「井上尚弥vs.グッドマン」を予想 大番狂わせはあるのか? 在米記者3人に聞いた

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2024年12月14日 07:20  webスポルティーバ

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 現代の最強王者・井上尚弥の2024年3度目のリング登場が迫っている。

"モンスター"は12月24日、無敗の指名挑戦者、サム・グッドマンを迎え撃つ。5月にルイス・ネリ、9月にTJ・ドヘニーを撃破した井上は、クリスマスイブに今年3度目のKO勝利をファンにプレゼントしてくれるのか。それとも巧みなアウトボクシングでランキングを駆け上がってきたオーストラリアの刺客が意外な健闘を見せるのか。

 軽量級に精通する3人の在米ベテラン記者に3つの質問をぶつけ、楽しみな一戦の見どころを占ってみた。

【タイトルマッチ概要】
WBC、WBAスーパー、IBF、WBO世界スーパーバンタム級統一戦

12月24日@有明アリーナ

◆世界スーパーバンタム級4団体統一王者
井上尚弥【大橋/31歳/28戦全勝(25KO)】
12回戦

◆挑戦者/IBF, WBO同級1位
サム・グッドマン【オーストラリア/26歳/19戦全勝(8KO)】

【パネリスト】
◆ダン・カノービオ(ニューヨーク在住。人気ポッドキャスト「Inside Boxing Live」のホストを務める Twitter : @DanCanobbio)

◆ロン・グッダル(ラスベガス在住。FightHype.comのリード・マネージング・エディター Twitter : @FightHypeRonG)

◆カーラン・バティア(ニュージャージー在住。ESPNなどでインタビュアー、ホスト、実況を務める Twitter : @CurranBhatia)

1. 井上対グッドマンのマッチアップをどう思うか?

カノービオ : 井上が精力的に試合をこなしてくれるのは、うれしい。これだけのボクサーが、2024年の1年間で3回リングに上がるのはすばらしいことだ。井上は支配的なボクサーであり、私は彼こそがパウンド・フォー・パウンドでもNo.1か、オレクサンデル・ウシク(ウクライナ/世界ヘビー級3団体統一王者・12月15日現在)に次ぐNo.2だと思っている。とはいえ、ほかのすべての選手と同じように、井上も年齢を重ねてきているのも事実だ。疲労も溜まっているだろうし、ネリ戦、ドヘニー戦では以前より相手の目の前に立ってパンチを交換するシーンが増えてきていた。

 グッドマンは過小評価された無敗選手であり、闘志旺盛だ。ハードパンチャーでこそないが、井上が相手でも手数を出して最善を尽くしてくれるだろう。アメリカの朝に生配信される今回の一戦は、モーニングコーヒーを飲みながら楽しむつもりだ。

グッダル : 井上はスーパーバンタム級での戦いを快適に感じてきていると思うし、この階級でも強さを誇示している。ただ、怪物的な力を持つ彼をもってしても、これまで以上に相手に抵抗され、パンチに耐える場面が増えている印象もある。それでも結局はKOしてしまうのはすごいことだが、やや慎重に戦っているのかもしれない。

グッドマンは耐久力があり、昨年6月のライース・アリーム戦での番狂わせの勝利で力を証明した。オーストラリア人の挑戦者は逃げるのではなく、闘志を持って挑んでくる。効かされる場面があれば、ラフな乱戦に持ち込もうとするのではないか。

バティア : スーパーバンタム級の4冠王者であり、パウンド・フォー・パウンドでも最高級のボクサーのリング登場は、いつでも興味深い。私は昨年、ESPN+で配信された井上対マーロン・タパレス戦の実況を担当する幸運に恵まれた。あれから1年が過ぎ、井上が指名挑戦者との対戦で試されるところが見たいと思う。井上はかつて「調整試合で気持ちを盛り上げていくのが難しい」という主旨の話をしていたのが印象に残っている。その言葉どおりに、ここでまた無敗の優れたチャレンジャーを迎え、どんな戦いを見せてくれるのかを楽しみにしている。

2. 大番狂わせがあるとすれば、どんな展開か?

カノービオ : 日本で井上が判定負けするとは思わないし、アウトボクシングされてしまうとは考え難い。5月の試合でネリは初回にダウンを奪ったが、井上はそこで目を覚まし、激怒し、破壊的なKOで相手を仕留めてしまった。そう考えていくと、グッドマンが井上に勝つことを予想するのはやはり難しい。あり得るとすれば、井上が見えないパンチをもらった時ではないか。

グッダル : 井上のペースで進まない流れがあるとすれば、グッドマンがラフでダーティな戦いを挑んだ時だろう。それと同時に、減量苦か、精神面の不調か、何らかの要因で井上が本調子でないという条件が組み合わされなければいけない。ノニト・ドネアとの第1戦では井上が序盤に目を骨折し、おかげで試合全体が変わった。ネリ戦では日本絡みの因縁があったためか、井上は少々入れ込みすぎの状態になっていたように思えた。それらの例と同じように、何か予想外の大きなアクシデントが起こった場合には波乱の可能性は出てくる。

 ただ、グッドマンは好選手ではあっても、ネリ、ドネアのような一発強打を持つボクサーではない。井上がこの試合でネリ戦のように精神面をかき乱されることは考え難いだけに、苦戦を想像するのは簡単ではない。

バティア : 番狂わせが現実味を帯びるとすれば、井上が本調子でないか、あるいは集中力を失ったとき。もしくはネリ戦でダウンを奪われたときのように、瞬間的な落とし穴にはまった時ではないか。井上はそのアグレッシブなスタイルゆえ、ビッグパンチを被弾するシーンも散見される。前がかりになりすぎ、そこで強烈なパンチをもらった場合には、という危険はある。井上のようにスキル、スピード、パワー、精神的な強さをすべて備えた選手に番狂わせが起こったらショッキングだが、ボクシングでは何でも起こり得ることは証明されてきている。

3. 試合予想は?

カノービオ : 井上の判定勝ちだ。グッドマンは、ハングリーでタフ。ポール・バトラー、ドヘニーのように井上相手に戦う意志を示さなかった選手もいたが、ネリ同様、グッドマンは勝つつもりで仕上げてくると思う。井上が加齢による影響をわずかに見せつつ、ポイントを奪っての勝利を挙げると見る。

グッダル : 開始直後はグッドマンがジャブを放ってアウトボクシングを目論み、井上は慎重にスタートを切るかもしれない。ただ、中盤までには井上が強打でダメージを与え、最終的にはフィニッシュに持ち込むのではないか。まずはボディで効かせ、必死にサバイブを目指す挑戦者を、最後は派手に倒すと思う。井上が2度のダウンを奪い、終盤KO勝ちを飾るだろう。

バティア : 井上のKO勝ちを予想したい。すべてのツールを備えた井上がここでつまずく姿は想像しづらい。グッドマンも底力のある上質なアウトボクサーではあるが、井上に土がつくとすれば、本当に特別な選手と対戦した場合か、あるいは階級を上げ過ぎた時だろう。

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