【EXILE CUP 2024 レポート】予選大会最後の切符を手にしたのは攻守で圧倒したサイレコ・エスペランサ熊本…EXILE CUP 2024九州大会2

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2024年09月11日 08:31  サッカーキング

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EXILE CUP 2024 九州大会2を制したサイレコ・エスペランサ熊本 [写真]=小野 弘明
 大型台風が過ぎ去った9月1日、小学4年生から6年生を対象としたフットサル大会「EXILE CUP 2024」の九州大会2が佐賀県のブラックモンブランフットボールセンターで行われた。全国9地区10会場で開催された予選大会のラストを飾る九州大会2には40チームが参戦。9月15日に愛媛県今治市のアシックス里山スタジアムで開催される決勝大会出場を目指し、熱戦を繰り広げた。

 開会式には株式会社LDH JAPANからラモス瑠偉さんとDEEPのYUICHIROさん、俳優の平川結月さんが登場。ラモス瑠偉さんが「勝ち負けにはこだわるべきだけど、楽しんでいろんなプレーにトライしてほしい。思いっきり派手にやってください」と言えば、YUICHIROさんもまた「サッカーを楽しむことが大事。勝ち負けもあるけど、熱中症に気をつけながら最後まで戦ってほしい」とエールを送った。その後、EXILE TETSUYAさん監修のもと日本サッカー協会が開発した「クラッキ!ダンス」を全員で踊って体をほぐすと、いよいよ予選リーグが始まった。



 予選リーグは4チームずつ10ブロックに分かれた総当たり方式で行われた。各ブロックの1位と、2位の成績上位6チームが決勝トーナメントに進出する。予選リーグで印象的だったのは佐賀県唐津市から参加したRUMBLEだ。ピッチでは選手たちが「今のナイスプレー!」と声をかけ合い、戦いを見守るチームメートは「チャレンジ! チャレンジ!」、「どんどんシュート狙え!」と声援を送る。失敗しても前を向き続ける姿はまさにラモス瑠偉さんの言葉を体現していた。

 選手たちは「宇宙一、仲がいいチーム」と口をそろえるが、実は普段は別のサッカーチームに所属する選手たちで結成した即席チームだという。そんなチームを率いる岩本芳郎監督は「楽しむことを軸にやっている。言われてやることも大切ですけど、できれば自分で判断できる子どもになってほしい」と話す。目標の予選リーグ突破はかなわなかったが、「そのまま活動を継続したい」と語る岩本監督のもと、来年はより成長した姿を見せてくれるだろう。



 予選リーグが終了すると、決勝トーナメントの組み合わせを決める抽選が行われた。抽選会では応援に駆けつけた橘ケンチさん(EXILE / EXILE THE SECOND)が「決勝大会への最後の1枠を目指して、負けたチームのことも胸に秘めながらフェアプレーで頑張ってほしい。最高に熱い試合を期待しています」と選手たちを激励。その言葉どおり、午後からスタートした決勝トーナメントは熱い試合の連続となった。

 準決勝では、セラミーズFC(佐賀県)とREVIVAL pieces(佐賀県)の好カードが実現。今年のJFAバーモントカップ佐賀県大会のベスト4で対戦した際はREVIVAL piecesに軍配が上がったが、この試合をモノにしたのはセラミーズFCだった。同点のままPK戦に突入すると、観客が「心臓が持たん!」と声を漏らすほどの緊張感が漂うなかでもキッカー3人がきっちりと決め切り、決勝進出を決めた。

 トーナメントのもう一方の山でも白熱した試合が展開されていた。サガントス・サッカースクール サックス(佐賀県)は、予選リーグで最多21得点を記録した美和台ジュニアサッカークラブ(福岡県)と準々決勝で対戦。前半終了間際にFKで先制を許してしまったが、松尾悠希くんのシュートで追いつく。「絶対に決めてやろうと思いっきり蹴った」というキャプテンのミドルシュートは中元寺輝くんの右ふくらはぎをかすめ、ゴール左隅に決まった。その後も互角の攻防が続き、同点のままPK戦へ。監督の「逃げるなよ! 絶対に勝利をつかむぞ」という言葉で気合を入れ直した選手たちは見事にPK戦を制し、準決勝に進んだ。



 準決勝の相手、サイレコ・エスペランサ熊本は今年のJFAバーモントカップで全国3位の実力を誇る優勝候補だ。予選リーグを全勝で突破すると、決勝トーナメントではグラントゥールSC(熊本県)を3−0、Felice Futsal Club(宮崎県)を4−0で下し、ここまで勝ち上がってきた。勢いある相手にサガントス・サッカースクール サックスは本来の力を発揮できず、5得点を奪ったサイレコ・エスペランサ熊本が決勝へと駒を進めた。

 セラミーズFCとの決勝は、キックオフからサイレコ・エスペランサ熊本が主導権を握る。開始2分、ドリブルで持ち上がった俣嶋一路くんのラストパスを、フリーで待っていた岩本佳悟くんが決めて先制。1分後には相手GKのキャッチミスを見逃さなかった岩本くんがボールを拾うとすかさず右足を振り抜き、2点目を決めた。

 セラミーズFCはキャプテンの今井繕くんを中心にボールをつないで反撃を試みるが、相手の素早い寄せに苦しめられ、後半には追加点を許してリードを3点に広げられた。ピッチサイドからは「まずは1点」の声が響いたものの、セラミーズFCは焦りからプレーが粗くなり、その隙を突くようにサイレコ・エスペランサ熊本の木村純之介くんが裏に抜け出し、GKを冷静にかわしてネットを揺らした。セミラーズFCはその後に訪れた2度のFKも得点につなげることができず、タイムアップ。最後まで攻撃の手を緩めなかったサイレコ・エスペランサ熊本が4−0で勝利し、決勝大会への切符を手にした。



 藤川泰考監督は「バーモントカップで見えた守備の課題が修正できていて、大会を通じて1失点に抑えることができた」と手応えを口にする。決勝大会にはもうワンランク上のチームが来るだろうと予想し、「準備期間は限られているが強度を上げていきたい。出るからには優勝して帰ってきたい」と抱負を語った。キャプテンの野田汰史くんも「これまで全国に行った試合はすべてベスト4で終わっている。その壁を乗り越えて日本一を取りたい」と優勝を見据えた。

 これで全国9地区10会場の予選大会がすべて終了した。戦いを見守ってきたラモス瑠偉さんは「いつかEXILE CUP出身のJリーガーが誕生することを期待しているし、絶対に出ると思う。それくらいレベルが高くなっている」と予選大会を総括。決勝大会は「さらにレベルアップした戦いになると思う。決勝大会で見てみたいと思っていたチームもいて、去年以上に楽しみ」とハイレベルな戦いに期待を寄せた。



 2012年大会以降、九州代表のチームは全国大会で決勝の舞台に立っていない。ベスト4の壁を突破し、優勝トロフィーを掲げることができるか。サイレコ・エスペランサ熊本が九州勢初の大会制覇に挑む。

取材・文=高尾 多恵子 写真=小野 弘明

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