2024年のWEC世界耐久選手権LMGT3クラスで活躍したふたりのブロンズドライバー、アレックス・マリキンとサラ・ボビーは、いずれも2025年のFIAドライバー・カテゴライゼーションで、シルバーへと昇格する。この新たな挑戦について両名は、受け入れていると語った。
英国を拠点とするベラルーシ人のマリキンは、今年LMGT3のタイトルを獲得したマンタイ・ピュア・レクシングの一員だ。彼と92号車ポルシェ911 GT3 Rのチームメイト、ジョエル・シュトームとクラウス・バハラーは、1ラウンドを残して圧倒的な強さでチャンピオンシップを獲得した。
一方、女性ドライバーのボビーはLMGT3フィールドで傑出したブロンズ・ドライバーのひとりで、アイアン・デイムスのランボルギーニ・ウラカンGT3 EVO2で、2度のポールポジションを獲得している。
マリキンとボビーは、10月に初めて発表されたFIAドライバー・レーティングでは、2025年シーズンにブロンズからシルバーに昇格し、同月末に発行された最終版をもってこの新たなステータスが確定した。
この動きは、2025年にWECを離れ、ピュア・レクシングとのLMP2プログラムに集中する予定のマリキンにとって大きな意味を持つ。
「抗議など一切していない。フェアだと思う」とマリキンは、シルバーへの昇格についてどう思うかと尋ねられたとき、語った。
「僕にとっては良いモチベーションだ。もっと上達して、トップのシルバー・ドライバーのひとりになりたいね。これは僕の個人的な目標のひとつだよ」
ボビーは、過去数年、シルバー・ステータスへの昇格見込みがあったが、控訴によりブロンズの座を取り戻していた。このベルギー人ドライバーもまた、ブロンズランクを失う可能性について楽観的な見通しを口にしていた。
彼女は2025年、WECのアイアン・デイムスのラインアップには加わらない。ブロンズドライバーの座は、代わってセリア・マルタンが務めることが決定している。しかしボビーは、他のシリーズでは同チームからレースに出場する予定であり、1月のIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権開幕戦デイトナ24時間レースでは同チームに加わることが確定している。
「以前のシーズンは、状況がまったく違っていたと思う」とボビーはSportscar365に語った。
「でも今年は、チームのサポートを受けて少し大きく進歩したと思う」
「この(シルバー昇格という)新しい状況を、大きなチャレンジとして歓迎している。私はいつも自分のコンフォート(快適な)ゾーンをもう少し押し広げたいと思っていた」
「2025年にシルバーとして自分の価値が分かる機会があればいいと思っている。私の野望は、平均的なドライバーになることではない。これはひとつのチャレンジになるだろうし、それが分かるのは未来のみよ」
■LMP2でル・マン出場を目指す
マリキンは今週末、マレーシアのセパンで開催されるアジアン・ル・マン・シリーズの開幕戦で、LMP2カテゴリーでの冒険を始める。これは、TFスポーツが運営するピュア・レクシングからのELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズ参戦の前哨戦となる可能性が高い。
彼はその後、リトアニアの旗を掲げるチームが、ACOフランス西部自動車クラブが運営するふたつのシリーズでのパフォーマンスをもって、ル・マン24時間レースへの出場権を獲得できることを期待している。
「主な目標は、LMP2カーでル・マンへと戻り、優勝を目指すことだ」とマリキンは語った。
「計画は非常に明確だ。アジアン・ル・マン、ヨーロピアン・ル・マン、そしてル・マンをLMP2で走ることだ」
「LMP2カーは僕がとても気に入っているクルマで、数日間運転したが、良い感触だった。もちろん、まだ学ぶべきことはたくさんある」
マリキンは、ハリー・キングとルイ・デレトラズとともに、91号車オレカ07でアジアン・ル・マンに参戦する。英国人ドライバーのキングは、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズでも、指名待ちのサードドライバー、そしてマリキンとともにトリオを組む予定だ。
「2年前、アジアン・ル・マンで彼(キング)と仕事をした(ハーバース・モータースポーツのポルシェ911 GT3を運転した)が、この経験は本当に楽しかった」とマリキン。
「ヨーロピアン・ル・マンでもハリーと仕事を続けるつもりだ」
LMP2の経験がないにもかかわらず、マリキンは、すぐにLMP2のタイトルを争えるほど競争力があり、チャンピオンシップ優勝チームのみに与えられるル・マン自動招待枠を獲得したいという希望を強調した。
「ル・マンに行って、ル・マンで良い成績を残すことが、来シーズンの僕の主な目標であることは間違いない」と彼は語った。
「(ル・マンの)エントリーを得るための最良の方法は、アジアン・ル・マンで優勝することだ」