大逆転タイトルを狙うトヨタ、ラリージャパンで決戦へ。「完璧に近い週末にする」とラトバラ代表

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2024年11月15日 18:30  AUTOSPORT web

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2024年WRC第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリー 勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)
 TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)は、11月21日(木)から24日(日)にかけて、愛知県および岐阜県で開催される、2024年FIA WRC世界ラリー選手権の最終戦『ラリージャパン』に、3台のトヨタGRヤリス・ラリー1で出走し、マニュファクチャラー選手権の逆転をかけて戦う。

 3台のクルーとなるのは、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)で、2024年を締めくくるこの第13戦にて、シーズン8勝目とマニュファクチャラーの王座獲得を目指す。

 ここまで12戦を戦い7勝をあげてきたTGR-WRTは、チームにとってのホームイベントであるラリージャパンに、大きな期待を持って臨む。

 毎戦のように激しい優勝争いが繰り広げられてきた2024年シーズンでトヨタは、第11戦チリでワン・ツーフィニッシュを達成してフルポイントを獲得し、マニュファクチャラー選手権で大幅に追い上げた。第12戦セントラル・ヨーロピアン・ラリーも終えた段階で、現在15ポイント差でヒョンデ・シェル・モービスWRTを追っている。

 2023年のラリージャパンではエバンスが優勝し、オジエが総合2位、カッレ・ロバンペラが総合3位に入り、TGR-WRTはホームイベントで表彰台を独占している。

 今大会においては、欠場のロバンペラに代わり勝田がマニュファクチャラーズポイント獲得資格を持つドライバーとして出場する予定だ。昨年、勝田はラリー序盤にスピンしたことでクルマにダメージを負ったが、その後9本のステージでベストタイムを記録するなど、地元愛知県で抜群の速さを発揮した。

 また、前戦のセントラル・ヨーロピアン・ラリーでも総合4位に入り、『スーパーサンデー』の制覇とパワーステージのベストタイムなど、前哨戦のターマック(舗装路)で高いパフォーマンスを示している。

 2024年のラリージャパンは過去2大会と同じく、今年も愛知県豊田市の豊田スタジアムにサービスパークが置かれ、スタジアム内には昨年とレイアウトが異なるスーパーSSのステージが設けられる。

 ラリーはまず21日(木)の午前9時過ぎから豊田市の『鞍ケ池公園』でシェイクダウンが行われ、その後豊田スタジアムでのセレモニアルスタートに続き、午後7時過ぎからデイ1として競技がスタート。全長2.15kmの『トヨタスタジアムSSS1』で戦いが幕を開ける。

 山岳地帯の舗装路を舞台とする本格的なステージは、22日(金)のデイ2からスタートし、愛知県の豊田市および設楽町で『イセガミズ・トンネル』、『イナブ/シタラ」』という昨年と同じルートを使用する2本のステージを走行。その後、新城市に新たに設けられた『シンシロ』を走行する。このうち、全長23.67kmの『イセガミズ・トンネル』は、前年に続き今大会最長のステージだ。

 デイ2はミッドデイ・サービスの設定がなく、『稲武どんぐり工房』に設定されるTFZ(タイヤフィッティングゾーン)での簡易的なサービスを経て、午後は3ステージを再走する。

 そして一日の最後には、岡崎市の中央総合公園でスーパーSS『オカザキSSS』を2本連続で行う予定だ。一日の最後には豊田スタジアムで45分間のフルサービスを実施し、デイ3に備える。なお、デイ2のステージの合計走行距離は126.00kmと長く、4日間で最長の一日だ。

 競技3日目、23(土)のデイ3は岐阜県が主な舞台となり、今年新たに恵那市の笠置山周辺に設けられた『マウント・カサギ』で一日がスタート。その後『ネノウエ・コウゲン』、『エナ』という前年大会と大部分が重なる2本のステージを走行する。デイ3もまたミッドデイ・サービスの設定はなく、中津川公園でのTFZを経て3本のステージを再走。その後豊田市へと向かい、豊田スタジアムでの2回目のスーパーSSで一日が終了する。

 そして競技最終日24(日)のデイ4は、豊田市と岡崎市で『ヌカタ』、『レイク・ミカワコ』の2本のステージを各2回走行。その途中には豊田スタジアムでのミッドデイサービスに続くかたちで、3回目のスーパーSSが行われる。最終ステージとなる『レイク・ミカワコ』の再走ステージは、SS21はトップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる『パワーステージ』となる。ステージは昨年よりも1本少ない全21本で、その合計距離は302.59km。リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1024.34kmだ。

 マニュファクチャラー選手権の逆転を目標にホームラリーへ挑むTGR-WRTのヤリ-マティ・ラトバラチーム代表は、「我々のモチベーションは高く、日本でタイトルを勝ち取るために全力を尽くす」と意気込んでいる。

「我々にとってのホームイベントのひとつであるラリージャパンは、チームにとって非常に重要な一戦であり、誰もが注目するエキサイティングなラリーになる」

「WRC2を含め、全ての主要な選手権はまだ決着がついていない。マニュファクチャラー選手権でタイトルを獲得するチャンスはまだ残っているので我々のモチベーションは高く、日本でタイトルを勝ち取るために全力を尽くすつもりだ」

「我々にとっては完璧に近い週末にすることが必要だが、ラリー・チリではそれを実現しており、昨年の日本ではワン・ツー・スリーフィニッシュを達成できたので、充分に可能であると考えている」

「ドライバーにとっては難しいラリーで、この時期は天候も予測不可能だが、それもまた我々にとってはチャンスとなり得るだろう。エルフィン(・エバンス)は昨年優勝しており、そのようなコンディションを好むだろう。一方、セブ(セバスチャン・オジエ)はシーズンを最高のかたちで終えたいと思っているはずで、(勝田)貴元はセントラル・ヨーロピアン・ラリーでの好成績もあり、自信を持ってホームイベントに臨むことができるはずだ」

 なお、WRC2にはタイトル獲得を目指すサミ・パヤリ(プリントスポーツ)がトヨタGRヤリス・ラリー2で出場。今季トップカテゴリーにも3回挑戦して速さを見せたパヤリは、WRC2で2位以内に入れば選手権王者となる。また、パヤリ以外にも、今年ラリー・ポルトガルでWRC2優勝を飾ったヤン・ソランス(テオ・マルティン・モータースポーツ)、TGR WRCチャレンジプログラムの2期生である小暮ひかると山本雄紀、今年英国ラリー選手権(BRC)の王座をMEMチームとともに獲得したクリス・イングラムも、トヨタGRヤリス・ラリー2で参戦する予定となっている。

 そして、全日本ラリー選手権の歴代王者である勝田範彦(ラック・ウイズ・ルーキーレーシング・ラリーチーム)、ヘイキ・コバライネン(ラリーチーム・アイセロ)、奴田原文雄(ヌタハラ・ラリー・チーム)も加わり、全部で8台が出走するトヨタGRヤリス・ラリー2にも注目だ。

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