【宮田莉朋F2密着】不利な状況で粘り切って掴んだ7月末以来の入賞「勇気ある決断で貴重な1点を獲れた」

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2024年12月02日 06:40  AUTOSPORT web

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2024年FIA F2第13戦ルサイル 宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)
 12月1日に行われた2024年FIA F2第13戦ルサイルのフィーチャーレース。セーフティカー(SC)が2度導入される波乱の展開のなか、プライムタイヤ(ハード)でのスタートを選択した宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は10位でチェッカー。7月28日に行われた第10戦スパ・フランコルシャンのフィーチャーレース以来6レースぶり、今季7度目のポイント獲得を果たした。

 前日のスプリントレースと同じく15番グリッドから上位を目指した宮田は、オープニングラップのターン1をアウト側から攻めるも続くターン2で少し行き場を失い、ジョシュア・デュルクセン(AIXレーシング)、ゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)にかわされ2つポジションダウン。そこからは様子を見ながら周回を重ねた。

 レースが動いたのは8周目。アンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)がターン2でマシンを止めたことでバーチャル・セーフティカー(VSC)が導入され、その後SC先導に切り替えられた。

 宮田はスタート時にプライムタイヤを履き、前半スティントを長めにする作戦を考えていたが、このSC導入を受けてピットインしオプションタイヤ(ミディアム)への交換を完了。SC中にピットストップを済ませたことで11番手に浮上すると、再開後もライバルがピットに入っている間に順位を上げ、一時は8番手につけた。

 しかし、レースの3分の1にも満たない序盤にオプションタイヤへと履き替えたため、タイヤのデグラデーション(性能劣化)の影響を大きく受けることになった。中盤は自己ベストタイムを更新し順調な走りを見せていたが、終盤になると後方からタイヤコンディションが比較的良いライバル勢が接近する。クリスチャン・マンセル(トライデント)やジョン・ベネット(ファン・アメルスフォールト・レーシング)らの先行を許すも10位でチェッカー。1点獲得の権利を死守して6レースぶりとなる入賞を果たした。

 フィーチャーレース後、宮田は安堵の表情を見せつつも「正直、戦略的にはベストではなかったですね」と、振りかった。

「オプションスタートのドライバーがプライムに履き替えた際に、どれだけ対抗できるかというのが一番警戒していた部分でした。ただ、今回のように序盤にSCが出ると、ああいう展開になるリスクも出てきてしまいます」と今回の戦略について振り返った。

「タラレバにはなりますが、昨日のスプリントレースでは周りと同じタイヤで順位を上げられていたので、(フィーチャーレースでも周りと)同じストラテジーでやっていれば、さらに良いポジションで行けたと思います。同じシチュエーションで、同じストラテジーであれば5番手くらいで戻ることができ、そこから表彰台争いまで行けたかもしれませんね」

「でも、今回はエンジニアに(ストラテジーの判断を)任せて、あのSCの際にも『ピットに入ろう!』となりました。その勇気ある決断をしたから貴重な1点を獲ることができたと思います。あそこで入っていなかったらポイントは獲れていませんでした。自分もタイヤマネジメントをしながら……当然厳しかったですけど、同じところでピットに入ったクルマには抜かれずに済んだので、そこは最低限のことをやり切れたかなと思います」

 なお、22台中7台がプライムタイヤでのスタートを選択。宮田はプライムスタート勢の中では6番目のポジションでスタートを迎えたが、プライムスタート勢最上位でチェッカーを受けている。

 それでも、戦略の部分については少なからず悔しさを感じている様子の宮田。ただ、「それも今回学べたことです」と前向きに捉えており、レース中のペースについても手応えを掴んでいた。

「カタールでのFIA F2は初開催で僕も初めて来ました。FIA F2ドライバーのなかには“初めてではない”人もいますが、僕はチームメイトよりも速かったし、本当に同じ条件(全員が事前練習をしない初経験の状態)でレースをしたら、悪くないポジションにはいけるのかなと思いました」

「また、昨日のスプリントレースではペナルティを受けましたが、順位を上げるというところはできて、周りと戦えることがわかりました。この先も自分らしくやっていけば、自然と結果がついてくると思えるような……自信につながるレースに今回はなったと思います」

 次戦は2024年シーズン最終戦となるアブダビのヤス・マリーナ・サーキット。宮田は2023年末のポスト・シーズン・テストにおいて同コースを経験済だ。2024年は走行経験のあるコースでは上位に食い込む勢いを見せていたが、このアブダビに関しては「経験があるとはいえ、アブダビでレースをしたことはないので、正直また同じような厳しいレースウイークになるかもしれないと思っています」と、宮田はあくまで慎重なコメントに留める。

 それでも「2024年シーズン最後のレースですし、このカタールとアブダビは……具体的には言えませんが心機一転みたいなところもあるので、2024年シーズンの集大成として予選から良い順位をキープして週末を終えられるように頑張りたいなと思います」と、そう語る宮田からは6レースぶりのポイント獲得で良い流れを掴めそうな、そんな雰囲気が感じられた。

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