「殿とはいつからなの?」正妻からの唐突な発言に震えが止まらない|『光る君へ』第47回

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2024年12月15日 16:10  女子SPA!

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再会に新しい人生の予感を漂わせたのもつかの間。周明を失ったまひろは、見たこともないような憔悴ぶりを見せる。

まひろの人生が揺さぶられる。

◆周明となぜ再会したのか

万が一、周明(松下洸平)が生きている可能性もあるのではないか、と思ったがそんな都合のいい話ではなった。

乙丸(矢部太郎)に引きずられるようにして、その場を離れることになったまひろ(吉高由里子)。周明の死を目の当たりにして、憔悴した様子を見せる。

これまで、どんなときでも前を向いていたまひろだが、今回はその表情に覇気が全くと言っていいほどない。

これまでは、彼女自身が自分の人生に少なからず希望を持っていた。そして、若かった。

初めて、生きていく道に迷い、もう自分にできることはないのではないか、と視線が下を向いているときに、直面した死。それも、少なからず、心を通じ合わせた人の死。その心中は想像に難くない。

それにしても、どうして、周明は再び登場したのだろう、と考えずにはいられない。

物語のクライマックスを盛り上げるため、だろうか。確かに盛り上がったけれど、個人的に思ったのは、周明はまひろのもうひとつの道だったのではないかということだ。

まひろは京に戻り、宣孝と結婚し、そして『源氏物語』を書いた。

しかし、宣孝の結婚の申し込みを断っていたとしたら? もっと早くに周明と再会していたとしたら?

『源氏物語』は生まれなかったかもしれないけれど、まひろは女性としてはまた違う道を歩んでいたのではないか。

史実として、『源氏物語』が生まれないというストーリーには成り得ないわけだけれど、まひろの選択がもし違っていたとしたら……と少し想像してしまった。

◆友情は不滅、だけれど

異国の海賊からの攻撃を受けていたころ、朝廷は何をしていたのか。

何もしていなかった。

隆家(竜星涼)が文を出していたが、摂政・頼通(渡邊圭祐)は動かなかった。前例のないこと、賊も京までは来ないだろう、という見立てだ。だから太閤である道長(柄本佑)にも報告していなかった。

隆家はそんな朝廷の動きを見越していたのかもしれない。実資(秋山竜次)のもとにも文が届いていた。道長は実資からその報告を聞き、顔色を変える。当然だ。まひろが大宰府にいるのだから。

道長は、頼通に守りを固めるように伝えるが、頼通は聞き入れない。摂政は自分であるし、もう道長は政から退いている。前例がないことなのだから、道長の選択だって正しいとは限らない。しかし、なんだって、最初は前例がないんだから……と思ってしまう。

結局、朝廷の助けなしに隆家たちは海賊を退けたわけだが、まともな褒章もなかった。

朝廷に知らせが届く前の戦いであり、それならば私闘である、というのだ。

そんなバカな。それも、その発言をしたのが公任(町田啓太)、行成(渡辺大知)も賛同する。そのことにも少しショックを受けてしまったのだが、すぐに理由は分かった。

いま、道長たちの脅威になるとしたら隆家。だから、隆家の手柄になるようなことを認めるべきではない、と公任たちは考えたのだ。

そう、友のためにやったことだった。

しかし、当の道長はまひろを心配していたし、まひろを助けた(結果的には、だけれど)隆家に感謝の気持ちさえあるかもしれない。

珍しく公任が道長に「お前のためにやったのに」と感情をあらわにするが、だからと言って、2人の絆が断たれるわけではない。ただ、寂しさがあるのも間違いなくて……。年を重ねてからの友情の難しさ、その一方で、朝廷でのことしか見えていない視野の狭さというのも感じられる。

◆道長は何度も恋をする

周明を偲んで、大宰府に留まるという道を選ぶようにも見えたまひろ。

そんなまひろの気持ちを変えたのは乙丸の慟哭だった。

「きぬ(妻)に会いたい」「帰りたい」「まひろも一緒でないといやだ」

従者がこのようなことを言うのは、きっと考えられないことだろう。ずっとまひろのそばにいた乙丸。まひろの全てを見守ってきた。まひろがどんなやんちゃをしようとも、困った顔をしつつ、そばにいた。そんな乙丸がここまで言ったのは、このままではまひろはダメになってしまう、という思いがあったからに違いない(自分が愛する人妻に会いたいという思いももちろんあると思うが)。

乙丸の悲痛な叫びに、まひろは苦笑いをしつつも受け入れる。

京に戻ったまひろは、彰子(見上愛)に挨拶に行く。そして道長にも会ってしまう。ふたりは言葉を交わさないけれど、道長の表情が豊かで、何を思っているかがだいたい伝わってくる。まひろが無事だったことも、また会えたことも嬉しいんだろうなあ、と。

そして道長は何度もまひろに恋をしているのではないかと思うほど。秘めた恋だから、余計に、だろうか。

が、秘めていても、嫡妻にはバレるものである。

倫子(黒木華)に呼ばれたまひろ。あいさつを交わし、他愛もない昔話をしていると突然倫子が切り込む。

「殿とはいつからなの?」

「私が気づいていないとでも思っていた?」

怖い。怖すぎる。

そしてここで最終回へと続くのが、『光る君へ』なのだ。

<文/ふくだりょうこ>

【ふくだりょうこ】
大阪府出身。大学卒業後、ゲームシナリオの執筆を中心にフリーのライターとして活動。たれ耳のうさぎと暮らしている。好きなものはお酒と読書とライブ

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