トヨタ・カローラGRS TCRが有終の美。前戦終了後に“勝利剥奪”の旧型プジョーが初戴冠/TCR南米最終戦

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2024年12月02日 17:50  AUTOSPORT web

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マティアス・ロッシ(トヨタ・チーム・アルゼンティーナ/トヨタ・カローラGRS TCR)が、雨天の難コンディションと化した勝負で愛機との有終の美を飾る
 アルゼンチン・サンタフェ州最大の都市であるロサリオにて、11月30日〜12月1日に最終決戦のときを迎えた2024年のTCRサウスアメリカ・シリーズ第10戦は、前戦終了から約1週間後に失意の“最終結果除外”裁定を受けていたペドロ・カルドゥソ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)が、予選ポールポジション獲得からレース1で完勝を飾り、自ら王座への可能性を手繰り寄せる。

 そして今季最終ヒートのレース2では、トヨタ陣営のTCR車両開発担当者として今季より本格参戦を開始したマティアス・ロッシ(トヨタ・チーム・アルゼンティーナ/トヨタ・カローラGRS TCR)が、雨天の難コンディションと化した勝負で愛機との有終の美を飾り、ここで4位フィニッシュとしたカルドゥソが、ブラジル出身ドライバーとして初の南米王座に輝いた。

 前戦11月初旬のテルマス・デ・リオ・オンドにて、アルゼンチン最高峰のFFツーリングカー選手権TC2000で“4冠”を決めた現役王者リオネル・ペーニャ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)とともに3位表彰台を獲得。ポイントリーダーの座を取り戻していたカルドゥソだが、レースウイークを終えてライバル陣営であるW2プロGPからは抗議が提出されていた。

 その内容を検証したスチュワードは、調査の結果PMOレーシングの2台のプジョーがTCR技術規則3.8の「ローンチコントロールシステムについて」の「技術基準に適合していない」と判断。両名は優勝と3位の結果から除外され、代わってファン-マヌエル・カゼッラ(スクアドラ・マルティーノ/FL5型ホンダ・シビック・タイプR TCR)が選手権首位に返り咲き、カルドゥソに対して20ポイントのアドバンテージを得ることとなった。

 この流れに奮起したか。その当事者であるカルドゥソは、メインストレートの始まりと終わりにバンクがあり、タイヤ摩耗が重要な課題となるアウトドローモ・ファン・マニュエル・ファンジオをいち早く攻略。予選からロッシのカローラに0.111秒差、僚友ペーニャも0.4秒差で抑え、シーズン最後のポールを攫った。

「これ以上良い展開はないね」と予選セッション後、カゼッラとの差をわずか3ポイントに縮めたカルドゥソ。「素晴らしいスタートだ。明日のレース1で優勝することを考えている。とてもうれしいし、最初のレースでアドバンテージを得て、その後はファン-マヌエル・カゼッラに対し順位をコントロールしたい」

「もちろんスタートシステムにいくつか変更を加えたが、このラウンドでは補正ウエイトがないので、これは良いことだ。明日は雨が降るかもしれないから、どうなるか様子を見てみよう」

■レース2は降雨で難路面に。タイトル候補のカゼッラには災難
 明けた日曜午前9時にスタートが切られたレース1はドライコンディションのまま進むも、オープニングではファビアン・シャナントゥオーニ(パラディーニ・レーシング/トヨタ・カローラGRS TCR)とダミアン・フィネンチ(PMOレーシング/プジョー308 TCR)が絡み、早々のセーフティカー(SC)が発動する。

 しかし3周目の再開後もポジションを堅持したポールシッターは、ロッシとペーニャのTC2000常勝コンビを従えて"ライト・トゥ・フラッグ"での今季3勝目を飾ることに。これで7位に終わったカゼッラを逆転して19ポイント差をつけた。

「目標を達成した。とても良いレースだった」と満足げな表情を浮かべた勝者カルドゥソ。「マティアス(・ロッシ)が前半に非常に強いペースを見せたから、簡単ではなかったよ。でも仕事の半分は終わったし、あとはタイトル獲得に向けて頑張るだけだ」

 現地時間12時25分開始のレース2は、それぞれ2番グリッド発進のカゼッラは必勝、同10番手発進のカルドゥソは7位以上でフィニッシュする必要があり、さらにスタート直前には小雨が舞う難しい条件と化すなか、前戦でタイトル候補の資格を逸したラファエル・レイス(W2プロGP/クプラ・レオンVZ TCR)だけがウエットタイヤに賭ける唯一のドライバーとなる。

 そんななか、王座を目指す2名はともにスタートでポジションを3つ落とすと、早くも2周目からは本格的な雨が降り始める。瞬く間に路面に水たまりが多数発生する状況となり、ここでSCが投入されると、溝付きを履くレイスがまさかのコースアウト。残る全選手がピットインし、レインタイヤへの換装を済ませる。

 ふたたび7周目でグリーンを迎えると、仕切り直しのウエットレースで3番手ロッシが躍動。8周目には2番手ファン-アンヘル・ロッソ(パラディーニ・レーシング/トヨタ・カローラGRS TCR)を、12周目にはその僚友シャナントゥオーニをパスして首位に躍り出る。

 一方、タイトル候補のカゼッラには災難が降り掛かり、右後輪が外れて3輪走行の状態でピットに戻り、ここで王座挑戦権を失ってしまう。これでロッシがカローラGRSで3勝目を飾り、シャナントゥオーニと挽回のレイスに続き4位でチェッカーを受けたカルドゥソが初のTCR南米タイトルを獲得した。

「素晴らしいことだ! 家族、ガールフレンド、チームに心から感謝する。今シーズンのすべてに本当にありがとう」と喜びを語ったカルドゥソ。「レースは楽な展開になり、あまり考える必要もなく早い段階でタイトルを獲得できた。ようやくお祝いの瞬間が来たね!」

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