「声が悪魔のように」男装姿で無愛想の“トラつば”土居志央梨、出演への不安と役作りの苦労

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2024年08月28日 06:00  週刊女性PRIME

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朝ドラ『虎に翼』で山田よねを好演している土居志央梨 (c)NHK

「主人公を伊藤沙莉ちゃんが演じるというニュースを見て“絶対見よう”と思っていたので、オファーは“まさか!”という感じで。台本をもらうまでは信じられない感じでした(笑)。家族はもちろん、(猪爪)直道役の上川周作との共演に(京都造形芸術)大学の仲間もすごく喜んでくれました」

 と語るのは、朝ドラ『虎に翼』で山田よねを好演している土居志央梨

「自分にはたしてできるだろうか」

 寅子(伊藤沙莉)とは名律大学女子部で出会う。男装姿で無愛想。法律は“クズをぶん殴ることができる唯一の武器”と考え、たとえ自分に不利益があろうとも信念を曲げない。

「今まで女性らしい役が多かったので“自分にはたしてできるだろうか”という不安はありました。よねが女子部のみんなと違うところは恵まれない生い立ちで、すごくつらい過去を持っているところ。そんな“持たざる者”の逆襲じゃないですけど(笑)、常に時代を懸命にはい上がっていくところがよねにはあると思います」

 寅子にかけるきつい言葉は、よねの愛情表現。

「学生時代から“うっとうしい”と言うよねに対し、トラちゃんが“よねさん、よねさん”と構わずくる様子は、ふたりが仲良しの証拠だと思っています。よねが“うるさい”“アホ”って言うシーンを読み解くと、結局、よねがうれしいとき、照れているとき、そして(受けた)指摘が図星だったときなんですよね(笑)」

役作りの苦労

 ニコニコと明るく、どこか笑い上戸の土居。役とは大きなギャップがある。普段の声はよねよりも2オクターブほど高く、可愛らしい。

「よねという人には意志の宿った声、力強い声が似合うと思ったので。その声は家でひとりでしゃべりながら探りましたね。新潟編の間、撮影が空いて。久しぶりによねを演じるとき(声の)チューニングがよくわからなくなっちゃって。低すぎて悪魔のような声が出たり(笑)

 長かった髪も、よねを演じるためにバッサリ。

「髪はショートヘアの役がきたときのために伸ばしていたので。むしろ“ありがとうございます!”と喜々として切りました。今ではスーツ姿の自分のほうが見慣れている感じで、周囲からも“カッコいい”“似合ってる”と言ってもらえるので、自信になりますね」

 よねは司法試験の筆記をクリアしても、口述で落ち続けた。しかし、ついに! 弁護士資格を手にした。

「台本を読んだときはもちろんうれしかったです。いちばんグッときたのは20週(8/12〜)から着る新しいスーツに弁護士バッジをつけてもらったとき。ちょっと泣きそうになるくらいうれしくて。何十年越しの夢が叶ったというか。そして、こんな気持ちになるんだなと思って。よねとすごく気持ちがリンクした感じがしました」

 じゃんけんで決まった新たな事務所名は“山田轟弁護士事務所”。よねと轟(戸塚純貴)の男女を超越した友情について尋ねると、

「本当に相棒ですよね。轟の前では、よねもちょっとカッコ悪いところを見せられる。トラちゃんにはそれを見せないように振る舞っているので。そういう意味では安心できる相手。よねに轟がいて本当によかった。戦後の再会時、よねから“一緒に事務所をやろう”と轟を誘ってはいますけど、あれはよねも轟に救われたんだろうなと思います」

『虎に翼』はひとつの転機

 今後は原爆裁判に、よねも寅子も関わっていく。

「リーガルドラマとしての『虎に翼』に注目してほしいなと思います。法廷シーンがたくさん出てくるので、ぜひ注目してください」

 よね役で土居志央梨という女優の顔と名前を覚えた視聴者は多いだろう。

「『虎に翼』は私のキャリアにおいても、ひとつの転機というか、すごく大きな作品。たぶん、思い出すたびに勇気をもらえるような気がします。いつも心の中によねをすまわせて、弱気になったときはその力を借りて(笑)。これからも頑張っていけるんじゃないかな」

 20代のころは一生懸命頑張りたいのに、どうしていいかわからない。どこか視野の狭さもあったと振り返る。

「でも30代になって、少しずつ興味の幅が広がって。少し余裕を持てるようになったタイミングでいただいたのがよね役。だからすごく現場を楽しめているのかなと思いますし、縁を感じます。本当にたくさんのメッセージをいただいて、すごくありがたいし、うれしいです。でも“よっしゃー!”というより、“ますますちゃんとお芝居と向き合わないと”と気が引き締まる思いです」

乾杯できないんか!

 寅子と星航一(岡田将生)の結婚式には、名律大学の懐かしい面々が勢ぞろいした。

「女子部のみんな、先輩たちもそろっての撮影は本当に久しぶりだったので。ただただ懐かしくて、うれしくて。台本には“みんなで乾杯する(よねはしない)”と書かれていて、“乾杯できないんか!”と思いながら(笑)。本音では“わー!”ってやりたかったんですけど、頑張って抑えて。とにかく、みんなとの時間を楽しみました」

『虎に翼』毎週月〜土曜、朝8時〜
(NHK総合)ほか放送中

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