残忍かつ凶悪な手口で世間を震撼させている「闇バイト」の数々。実行犯は若者ばかりと思いきや、自覚の有無にかかわらず中高年も手を染めている。その裏には、若者とは違う彼らならではのニーズがあった。
◆マンションのポストに入っていたチラシからゴト行為に加担
闇バイト勧誘はネット上だけではない。山田陽子さん(仮名・65歳)のマンションのポストには、「パチンコを打つだけのアルバイト」というチラシが投函されていた。
パチンコ好きの山田さんは「客入りの少ない店のサクラだろう」と考え、すぐに応募。
電話口に出た男性はとても感じがよく、「稼働は5〜6時間、日給1万円に加えて軍資金と出玉報酬と交通費まで支給する」と話されたという。
1週間後、指定された北関東の老舗に向かうと、そこには他の応募者3人と「ボス」と呼ばれる40代の男がおり、軍資金1万円を渡された。
打った台は「CR北斗の拳ラオウ」。319分の1という当たり確率の低さにもかかわらず、途端に連チャンが続いた。
「でも15連チャンくらいしたところで疲れちゃって、飲み物を買いに席を立ったら、他の3人もバカスカ当たっているのが見えて。その時にちょっと違和感を覚えました」
◆やめた今でも警察に怯える日々
山田さんが加担させられていたのは、“ゴト師”と呼ばれる闇バイトだった。初日の報酬は出玉を含めた4万円と交通費、残った軍資金も含めて5万円弱。
さらに2週間後、再び連絡を受けて別の店へ行くと、またしても連チャンが始まったという。
しかし、他のメンバーに店長らしき人物が近づき、声をかけている様子が目に入った。すると“ボス”に「今すぐ店外に出て」と指示され、そのまま逃走。報酬は受け取らないままだったそうだ。
その後、アルバイトの連絡が来ることはなくなったが、今でも怯えているという。
「私のしたことは、たぶん犯罪。だからボスが捕まったら私にも警察が来るんじゃないかと思ってすごく怖いです」
取材・文/週刊SPA!編集部
―[中高年[闇バイト]の実態]―