今や日本人の3人に1人は<推し>がいる時代。アイドルやアニメ、キャラクターなどを<好き>という気持ちを超えて応援する活動=<推し活>という用語もすっかり浸透した。推し活にまつわる市場規模もますます成長しており、興味を持ち始めた人もいるはずだ。そこで『推し活を20倍楽しむ 〜オルタナ好きの僕がグループアイドル沼に嵌った15年と学んだ秘訣20』の著者・中村辰之介さんに、推し活上級者に向けて、“他人と”推し活を共有し、より満喫するためのノウハウやSNSとの付き合い方について、自身の経験から語ってもらった。
【画像】まさに「推し活」のガイド本! 中村氏の著書
■人間関係を壊さずに推しを布教・共有するポイント
「推しができたら誰かに<布教>したくなるもの。仲間ができたら、推し活はもっと楽しくなるという可能性もありますよね。何より推しの新規ファンが増えたら、こんなにうれしいことはありません。
ただし誰もが自分の推しを好きになってくれるとは限らないですし、薦め方を間違えると人間関係を壊す危険性も考えられます。僕もヨリが戻りつつあった元カノに推しのアイドルを薦めた結果、引かれてしまったという苦い経験をしています……。
ちなみに僕は映画ファンでもあるのですが、<おすすめの映画>を聞かれたらまずその人に「どんな映画が好きか?」を尋ねます。そしてその人の趣味を理解した上で勧めるようにしています。
推しは趣味性が高いものが多いですし、<押し付け>は何もいい結果を生まないと思っています。布教活動は<自分の推しと相手の好みが合致したらラッキー>くらいの気持ちが、ちょうどいいのではないかと思います」
■Instagramやnoteなど、推し活ツールとしてのSNSとの付き合い方
「SNSは手軽でありつつ、広範囲に推しの魅力を発信できる強力な布教ツールです。特に僕は<世界>を意識して、英語・韓国語・中国語に翻訳したSNS投稿をしています。推しのSNSのリプ欄に少しずつ海外のフォロワーが増えているのも、少なからず僕の影響があるのではと思っています。
とは言え、SNSは文字数が少ない分、意図が間違って伝わることもあります。それに対する揚げ足取りや、噛み合わないリプの応酬などメンタルがやられがちなのも、SNSを通した推し活あるあるです。
僕はなるべく衝突を避けたいほうなので、不毛なリプが終わらないと感じた時は『次回は違う角度で書いてみますね』などと一言添えて会話を切り上げます。ひょっとしたら推しも自分のSNSを見るかもしれないですし、そこで悪意あるリプ合戦が繰り広げられていたら、推しを悲しませます。SNSユーザー同士の適切な距離感は、より良い推し活の基本かもしれません」
【中村 辰之介プロフィール】
1983年、愛媛県宇和島市出身。奈良大学大学院文学部国文学科修士課程修了。現在、出身地で会社勤務。「栄、覚えていてくれ」名義でnote、ブログを中心に活動。クラウドファンディングにて自身の雑誌『かける人』を年1回のペースで発刊。kindle電子書籍による著書に『推し事3.0宣言』、『黄昏の彼女たち〜AIイラスト+人間俳句』、『持続可能な推し事〜推しと金、ファンと金〜』がある。