久保建英をレアル・ソシエダのご意見番が称賛 「あとはこの戦いをタフに続けられるか」

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2024年12月03日 07:20  webスポルティーバ

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 12月1日(現地時間)、レアル・ソシエダ(以下ラ・レアル)は、アンダルシアの雄、ベティスを2−0と下している。そのベティスを抜いて9位に浮上した。

 ラ・レアルの久保建英は、マッチMVPに選出されている。得点、アシストを記録したわけではない。シュート数の少ないじりじりした試合展開で、チームプレーヤーとしての貢献度が高く評価された形だろう。試合終了直後はピッチの上に転がって、チームメイトにつりかけた足を伸ばしてもらうほどの奮闘ぶりだった。

 守備に回った時、久保は元バルセロナのアタッカー、アブデサマド・エザルゾウリの突破にしっかりと蓋をしていた。常にサイドバックと連係しながら、相手の攻撃を分断。献身的な動きで、少しも怠けることがなかった。

 一方、攻撃では右サイドでボールを受け、並はずれたキープ力で起点になっていた。直接のアシストではなかったが、オヤルサバルがPKを得たシーンは、久保がロングボールを右サイドで確実に収め、ワンツーを狙ったところから生まれていた。司令塔マルティン・スビメンディにパスコースを与えながら、細かいポジションの変更で相手より優位に立った。

 攻守両面をコントロールし、少しもサボっていない。

 こうした一戦で、すべてを出し尽くして勝ち点をもたらせる選手こそ、ビッグクラブでも求められる。

「今シーズンのバルサ戦で、タケは驚くようなプレーをしていた。バルサを相手に、あれだけのダメージを与えられる選手は少ない。しかし、これからは重なる疲労をコントロールしながら、力を使いきるプレーができるか」

 ラ・レアルで約20年、強化部長や育成部長を歴任しているミケル・エチャリは、そう暗示的に語っている。

「強敵に対し、あれだけのプレーができるのは、タケの実力と言える。ただ......たとえばヨーロッパリーグのプルゼニ戦は"手を抜いていた"というのとは違うが、バルサ戦と同じ気持ちでは入っていなかった。過密日程の疲労もあるのだろうが、プルゼニ戦のようなプレーでは、チームを勝たせることはできない」

【久保に最も近い過去の名選手は?】

 厳しいが、正論と言えるだろう。常勝クラブで活躍するような選手は、週2の試合で平然とベストプレーを見せる。その点、ベティス戦の久保はヨーロッパリーグの強敵アヤックス戦に続いての活躍で、賞賛に値した。

「私が言うまでもなく、久保は高いレベルの選手になっている。どんな相手に対しても脅威になれる。あとは、その戦いをタフに続けられるか。彼は自らをコントロールするだけのインテリジェンスがあるはずだ」

 エチャリは言うが、キーワードは「ディテール」だという。

「タケのプレーにはディテールがある。たとえば、プレー中に何度も首を振っていて、観察する習慣が身についている。それは優秀な選手のベース。タケはすでに多くのデータを蓄積している。そのおかげで、相手の裏をかくことができる。たとえ抑え込まれたように見えても、プレーをキャンセルして別の選択もできる。それは何気ない違いかもしれないが、その細部でトップレベルでは周りと差がつく」

 だからこそ、サイドバックとの駆け引きで、ことごとく相手を凌駕できるのだという。

「相手のタイミングをずらす、というのはまさにディテールの勝利と言える。タケは敵に次のプレーを読ませない。あるいは読ませても、次に裏をかくようなプレーを繰り出せるのが特徴と言える。スピード、技術、ビジョンがミックスしたプレーヤーで、ひとつのフェイントでプレーを変化させられる」

 そう語るエチャリは、過去のラ・レアルで最もディテールに優れた選手を久保に重ねていた。

「過去のラ・レアルの選手では、チキ(アイトール・ベギリスタイン。1997−99は浦和レッズでプレー)がタケのキャラクターに一番近い。チキはクレバーで、テンポを生み出しながらサイドを支配できた。ラ・レアルで活躍したあと、移籍先のバルセロナでさらに才能を開花させて(ドリームチームの一員に)、攻撃重視の布陣でアドバンテージが最大限に生かされていた」

 もしすべての条件を取り払ったら、久保が最後に辿り着くべき楽園は、バルサなのかもしれない。コンビネーションのなかで、積み重ねてきたディテールを生かせるからだ。レアル・マドリードのプレースタイルはより個人重視でズレがあり、プレミアリーグもパワー、スピードの度数が高い......。

 もっとも、ベティス戦のようなタフな戦いで勝利を呼び込むことができれば、久保はどのチームでも"ジョーカー"になるはずだ。

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