「被告人は無罪」。和歌山地裁で12日あった須藤早貴被告(28)の判決。待ち望んだ主文を耳にした須藤被告は首をやや下に傾け、右手で涙を拭うようなしぐさを見せた。
午後1時半ごろ、101号法廷に現れた須藤被告は上下黒のパンツスーツにマスク姿。これまで開かれた審理とは異なり、胸部まで伸びた髪を巻いていた。隣に座った弁護人と時折、言葉を交わしながら落ち着いた様子で開廷を待った。
福島恵子裁判長に促されて証言台前の椅子に座って言い渡しに臨んだ被告。主文が言い渡された瞬間、満席の傍聴席は静まり返った。傍聴席から被告の表情はうかがえなかったが、無罪とした判決理由が読み上げられる中、歩み寄った弁護人から紺色のハンカチを渡されると、軽く礼をして受け取り、何度も目に当てていた。
約40分にわたった言い渡しが終わると、立ち上がって裁判長に向かい頭を下げ、刑務官に連れられて法廷を後にした。
地裁によると、午前中に行われた一般傍聴席の抽選には、48席に対して301人が並んだ。