衆院選で運動員に報酬を支払う約束をしたとして、東京26区から無所属で出馬した医師田淵正文容疑者(66)=落選=らが逮捕された事件で、同陣営が当初、運動員らの労働時間をタイムカードで管理していたことが2日、捜査関係者らへの取材で分かった。
選挙運動の報酬を振り込むため、運動員らの銀行口座を確認していたことも判明。警視庁捜査2課は、田淵容疑者らには当初から報酬を支払う意図があったとみて調べる。
複数の関係者によると、陣営は当初、タイムカードに就業開始と終了時を打刻させ、運動員の労働時間を管理していた。打刻するタイムレコーダーは、田淵容疑者が経営する病院に置いていた。
選挙活動の現場に直行、直帰する運動員が多い中、労働時間の管理方法は途中で変更された。ある運動員は、タイムレコーダーを使う代わりに、カードに手書きで労働時間を記入して提出。別の運動員は労働開始時間と場所が分かるよう現場で自分の姿を撮影し、選挙スタッフ取りまとめ役の小林繁容疑者(37)に送るように求められたという。
田淵容疑者らは運動員に対し、報酬の支払いに必要な銀行口座の情報を、カードの台紙に書き込むよう指示もしていた。
田淵容疑者は選挙運動終了後、運動員らに対し、陣営メンバーのLINEグループからの退出を指示したことがこれまでに分かっている。
田淵、小林両容疑者は10月上旬、20〜30代の会社員や大学生ら4人に選挙運動の報酬として時給1500円の支払いを約束したとして、公選法違反(買収約束)容疑で先月30日に逮捕された。捜査2課によると、報酬の支払いは現時点で確認されていない。