大河ドラマ『光る君へ』で大人気…“演技派”タレント猫はオフの日もかわいすぎる!

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2024年12月01日 09:10  女子SPA!

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 今、日本は空前の猫ブームだ。近年では犬の飼育頭数を猫が上回り、その数なんと900万頭超(※)。人々を魅了してやまない猫の魅力とは何か。

 大河ドラマ『光る君へ』に登場する猫・小麻呂役で話題のタレント猫・ニモくん。動物プロダクション「グローバル・アニマルアクト」代表の菊田秀逸氏に大河ドラマ出演の経緯や、タレント猫への気遣いなどを聞いた。

(※2023年現在。一般社団法人ペットフード協会調査より)

<本記事は、『別冊SPA!猫が好きにもほどがある』より一部抜粋し、再編集しています。>

◆大河ドラマで話題のタレント猫

 源氏物語の作者・紫式部の生涯を描く大河ドラマ『光る君へ』(毎週日曜20時〜NHK総合ほかで放送中)に、左大臣家の姫君・源倫子の愛猫「小麻呂」として登場し、「かわいすぎる!」と話題沸騰の猫がいる。動物プロダクション、グローバル・アニマルアクト所属のニモくん(9歳・オス)だ。

 茨城県稲敷市、新利根川のほど近くにある自然豊かな事務所を訪ねると、代表の菊田秀逸さんがニモくんと共に柔和な笑顔で迎えてくれた。

「僕は、猫好きというよりも動物オタクかな(笑)。動物園の飼育員時代に担当していたのはカモシカ。

 その後はエキゾチックアニマルと呼ばれる犬猫や家畜以外の特殊な動物の輸送や撮影、イベントのサポートをするようになり、気がつけば40年近く動物に携わる仕事をしています。ただ、まさか動物プロダクションの代表になるとは思っていませんでしたね(笑)」

◆ニモくんが大役に抜擢された決め手とは

 菊田さんがグローバル・アニマルアクトを任されるようになったのは、9年前。アニマルトレーナーの第一人者として知られていた佐々木道弘さんの急逝を受け、氏が運営していた伝統ある佐々木動物プロダクションの技術と精神を引き継いだ。

「現在、34頭の猫以外に犬、馬、ヤギ、羊、インコなどの鳥類、イグアナなどの爬虫類、ウサギ、ハリネズミ、変わり種としてカタツムリもいますが(笑)、近年は猫へのオファーが多く、ブームを肌で感じます」

 自由気ままで、ほかの動物に比べて演技をさせるのが難しいといわれている猫。ニモくんが大河ドラマの大役に抜擢された決め手はなんだったのか?

「人間のタレントさんと同じように動物タレントにもオーディションがあります。

 書類選考を経て、うちからは5頭の猫がオーディションに参加し、カメラテストで『カメラ目線ができるか?』『呼んだら来るか?』『抱っこを嫌がらないか?』などの演技力を見られたのですが、ニモは、実際に平安時代の絵巻物にも登場する柄だったことと、動きが一番俊敏だったことから選ばれたようです」

◆俊敏性が生かされた名演技が大きな話題に

 ストーリーのカギとなる演出に絡み、最もバズった第7回「おかしきことこそ」では、雨の中に飛び出す俊敏性を生かした演技が光っていたが、安否がわからないままだったので、小麻呂ファンは不安な1週間を過ごすこととなった。

 しかし、翌週の第8回は小麻呂が倫子の元で愛らしくくつろいでいるシーンから始まり、SNSには「速報・小麻呂無事!」と安堵する投稿が相次いだ。

「猫は基本的に濡れるのを嫌がる子が多いのですが、ニモは雨の演出もさほど気にせず頑張ってくれました。

うちでは演技のトレーニングというよりも、猫の気持ちを乗せてあげることや、撮影後にいかにストレスを発散させてあげられるかに重点を置いてお世話をしています。僕たち人間も仕事のストレスを飲みにいったり、運動したりすることで発散しますよね」

◆演技の向き不向きは猫種や性格にも左右される

「また、日常の習慣として僕たちトレーナー以外の人にも触ってもらったり、いろんな場所に連れていったりすることで、慣れるというか『自分はこういう世界に生きているんだな』と理解してもらうことで、大勢の人や大型機材があるような撮影環境でも萎縮することなくこちらの指示に応えてくれるようになるんです」

 演技ができるか否かはもちろんトレーニングや慣れ次第の部分はあるものの、猫種や性格にも大きく左右されるそう。

「ニモもそうですが、撮影に強いのは比較的おっとりしている和猫だと思います。猫種でいうとロシアンブルーやアビシニアンは神経質な子が多い傾向にありますし、白猫は総じてシャイな性格の子が多い印象ですね」

◆猫たちはどんな経緯でプロダクションへ?

 これまでにも、映画『ねこあつめの家』やドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』、日産デイズの特設Webサイト『にゃっさんデイズ』などに出演してきたニモだが、そもそもタレント猫たちはどんな経緯でプロダクションに在籍することになるのだろうか?

「動物プロダクションというのはとてもニッチで、専門にしているのはうちともう一社くらいしかありません。あとはペットショップが母体で、読者モデルのように一般の方のペットを登録制で管理しているのが一般的です。

 ニモは僕が引き継いだ時点ですでにいた子なので詳細な経緯はわかりませんが、ブリーダーさんの元で生まれ、子猫のときからうちにいます。他の子たちもブリーダーさんや獣医からの紹介、保護猫などさまざまなバックグラウンドがありますが、基本的には知り合いを通してスカウトしています」

◆かわいさはもちろん命の尊さも伝えたい

 現在34頭の猫がいるグローバル・アニマルアクトだが、よほどのことがない限り子猫の撮影は受けていないという。

「そんなに都合よく撮影に合わせて生まれませんし、子猫の時期は免疫状態も不安定ですからね。特殊な業界ゆえにまだまだビジネスモデルが確立されておらず、正直なところ僕自身も動物を愛していながら、動物にとってストレスになることをしてしまっているのではないか? という矛盾を常に抱えています。

 猫のかわいさ、愛らしさはもちろん、かけがえのない尊い命なんだということを、この仕事を通して伝えていかなければいけないと思っています」

 大注目のタレント猫の背景には、知られざるスタッフの苦労や深い思いがあった。

<取材・文/仲田舞衣 撮影/門嶋淳矢>

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