長年のPixelユーザーがiPhoneに乗り換える前に最新の「Pixel 9/9 Pro XL」を触った理由

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2024年10月10日 19:32  ITmedia PC USER

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ITmedia PC USER

Googleの新型スマートフォン「Google Pixel 9」(左)と「Pixel 9 Pro XL」(右)

 こんにちは! refeiaです。


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 今日はGoogleのスマートフォン「Pixel 9」と「Pixel 9 Pro XL」を見ていこうと思います。突然ですが自分は今「Pixel 8 Pro」のユーザーで、次はiPhoneにすることを決めています。そんな中で担当さんに「Pixel 9シリーズの執筆どうですか」と言われ、内心どうすんねんという気持ちになったものの、触ってみたい誘惑に負けて執筆を受けてしまい今に至ります。


 ちなみに、iPhoneを買うことにしているのは、Androidでだらだら過ごしすぎたからiOSの様子を見ておきたいという理由で、特に何かが嫌になったというわけではないです。また、既に多くの記事が出ており、今さらレビュー的な内容で書いても仕方ないので、自分が興味のあるトピックを中心に書いていこうと思います。それではよろしくお願いします!


●突然メジャーになったGoogle Pixel


 日陰者だった「Google Nexus」のころから触っている自分は遠い目になってしまうのですが、Google Pixelはここ数年で一気にメジャーになりました。Pixel 4aや5aのような「安い・無難・良いカメラ」の三拍子がそろった時期にスマホに覚えのある人に認められていき、最近はTV CMやキャリアの取り扱い、価格戦略の大攻勢で、スマホにさして興味のない人にも認知されています。


 特に飛躍したのが2023年です。2022年までは国内出荷台数シェアではずっと「その他もろもろ」の1つだったPixel ですが、2023年にいきなりAndroidの2番手に躍り出ました。円安でスマホがどんどん高くなる中、Pixel 7の頃は円安追従を抑えることで、割安感も演出されていました。


 そして6万円台前半の「安い・安心・良いカメラ」だったPixel 7aが決定打になったのでしょう。7aはドコモでも取り扱いがあり、田舎に帰った時に親戚のお年寄りがPixelスマホを持っている姿を見かけて、「そんな時代になったか……」と印象深かったのを思い出します。


●上質かつ親しめるデザインに進化


 Googleのハードウエアは、全体的には親しみやすいデザインをかなり重視していると思いますが、Pixelスマホは6シリーズから高級感にかじを切り、8までは何か良い落としどころを見つけあぐねている印象がありました。下の写真は左から6 Pro→8 Pro→9/9 Pro XLです。


 9シリーズについては、iPhoneのような宝飾品性能が必要な人には物足りないかもしれないですが、統一感やバランスも良く、ギラついていなくて、丸みの使い方も上手に見えるので個人的には最近で一番好きなデザインです。


●弱点を残したままiPhoneに追い付いてしまった価格


 そんなGoogle Pixelですが、今回の価格(いずれも直販のGoogle Store価格/税込み)が


・Pixel 9:12万8900円〜


・Pixel 9 Pro:15万9900円〜


・Pixel 9 Pro XL:17万7900円〜


 で、真っ先に思うのが「iPhoneみたいな価格になった!」です。実際に、先のグラフでもPixel 9は価格でiPhone 16をわずかに追い抜いてしまっています。


 一方で、Pixel 9シリーズに搭載されるGoogle独自設計のSoC「Google Tensor G4」は、iPhoneや他社ハイエンド機に搭載されるSoCと比べて性能で何歩も後れを取っている状況は続いています(こちらのページの中程に、Tensor G4とSnapdragon 8 Gen 3の性能比較があります)。


 一般的なアプリを使って遅いと思うことはないですし、実際にPixelシリーズが受け入れられていることからも、多くの人にとってハイエンド機の性能が「どうでもいい領域」に入っているのは確かだと思います。


 ですが処理が重いゲームや、一部のクリエイティブアプリではそうはいきません。他社ハイエンド機と比べるとPixelではスムーズさに欠けたり、待ち時間が長かったりというのは普通に起こります。


 まず、重いゲームをたくさんやりたい人は本機はあまり優先して検討しないのが良いと思います。また正直言って、これくらいの価格帯では目立った弱点が無い事が求められるのが普通だと思うので、本機は「良いディール」を探して買わないと割高感が目立つと思います。幸いにPixelシリーズは公式ストアでもキャンペーンが豊富ですし、未使用中古も手に入れやすいため、買い方を工夫しながら検討すると良いでしょう。


●どう見えるかは端末次第の「とてもキレイに撮れるカメラ」


 まずこの写真を見てください。同じ写真を2台の端末で表示しています。


 印象がかなり違うのが分かるでしょうか。撮影したときの印象に近いのは右です。Google Pixelは少し前から、HDRディスプレイとSDRディスプレイの両対応になる写真の出力に対応していて、それを「ウルトラHDR」と呼んでいます。


 両対応というと聞こえは良いのですが、HDR表示ではしゃっきり、SDR表示ではべっちゃり気味の仕上げになることが少なからずあり、撮影した画像の印象をそろえる努力が不十分に見えます。ウルトラHDRはカメラの設定でオフにできて、上記のような表示端末で表示が変わってしまう問題は解決できますが、明暗差のある美しいシーンを写真に残す機会は損なわれます。


 このあたりは、静止画HDRの表示に対応したデバイスが普及していけばだんだんメリットの方に傾いてくると思いますが、当面はSNSやアプリ対応がまちまちなのも含めて、どの端末で見るかや、誰に見せるかで見え方が変わるという若干の混乱はしばらくは続いていくでしょう。


●なぜか傾いて撮れるカメラ


 Pixel 9 ProやPro XLは、ペリスコープ方式の5倍望遠カメラを搭載しています。


 センサーやレンズの向きがメインカメラと異なるので製造上難しいのだと思いますが、メインカメラから望遠カメラに切り替えたときに


・中心が少しずれたり


・像がわずかに傾いたり


 ということが起こります。これ自体はGoogle Pixel固有の問題でもないですし、三脚に固定して撮るのでもなければ、動画撮影中にレンズを切り替えたときにちょっとぎこちない感じになる以外は問題ないはずです。


 ……ないはずなのですが、本機は現状、このあたりのソフトウェア処理が不思議なことになっており、5倍望遠より下の中望遠ぐらいの領域で余計な問題が出てしまっています。例えば下記の写真、Pixel 9 Pro XLの約4.5倍のズームで、撮影プレビューを見ながら慎重に水平を取って撮影した写真です。


 ご覧の通り、少し傾いていますね。この問題は以前から気になっていたので、手元のPixel 8 Proと、評価機や店頭展示のPixel 9 Proシリーズの合計6つの個体で試してみましたが、そのうち5つで気になる程度に傾いて写りました。


 カメラアプリのフィードバックから報告はしてあり、そのうち直るだろうとも期待しています。ですが、過去には超望遠の領域で傾いて写ったり、ある時期は構図がずれて写ったりと、使っていれば見つけられそうな問題がちょろちょろと目につき、ちゃんと撮りたいときに引っかかるポイントが慢性的にあるなあ……というのが自分の感想になっています。


 とはいえ、基本的には何もかもがよく写るカメラです。上記2つの「悩ましさ」で結局何が言いたいかというと、こだわりと期待が高い使い方をするほどつまずくのなら、望遠カメラや高度なカメラ設定が無い、気軽なPixel 9で良いのでは、ということです。幸い、Pixel 9は望遠カメラ以外にProモデルの差がそれほどないのが特徴でもあり、上記の中望遠傾き問題も発生しません。


●頼りになる通話スクリーニング


 カメラの話はこれくらいにしましょうか。次は個人的にPixelスマホでとても気に入っている機能、「通話スクリーニング」です。


 スマホに自分の代わりに応答させる機能ですが、不要なセールスなどの迷惑電話の撃退にとても役立ちます。経験上、ほとんどの場合で自動応答と知られた時点で電話を切られ、繰り返しかかってくることもありません。すぐに済むのも楽ですし、相手に本当に用があれば話してくれるので、心当たりがない番号のときはとりあえず「スクリーニング」を押せばOKという感じになっています。


 ただ、先日かかってきた迷惑電話は先方も自動音声、当然何のためらいもなく用件を伝えられ、「機械 vs 機械! これが未来の戦争――」みたいな気持ちになりました。


●待望の映像出力機能と液タブ接続の夢


 もう1つ注目しているトピックは映像出力機能です。Google Pixelは長らくUSB Type-C端子からの映像出力に対応していませんでした。GoogleとしてはChromecastなどを使ってほしかったのかもしれませんが、当たり前の機能が無くて単純に不便としか言いようがない状況が続いていました。


 それが2024年の6月ぐらいからPixel 8シリーズに映像出力が追加されています。そこでちょっと夢を見てしまうのが、液タブの母艦としての使い勝手です。


 ワコムの液タブの多くはAndroidデバイスとの接続に対応していますが、ミラーリング画面を表示するだけならともかく、ちゃんと使うには「デスクトップモード」が使える必要があり、対応モデルが多いわけではありません。


 Pixel 9シリーズは現状、「開発者向けモード」から「試験運用版のデスクトップモード」を有効にすることができます。その状態では液タブの画面全体にアプリを表示してタッチやペンで操作でき、筆圧と傾き検知を伴って描くこともできます。


 まだ開発中の機能なので細かくは見ませんが、例えばMovink 13と合わせると、軽量で手軽でありながらプロペン3が利用できる本格的なお絵描き環境になるかもしれませんね。


●まとめ 何だかんだで居心地がいいPixel


 ではまとめていきましょう。


 ……と言いたいところですが、今回は内容が散乱気味なのでまとまりません。


 Google Pixelをいくつか使ってきて思うのは、「何だかんだ居心地が良い」です。アプリストアが複数あり、メーカー独自の基本アプリの使い方を覚えるような煩雑なこともなく、カメラは何でもかんでもどんな条件でも鮮明に写り、長期間/頻繁に来るアップデートも日々使うデバイスとしての安心感を高めています。


 エコシステムの広がりと多彩さが大事なAndroidでは、このような中心に縮こまっていくような面に魅力を感じるのは気がとがめないわけではないのですが、実際に居心地よく感じてしまうのは確かです。


 Pixel 8 Proユーザーの自分としては、今回の9シリーズを使ってみた全体的な感想は「びっくりするほど大差ない」です。


 ですが、6シリーズのようなGoogle Tensor初代ゆえの弱点が多かったモデルからならば、通信の安定性や発熱、バッテリーの持ちなどがずっとこなれているのが分かるでしょうし、カメラも近接撮影や中望遠のような苦手領域が改善して、実用性が大きく向上しています。7シリーズからでも進化を感じ取れると思いますし、サポート期間が長いことを利用して、まったり使うスマホとして検討するとよいでしょう。


(製品協力:グーグル合同会社)



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