【フェンシング】江村美咲、涙の日本一!2年ぶり4度目…パリ五輪で旗手、銅から「ロスで金」へ

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2024年09月16日 16:28  日刊スポーツ

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フェンシング全日本選手権 女子サーブルで2年ぶり4度目の日本一に返り咲き、感涙で目を潤ませた江村美咲(撮影・木下淳)

<フェンシング全日本選手権>◇最終日◇16日◇静岡・沼津市総合体育館◇女子サーブル、男子フルーレ



パリ五輪(オリンピック)女子サーブル団体で「種目初」の銅メダルを獲得した江村美咲(25=立飛ホールディングス)が2年ぶり4度目の優勝を果たした。15−8で小林かなえ(河合電器)との決勝を制すと、感涙があふれる。「つらすぎた」というパリの重圧や練習パートナーだった小林への思いがこみ上げた。


「今までの全日本選手権は正直、オリンピアンだから負けられないっていう変なプレッシャーがあって。毎回すごく緊張してたんですけど、パリオリンピックが逆につらすぎたので…。だから今大会は、すごくワクワクして、楽しんでプレーできたかなと思います」


客席の父宏二さんや弟凌平(23=オリエンタル酵母工業)からのメッセージなど粋な演出もあり、会場全体から祝福されると、笑顔を取り戻して感謝した。優勝4度。五輪に選手、監督で出場した父の日本一3度を超えて、恩返しした。


パリでは「できなかった」と認める「楽しむ」。それだけ貫くことを考えていた。重圧から解き放たれ、男女を通じて日本初の世界選手権2連覇を遂げた女王の貫禄が戻る。「東京五輪の後や世界選手権の後に迎え、注目された全日本と違って、今日はノビノビ自然体で戦えた」。心身を縛っていた鎖から解放された。


結果は如実に表れた。準々決勝で高嶋理紗(オリエンタル酵母工業)に15−11で、準決勝で尾崎世梨(法政大)に15−7で完勝。8月はメディア出演など多忙で、練習ゼロだったが、信念の「楽しむ」ことを思い出すことが、何よりの改善だった。そうなれば、強すぎた。先月までチームメートだった銅メンバーを軽々連破し、決勝も圧勝した。


世界2連覇で金メダル最有力候補と騒がれた。日本選手団の女性旗手として、今夏の顔になった。ところがパリ五輪の個人は、まさかの3回戦敗退。ただただ「自分が弱い」と言い訳はしなかったが、団体の最終盤に持ち直した時「正直、苦しかった。ずっと苦しかった」と打ち明けた。


「ずっとずっと迷って、何が正解なのか分からないまま、もがいてもがいて。最後にみんなと勝ててうれしかった。目標は金だったけれど、それ以上に価値のある重いメダル」


当時、そう花の都で感傷に浸って以来の実戦復帰。当時は安心、この日は前進の涙を流して、取り戻した本来の姿を、五輪直後で詰めかけた国内のファン、支援者に見てもらった。


優勝杯を手に、堂々と「個人、団体で金メダルという目標が残っているので(28年)ロサンゼルス五輪でリベンジしたい」。この日の動きが「私の理想です!」と断言するほど、吹っ切れた。今後も日本フェンシング界の看板剣士として期待される江村が、復帰初戦にして、早くもパリの苦悩を振り払った。【木下淳】

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