アコスタがQ2パフォーマンスで見せた非凡さ。バニャイアが使ったマップ。M.マルケスのポールタイム抹消/MotoGP第16戦日本GP

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2024年10月06日 06:20  AUTOSPORT web

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アコスタはスプリント3周目にバニャイアをかわしてトップに立った
 日本GPの土曜日もまた、金曜日に続いて不安定な天候だった。雲が空を多い、小雨が降っては少し強くなり、かと思えば雨がやむ。こんな具合だから、広大なサーキットのなかで自分がいる場所以外の天候は少し違っていたかもしれない。そんな、複雑な天候だった。

 そんな土曜日、予選Q2でポールポジションを獲得して、スプリントレースでトップを走ったのは、ペドロ・アコスタ(レッドブルGASGASテック3)だった。MotoGPクラスでの初優勝も期待されたが、アコスタは残り4周、7コーナーで転倒を喫してリタイアとなった。

 いわゆるS字の一つ目での転倒だが、このコーナーは上りで、カントもついている高速コーナーである。転倒が多い場所ではない。ただ、アコスタがレース後の囲み取材で説明していたところによれば、攻めてはいたがコントロールを失っていたわけではなく、転倒は「自分のくだらないミスだった。ラインを外してしまい、バンク角が少し深かった」のだという。

 アコスタはきっぱりと「言い訳はしない」と、自分のミスを受け入れていた。

「いいものごとをとる必要がある。クラッシュのようによくないことじゃなくてね。今日の僕は速かったし、たぶん、自分のベスト・スプリントだったと思うんだ。僕たちは満足する必要があるし、KTMがどのように進化しているかがわかった」

 方や、そんなアコスタの後ろでレースをしていたフランセスコ・バニャイア(ドゥカティ・レノボ・チーム)は、アコスタの走りを「コーナー進入がとても強かったよ。あと、セクター1と最終セクターだね」と評価している。

 じつはバニャイアは、サイティングラップでコンディションをよく知るために「エコラップ」をしなかったのだそうだ。このため、レースでは出力の小さなマップを使っていた。

「レースがスタートしてすぐに、パフォーマンスを抑えるマップにした。通常のマップに比べると大きく異なるが、レースを完走するにはそれしか方法がなかった。そんな風にしても、チェッカー後、10コーナーで燃料を使い切ってしまったんだ。限界ギリギリだったよ」

 それでもアコスタに大きく遅れを取っていたわけではないところを見ると、バイクとしてのドゥカティのアドバンテージはまだ十分にあるようだった。

 さて、スプリントでの初優勝を逃したアコスタだが、予選Q2でのパフォーマンスも素晴らしかった。Q2のコンディションはとても複雑で、Q1よりも雨が多く落ち、かといってレインタイヤを履くほどでもないというコンディションだった。

 こうした状況で、残り2分30秒の時点で1分42秒868を叩き出したのがマルク・マルケス(グレシーニ・レーシングMotoGP)だった。このタイムは、オールタイムラップ・レコードを更新するものだった。マルケスはこのタイムを見てこれ以上攻めないと決めた。雨がさらに落ちてきていたからだ。しかし、マルケスのタイムは4コーナーでのトラックリミット違反のために取り消しとなる。取り消しとなったのは、チェッカー後のことだった。

 現在、MotoGPのトラックリミット違反はセンサーで管理されている。通常と比べ、「ラップタイム取り消し」のインフォメーションは遅かった。その理由について、チーム提供の情報によれば、

「トラックリミット・センサーはすぐに反応し、ラップが自動的にキャンセルされました。FIM MotoGPスチュワードはすぐにそれをシステムに入力しましたが、残念ながらソフトウェアの不具合によりこのプロセスが中断され、手動でキャンセルする必要が生じました。その結果、通知に遅れが発生しました」

 ということだ。これは初めてのケースであり、再発防止のためにシステムは調整されたという。マルケスにとってはアンラッキーというほかない。

 アコスタがポールポジションを獲得した背景にはそうした状況もあったが、アコスタのタイムもまたオールタイムラップ・レコードを更新するものだった。こうした複雑なコンディションで、ルーキーにして──アコスタの場合、すでにルーキーという言葉は必要ないのかもしれないが──このタイムを叩き出したパフォーマンスは素晴らしいと言える。

 アコスタに、こうした難しいコンディションで、通常はどんなメンタリティーで望むのかと聞くと、「僕は彼らが言っていることをしているだけ」という。「彼らが“オン”と言ったから、(今回のQ2では)いつもよりも少し気を奮い立たせて、ちょっとだけアクティブになるようにしたんだ」と言う。

 アコスタは度々、チームが自分を助けてくれていると言及してきた。今回もそうだった。とはいえ、それを「実行」できる能力もまた、アコスタの非凡さだろう。いずれにしても、日本GP土曜日のアコスタは、彼の優勝が近いことを窺わせた。

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