そして街を歩けば個人経営のヨガスタジオを見かけるのも珍しい光景ではなくなってきました。

おかげで「ヨガ、やってみたいかも」と思ったとき、ヨガスタジオを見つけるのはわりと簡単。その一方で「見つけるのが難しい」といわれているのが、未経験ヨガインストラクターの働き口です。

◆インストラクターになっても、すぐに仕事に就けない…これって通説?

「ヨガのレッスンに通っているうちに、どんどん好きになっていった」「ヨガのことをもっと勉強してみたいと思った」。こんなふうにヨガが好き! 仕事にしたい! と熱意を持って資格を取ったものの、いかんせん雇ってもらえるヨガスタジオが見つからない…というのは、めちゃくちゃよくある話。

あまりにもざっくりしすぎていて、全ヨガインストラクターから「おいっ!」と突っ込まれてしまうかもしれないけれど、ヨガって…“深い”んですよ。

そんな深いものを教えるわけだから、表面上の知識だけでは力不足だと思われてしまうのは致し方ないこと。経験に基づいた知識があればあるほど有利! レッスン中の声がけひとつ取っても、経験の差は明らかです。となると、レッスン未経験のインストラクターの職探しはどうしたって不利……。

模擬レッスンをおこなうオーディションのみならず、面接さえしてもらえないなんていうのもあるあるです。

また、ここ数年でヨガスタジオの数が増えたとはいえ、ヨガインストラクター人口も増加しており、なかなか募集がかからない…ということも。

◆ヨガインストラクターになるために選んだ方法とは

実は私も、一度はヨガインストラクターを諦めかけた身です。

あれは今から9年前、趣味でホットヨガに通っていたときのこと。もともと美容や健康に関することが好きだったのもあって、気づけばヨガにドはまりしていました。

ただ「インストラクターになりたい!」と思うようになったのはいいのだけれど、入り口がよくわからない…。

一般的にこれ! といわれるRYT200(200時間の講座を修了することで得られるヨガの資格)は、あの頃確か2〜4ヶ月の期間を必要とするうえに、費用は50万円と高額。正直に言うと、まだ好きに毛が生えた程度の私がポーンと支払うには迷う金額です。

そこで選んだのが、“ヨガ未経験でもOK”と謳う大手ホットヨガスタジオの自社養成プログラムでした。まず社員になるための採用試験を受け、合格後は即・ヨガ合宿へ! 某保養所での缶詰生活をスタートさせることになるのですが―。

◆コーヒーが飲みたくて仕方がなかった…地獄の5日間合宿

ヨガ合宿に参加することになった私は、20〜30代後半の同期約40人とバスに乗り、都内から2時間ほどの場所にある某保養所へと向かいます。

そこで何を勉強するのか? これがまあ、いろいろあるんです。ヨガ哲学(ヨガの歴史・教えなど)にはじまり、生理学や解剖学といった人体の構造についての座学。それと、ヨガポーズの実技講習。頭も体も使って、ヨガへの学びを深めていきます。

しかも、寝起きするのは大部屋。起床後は朝ヨガから始まり、食事は3食とも玄米菜食。一日の講義が終わると、順番にまわってくる時間制の入浴。まだ終わりません。寝る前は、壁に向かって座り、自己観察をする“内観”のトレーニングがあったり、思考・口ぐせをポジティブ転換するトレーニングの時間…なんてものもありました。

合宿初日、講師から「今日からは、心身ともにヨガインストラクターとしての生活を送るように」と言われたことを覚えていますが、俗世にまみれ…もとい怠惰な32歳・カフェイン漬けだった私はコーヒーを飲めないのがとにかくツラくて仕方がないわけです。ボーッとするわ、イライラするわ、揚げ句の果てには頭痛までしてくるわで、合宿所からの帰り道ではサービスエリアで見つけたスタバに駆けこんで注意されたこと。そのときに飲んだコーヒーの美味しさは、今でも忘れられません。

さて、合宿が終わったからといって、いきなりレッスンに入れるわけではありません。ここではホットヨガのインストラクターになるわけだから、“ホットの環境(室温38度、湿度65%)”に慣れていかなくてはいけないのです。

「もともとホットヨガに通っていたんだし、余裕!」と思っていた私。ところが、週1〜2回それも45分だけのレッスンに生徒として参加するのと、週5日、1日2レッスン担当するインストラクターとでは、話が別。事務作業とレッスンのヘルプをしばらく続けたのち、個人的な体調の問題で辞めざるを得なくなったのでした。

◆それから2ヶ月後、レッスンを担当できるようになったのはなぜ?

ヨガの勉強をして、プログラムの習得にも励んだのに、インストラクターとして十分に働くことができなかったのはとても残念です。当たり前だけれど、会社で学んだプログラム(レッスン内容)を退社後に使うことはタブー。

ヨガインストラクターへの未練を残したまま、一度は「道は絶たれた…」と思いかけました。とはいえ、この頃にはヨガをすることが毎日の習慣になっていた私は到底諦めきれず。いろいろなヨガの資格を調べていくと、「これだ!」というものにたどり着き、そこから流れが一転!

場所は、自宅からさほど遠くないヨガスタジオ。そこで開催される資格の講座に申し込みをするのと同時に、ダメもとで「インストラクターの募集はしていませんか?」という旨のメールを送信します。

「ここでレッスンをさせてもらえたらなあ…」と淡い期待を抱きながら講座を終えると、スタジオのオーナーさんが声をかけてきてくださり、とんとん拍子でレッスンの担当日が決まっていったのでした。この出会いがなかったら、ほぼ未経験に等しい私がレッスンを持つのはいつになっていたことか…。

と、こうして私は未経験インストラクターを脱したのでした。自社養成インストラクターになって経験を積むのももちろんありですし、知人に無料でレッスンをするとか、最近ではオンラインで配信するなんて方法もあって羨ましく思います。同期がいれば、情報交換をし合ったり、憧れのインストラクターにコンタクトを取ってみたりする…のもいいかもしれません。

どんなインストラクターもはじめは未経験。そこからどうやって経験を積んでいくのかを試行錯誤することさえも、魅力的なインストラクターへの第一歩をすでに踏み出している証。

ちなみに、これまでヨガや食事関係、ヘッドスパ、リンパケアなど…レッスンにつながる資格の勉強にかかった費用の総額は100万円近く。「資格は取ったらゴールではなく、そこからがスタート!」―これは、ヨガインストラクター歴9年目に入った私が自分に言い聞かせている言葉。

「先生!」と呼んでもらえることにおごらずに、ときには初心に返るために心に留めている言葉です。

<文/高木沙織>

【高木沙織】
「美」と「健康」を手に入れるためのインナーケア・アウターケアとして、食と運動の両方からのアプローチを得意とする。食では、発酵食品ソムリエやスーパーフードエキスパート、雑穀マイスターなどの資格を有し、運動では、骨盤ヨガ、産前産後ヨガ、筋膜リリースヨガ、Core Power Yoga CPY®といった資格のもと執筆活動やさまざまなイベントクラスを担当。2021年からは、WEB小説の執筆も開始。Instagram:@saori_takagi

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