前回からの続き。私はヒトミ。兄と妹がいて、3人きょうだいの真ん中です。実家からすぐ近くのところに夫と2人で住んでいます。父が亡くなり、死亡保険金の受取人が私の名前だけになっていたことで、私たちは揉めてしまいました。「このまま3人きょうだいがバラバラになってしまうのでは」と心配していた私ですが、少し経ったころに兄から「実家に集まってほしい」と連絡がきました。どんな顔で会えばいいものやら……と悩みましたが、とにかく行ってみることにしました。
約束の日に実家に向かうと、兄だけでなく妹もいました。少し気まずい私と妹をよそに、兄はなぜか楽しそうです。この間はあれだけ揉めたというのに……。そして「ちょっと来てくれ」と言い、私たちをとある場所に連れて行きました。
最初は気まずい気持ちもありましたが、つい私も懐かしくなって口を挟みます。兄は楽しそうに話を続けます。
2人は私が昔から勉強ができたと思っているようですが、「そんなんじゃないよ」と言うとキョトンとした顔で私を見ました。
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兄に呼ばれて、私たちきょうだいは実家に集まりました。最初は気まずさもありましたが、3人で実家にいると、当然ながら子どものころのことを思い出します。
家じゅうを見て回って「この傷はあのときの……」なんて話しているうちに、懐かしい思い出がよみがえってきました。
子どものころには言えなかった、兄と妹の仲の良さにちょっとだけヤキモチを妬いていたことも話しました。
実家で3人で過ごす時間は、私たちを少しだけ素直にさせてくれたような気がします。そして、私たちは再び話をはじめることにしました。
【第9話】へ続く。
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