「スプリント予選が始まって、コースインした瞬間、今日は厳しい戦いになることがわかった」
F1第21戦サンパウロGPのスプリント予選で4番手に終わったマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はそう語り、こう続けた。
「路面の凹凸がひどくて、クルマをコントロールするのが難しかった。サーキット側は路面を補修したと言うけど、実際には走りにくくなったと思う」
国際自動車連盟(FIA)によれば、サンパウロGPの舞台であるインテルラゴス・サーキットは、ピットレーンを含めて路面が全面的に再舗装されたとなっている。これにより、アスファルトの表面の摩擦係数(ミュー)は下がり、摩耗レベルは昨年の測定値より大幅に低下した。だが、湖の間に作られたインテルラゴス・サーキットは、元々地盤が軟弱で、そのアスファルトの土台となる地面の凹凸がなかなか改善されない。そのため、アスファルトを新しくしても、場所によってアスファルト自体が波を打った状態となっている。
「どこもかしこも非常に凸凹していて、僕たちのクルマにはよくない。 凸凹したエリアではクルマが大きく跳ねてしまい、残念ながら、それがかなりのタイムロスになっている」(フェルスタッペン)
レッドブルのヘルムート・マルコ(モータースポーツアドバイザー)によれば、「ターン4と9でマクラーレンに比べてあまりにも多くの時間を失っている」という。ターン4もターン9もセクター2にある。
スプリント予選でトップタイムをマークしたオスカー・ピアストリ(マクラーレン)とフェルスタッペンのセクターごとの区間自己ベストタイム差を比較すると次の通りになる。
セクター1:+0.032秒
セクター2:+0.251秒
セクター3:+0.037秒
ピアストリとの0.32秒差のほとんどを、バンプの多いセクター2で失っていることがわかる。
レッドブルの今年のマシン『RB20』がバンプの多いサーキットを不得手としていることは、24戦中最もバンプが多いシンガポールGPで昨年唯一黒星を喫していることからもわかる。今年のシンガポールGPでは予選2番手となったものの、それでもポールシッターのマクラーレン(ランド・ノリス)との差は0.203秒あった。
スプリント予選が開始されてコースインした瞬間にマシンはパルクフェルメ状態となっているため、フェルスタッペンのマシンは車高も含めて、基本的なセッティングは変更できない。
ただし、雨が降ると状況は変わるかもしれない。もし、土曜日に雨が降っても、スプリントまでは冷却系以外のセットアップは変更できない。だが、雨が降ることで車速が遅くなってダウンフォースが下がれば、マシンを地面に押し付ける力が低くなり、マシンの底が地面と接触する割合が減るからだ。
それでも、現時点でRB20にマクラーレンを上回る要素は見当たらない。フェラーリと戦い、2台のマクラーレンの直後でチェッカーフラッグを受けることが、現実的な目標となるだろう。