リバプールとバルサ、CLベスト16入り マンチェスター・シティは「賞味期限切れ」か

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2024年12月12日 17:01  webスポルティーバ

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 チャンピオンズリーグ(CL)リーグフェーズ第6節。前節を終了した段階で、勝ち点15をあげて首位を行くリバプールは、12月10日(現地時間)、ジローナと対戦。1−0で勝利を飾り、ベスト16入り一番乗りを果たした。また同じく10日、第5節終了時点で24位と出遅れていた前回覇者レアル・マドリードは、好調アタランタ(5位)に3−2で打ち勝ち、20位に順位を上昇させた。

 一方、一昨季の覇者マンチェスター・シティ(17位・勝ち点8)は、12月11日(現地時間)、ユベントス(19位・勝ち点8)とのアウェー戦に臨んだ。

 セリエAでは現在、首位アタランタに7ポイント差の6位とやや出遅れ気味なユベントス。対するマンチェスター・シティも、ここに来てプレミアリーグで急に勝てなくなり、4位に陥落していた。

 プレーオフ進出は36チーム中の24位まで。最低でも勝ち点10が必要だとされるなかで、より負けられない立場にあるのは、ブックメーカー各社が本命に推すマンチェスター・シティのほうだった。

 ユベントスの監督はチアゴ・モッタ。サンパウロ州出身のブラジル人(イタリア国籍も保有)だ。ビッグクラブの監督としてCLに臨むブラジル人監督は久しぶりである。欧州の強豪を率いるのはルイス・フェリペ・スコラーリ(2008−09シーズンのチェルシー)以来だろう。ブラジル人にいい監督がいないと囁かれる所以でもある。だからブラジルサッカー界にとっては本来、画期的な話であるはずだ。

 もっともモッタは若くしてバルセロナと契約した、マシアと呼ばれる育成組織出身の選手である。トップチームに昇格したのは、ジョゼップ・グアルディオラがバルサを退団した翌シーズン。バルサのトップチームでともに過ごしたわけではないが、身近な存在であったことは間違いない。グアルディオラと同じ守備的MFだったので、その後継者として期待されていた選手と言ってもいい。

 筆者は当時、モッタにかなり長いインタビューをしたことがあるので記憶に鮮明だ。ただ、そのインタビューからしばらくして、練習を休みがちになり、出番が激減したことが気になっていた。精神的な問題を抱えていると報じられたこともあった。それから20年。42歳になったモッタが希少なブラジル人監督として、グアルディオラ率いるマンチェスター・シティに挑む姿には感慨深いものがある。

【グアルディオラの采配も裏目に】

 モッタがバルサでプレーしていた頃、イタリアにはウイングの文化がなかった。ウイングつきの4−3−3で戦うバルサとイタリア勢とは、水と油同然の関係にあった。その傾向はいまなお少なからず残っている。ユベントスも例外ではない。たとえば、マッシミリアーノ・アッレグリ元監督は5バックになりやすい守備的な3バックを好んだものだ。

 だが、モッタは違った。19歳のケナン・ユルディズ(トルコ代表)と21歳のフランシスコ・コンセイソン(ポルトガル代表)を、左右の両ウイングに据えるバルサ的なサッカーで、同じくまさにバルサ的なマンチェスター・シティに対峙した。

 結果は2−0。軍配はモッタ率いるユベントスに上がった。

 CL優勝3度を誇るグアルディオラが、初めてCLで采配を振る後輩監督に敗れる姿は、番狂わせと言いたくなった。

 試合を終始優勢に進めていたのはバルサだった。ボール支配率は68対32に及んだ。前半39分、中央からイルカイ・ギュンドアン(元ドイツ代表)、ケヴィン・デ・ブライネ(ベルギー代表)とつないだボールを、アーリング・ハーランド(ノルウェー代表)が決めていれば、おそらく試合はすんなりマンチェスター・シティのものになっていただろう。ユベントスGKミケーレ・ディ・グレゴリオ(イタリア代表)の好セーブを褒めるべきか。決められなかったハーランドを責めるべきか。前者だろう。

 敗因は紙一重。マンチェスター・シティに運がなかった試合と捉えるのがフェアな見解だろうが、訴求力の高いサッカーをしたのはユベントスのほうだった。やはり、左右の両ウイングの若くていきのいいプレーには、瞬間、場がパッと華やくような新鮮なインパクトがあった。

 それこそがマンチェスター・シティに欠けている要素だった。見慣れてしまったサッカーなのだ。驚きがない。新たな発見がない。なにより選手自身がマンネリ化しているのではないか。選手にプレーする喜びのようなものが感じられないのだ。同じメンバー、同じ監督と長くやりすぎた弊害を見る気がした。

 カルロ・アンチェロッティ率いるレアル・マドリードにも若干、その気配は見受けられるが、こちらにはラウール・アセンシオ(21歳・スペイン)、アルダ・ギュレル(19歳・トルコ代表)、エンドリッキ(18歳・ブラジル代表)など、チームに新風が吹いている。

 試合中にメンバー交代をあまり行なわないグアルディオラ監督の采配にも疑問を覚える。この日も交代カードは2枚しか切らなかった。先制点を奪われたのは後半8分。追加点を喫したのは後半30分だった。例外的な試合展開だったというわけではない。これはCLに限らず、試合中、ピッチ上に刺激を与えることを好まない采配が、ここに来て裏目に出ている印象だ。

 この結果、マンチェスター・シティは17位から22位に後退。ユベントスは19位から14位に上昇。両者の立場は逆転した。この状況にブックメーカー各社もさすがにマンチェスター・シティを本命から外し、リバプール、レアル・マドリード、アーセナルに次ぐ4番手に降格した。

 リーグフェーズ第6節を終え、ブックメーカー各社からマンチェスター・シティと並び4位タイに推されるバルサも、勝ち点を15として決勝トーナメント進出を確定させた。逆にライプツィヒ、スロヴァン・ブラティスラヴァ、ヤングボーイズの3チームは残り2試合を待たずに脱落が決定した。

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