東海エリアの国道沿いの食堂跡地に「何らかの事情で、背中や尻尾に怪我をして動けなくなっている猫がいる」との情報が入りました。聞けば、この場所では以前食堂が営業していましたが、休業後もトラック運転手が駐車場で休息を取ることが多く、そんな人たちからエサをもらう外猫たちが多く暮らしているとか。
【写真】保護施設にやってきたうしおは常にイライラ。トイレをベッド代わりにして怒った表情でした
情報を得た静岡県の保護団体、アニマルフォスターペアレンツ(以下、アニマルフォスター)のメンバーはすぐに現場に急行しました。
保護時メンバーが一瞬たじろいだその理由は…
食堂跡地には、情報にあった「動けなくなっている猫」らしき姿は見当たりません。メンバーは周囲をしばらく探しても見つからないため、諦めて帰ろうとしたところ、その傍でじっと動けぬままジッと座っている猫に気が付きました。「背中や尻尾に怪我をしている」という事前情報とも合致したため、そのまま保護しようと思ったメンバーでしたが、その体にたじろぎました。
猫のけがの付近には、ウジ虫が湧いていたのです。ウジ虫は取り払おうとしてもなかなか取れるものではありません。そのため、まずは猫を布にくるみ動物病院に急ぎました。
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診てくれた獣医師によれば、けがの治療に加えてウジ虫の除去をしなければならないため、数日間は入院が必要とのことでした。
猫エイズキャリアであることが判明
のちにこの猫につけられた名前は「うしお」。数日間の入院生活を経て、ウジ虫は全て取り除かれ、保護当初に比べ元気を取り戻してくれたように映りました。
退院時に獣医師は「またいつウジ虫がわくかわからない。これからの治療でけがが完治しても外猫として戻さず、必ず室内で世話してください」と話しました。さらには血液検査で猫エイズウイルス陽性も判明しました。
猫エイズウイルスは、キャリアであっても発症せぬまま生きる猫も多いですが、ノンキャリアの猫と隔離する必要があります。そのため、メンバーは団体の施設の中でも猫エイズウイルスキャリア専用部屋でうしおをお世話することにしました。
怪我の痛みか環境への不満からかずっとイライラ
退院時は、メンバーに心を寄せる素振りを見せたうしおですが、保護施設に来てから一変。ずっと「シャーシャー」「フーフー」と怒り続けていました。
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メンバーが心配したのは、治っていたけがの部分のカサブタが取れて、真っ赤な皮膚が露出したこと。獣医師によれば「これは繰り返さないと治らない」とのことですが、もしかしたら、痛みからうしおはイライラしていたのかもしれません。
現時点ではまだ他の猫とも積極的に交流できる状態ではなく、けがの治療もあり里親募集にはかけられていません。しかし、この先、完治と合わせて、うしおが再び人間に甘え、他の猫とも心を通わすことができる猫になってくれることを願い、メンバーは今日もうしおのお世話を続けています。
そして、心身ともに元気を取り戻してくれたあかつきには、これ以上辛い目に遭うことがないよう、うしおを家族として迎え入れてくれる「ずっとのお家」が見つかることを願うばかりです。
(まいどなニュース特約・松田 義人)
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