ルノーの次世代F1パワーユニット救済を求める声。プロジェクト引き継ぎに他メーカーが関心を示す可能性も

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2024年10月04日 12:20  AUTOSPORT web

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2024年F1第18戦シンガポールGP ピエール・ガスリー(アルピーヌ)
 ルノーが、すでに次世代F1パワーユニット(PU)の開発を進めていたにもかかわらず、自社のF1エンジンプログラムを2025年末で終了すると発表した後、この決定について、フランス国内において強い批判が起きている。ビリー−シャティヨンのファクトリーの従業員、大きな力を持ったフランスの労働組合、さらにはフランスのモータースポーツメディア全体が、ルノーCEOルカ・デメオとアルピーヌのエグゼクティブアドバイザーであるフラビオ・ブリアトーレに反発、彼らが約50年にわたる伝統を破壊し、ルノー・グループにとって新テクノロジー探求の面での後れにつながる行動を取ったとして、厳しく非難しているのだ。

 現在、ルノーの2026年F1パワーユニット・プロジェクトを救い、ビリー−シャティヨンをこれからもモータースポーツ技術の開発に専念させようという運動が盛んに行われている。そんななかで、世界的なF1人気を受けて、参戦に関心を持っているものの、自社でF1用パワーユニットを設計・開発する技術を持たない小規模なメーカーが、ルノーの技術に目を向けているといわれている。

 そのため、ルノーが2026年仕様のF1パワーユニットの開発のために、さらに数カ月資金を提供し続け、その間に、プロジェクト全体を引き受けるメーカーを探すという提案がなされている。

 候補のメーカーのひとつはヒョンデだ。そのモータースポーツプログラムのボスを、ルノーの元チーム代表シリル・アビテブールが務めているため、ヒョンデがこのシナリオにおいて理想的なターゲットになると考える者は多い。

 一方、アンドレッティと組んでF1計画を立てているゼネラルモーターズも候補のひとつになり得るとみられている。ゼネラルモーターズは、2028年に自社のパワーユニットでF1に参戦すると表明したが、まだ設計の初期段階にいるとの指摘もなされている。そのため、過去2年間にビリー−シャティヨンのファクトリーで開発されてきたものを引き継ぐことができれば、ゼネラルモーターズのプロジェクトを加速させる近道になるだろう。

 他の候補としてうわさされているのは、中国のメーカーだ。彼らは低コストながら比較的高性能な自動車で、ヨーロッパにおいて市場拡大を狙っており、F1参戦は購入者を増やすための完璧なマーケティングツールになると考えるかもしれない。そして、彼らの大半が中国政府から多額の補助金を受けることができるため、資金面の問題はないだろう。

 ただし、今のところデメオCEOは、2026年F1パワーユニット・プロジェクトを救済せよといういかなる呼びかけに対しても抵抗している。彼らはすでに、ビリー−シャティヨンのファクトリーを将来の市販車向け技術を開発する拠点に変えることを決めているのだ。しかし、現在の500人の従業員のうち約170人が解雇される見通しであるため、労働組合は、経営者に対して強い圧力をかけ続けるだろう。激しい労働闘争が発生し、ルノーの市販車製造工場が長期間麻痺する可能性があり、ルノーはさらなる問題に直面することになりそうだ。

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