3冠王者セラが“祭典”制覇の通算26勝目、現役王者も逆転勝利でマッサは選手権首位奪還/SCB第9戦

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2024年10月11日 12:30  AUTOSPORT web

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今季好調のフェリペ・マッサ(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)が、週末の最多得点者として“Vivo Man of the Race”のトロフィーを獲得するとともに、チャンピオンシップの首位に返り咲いた
 国境を越えて隣国アルゼンチンへと向かい、10月4〜6日に首都ブエノスアイレスのアウトドローモ・オスカー・ファン・ガルベスにて開催されたSCBストックカー・ブラジル“プロシリーズ”第9戦は、ふたりのチャンピオン経験者が土日両ヒートを制することに。

 土曜レース1は22歳の新鋭アーサー・ライスト(フルタイム・スポーツ/トヨタ・カローラ)がストックカー初勝利を飾るかに思われたが、変則的なプッシュ・トゥ・パス操作により処罰を受け、シリーズ3連覇記録を持つダニエル・セラ(ユーロファーマRC/シボレー・クルーズ)がSCB通算26勝目をマーク。

 明けた日曜は、ファイナルラップの逆転劇を演じた王者ガブリエル・カサグランデ(A.マティス・フォーゲル/シボレー・クルーズ)が同地2勝目を飾り、ここアルゼンチンの首都でイベントが開催されて以来「表彰台の頂点に登ったのはチャンピオンのみ」という記録を継続することに。

 そして2戦連続で3位表彰台を得た今季好調のフェリペ・マッサ(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)が、週末の最多得点者として“Vivo Man of the Race”のトロフィーを獲得するとともに、チャンピオンシップの首位に返り咲いた。

 アルゼンチン最高峰のFFツーリングカー選手権『TC2000』をホストとし、TCRサウスアメリカ・シリーズもカレンダー終盤の一戦として組み込まれたレースウイークだが、南米大陸屈指の接近戦を繰り広げるストックカーの走り出しは、やはり参戦全車の間隔が1秒未満、上位18台のギャップはわずか0.5秒という僅差で始まった。

 都合3セッションで首位を記録した37歳のラファエル鈴木(TMGレーシング/シボレー・クルーズ)やチアゴ・カミーロ(イピランガ・レーシング/トヨタ・カローラ)、そしてシリーズ5冠の“帝王”カカ・ブエノ(KTFスポーツ/シボレー・クルーズ)らは、この後の週末もセッション上位で推移することになり、予選ではシケイン出口のタイヤバリアに接触しながらも、鈴木がブエノスアイレスで2年連続、キャリア通算3回目のポールポジションを手にした。

「金曜からとても力強いレースウイークを過ごしている。このような瞬間はめったに起こらないし、それを利用する必要があるね。スライドコントロールを間違えたから完璧ではなかったのが残念だ(笑)」と最速ながら苦笑いの鈴木。

 今回、土曜と日曜のレース時間は40分+1周の共通フォーマットが採用され、現地午後15時半に始まったオープニングヒートでは、インバーテッドグリッドルールの適用によりQ2で12番手タイムを記録していたフェリペ・フラーガ(ブラウ・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)が、シリーズ“2冠”のルーベンス・バリチェロ(モービルエール・フルタイム/トヨタ・カローラ)と並んでフロントロウ発進を決める。

 しかしアルゼンチンに選手権リーダーとして乗り込んできた若手有望株のフェリペ・バプティスタ(クラウン・レーシング/トヨタ・カローラ)が、バトル中の接触からアクスルシャフトを折損し、義務ピットウインドウが開いた8周目の直後にセーフティカー(SC)が発動したことで運命が逆転。首位フラーガや2番手バリチェロの戦略は台無しとなり、ここで勝負権を失ってしまう。

■トラブルが続いたレース2はカサグランデが大逆転
 このピットレーンクローズ前に作業を終えていたライスト、セラ、マッサ、さらにリカルド・ゾンタ(RCMモータースポーツ/トヨタ・カローラ)らが主導権を奪うと、終盤にはカミーロとベテランのフリオ・カンポス(ポール・モータースポーツ/シボレー・クルーズ)がターン1で絡み、この日2度目のSCが導入される。さらにこの段階で、ライストに対し「最初のリスタートにおけるプッシュ・トゥ・パスの運用」について審議中であることがレース運営側から通知される。

 それでもセラのプレッシャーを振り切り、先頭でゴールラインを通過したライストだったが、フィニッシュ数時間後には「リスタート後の最初のラップを完了する前に作動したオーバーテイクボタンの不適切な使用」により、合計レースタイムが20秒加算されるペナルティを受け、セラの勝利と2位ゾンタ、3位マッサの表彰台が確定した。

「勝つのはいつだって良いことだ。例え、このような望む展開のモノではなかったとしてもね。しかし勝利は勝利であり、僕らはチャンピオンシップに向けて良いポイントを獲得している」と、WEC世界選手権レギュラーも務めるセラ。

 しかし3冠王者のシボレーは翌日のレース2でスタート早々に息絶え、コースサイドに停車することに。そしてポールを射止めていた鈴木もまた、トラブルに見舞われ最後尾に後退する失意の展開となる。

 そんななかリードを奪ったのがTOYOTA GAZOO Racingブラジル陣営の一角を担うカミーロで、首位グループのなかで義務付けられたピットストップをいち早く完了し、ここで2本交換を決断。次のラップでアンダーカットを狙ったカサグランデも封じ込んでいく。

 しかし粘り強くカローラのテールを追い続けたチャンピオンのシボレーは、最終ラップ突入と同時にプッシュ・トゥ・パスが有効化されたことで決定的なオーバーテイクの機会を手にし、そのまま大逆転のトップチェッカーを受けた。

「レースは終わる瞬間まで本当にわからない(笑)、チームはボタンの管理で僕を大いに助けてくれたよ」と、タイトル防衛に向け貴重なポイントを積み重ねたカサグランデ。

「チアゴ(・カミーロ)と同時にプッシュを発動したとしても、追い越しは難しい。そこで僕は何か違うことをしようと試み、チームの助けを借りて、彼が追い越しボタンをいつ押すのか、あるいはそうでないのかを知ることができ、勝つことができたんだ」

 一方、週末を通じて連続の3位表彰台を得たマッサは、獲得ポイントを696まで伸ばして12ポイント差でリーダーの座を奪還した。

「我々にとって素晴らしい結果だ。チームとして並外れた仕事をしたし、ピット戦略であろうと、クルマの持つ速いレースペースであろうと、昨日も今日もあらゆるチャンスが僕らに訪れた」と満足げなマッサ。

「ここにいて、レーストラックを埋め尽くしているすべてのアルゼンチンの兄弟たちに盛大なキスを贈ろう。彼らはモータースポーツに深い愛情を持っており、それは多くの国々にとって模範となるだろうね」

 こうしてアルゼンチンの旅を終えたSCBは、今月10月はブラジル国外に留まり、新たな境地を開拓する準備を進行中。続く第10戦は同月24〜26日に初開催地のアウトドローモ・ヴィクトル・ボラット・ファビーニこと、ウルグアイはエル・ピナールにて争われる。

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