デフレ経済に慣れ切った日本人にとって、現在のインフレは脅威に映るかもしれない。そうした中で、世界最大規模の世論調査会社イプソス(日本オフィス所在地:東京)は、世界の人々が経済状況についてどのように感じているかを追跡する32カ国調査であるイプソス生活費モニター2024年11月を発表した。それによると、日本人のインフレに対する見方が世界で最も悲観的であるという。
調査期間は、10月25日から11月8日で、以下の国々で2万2720 人を対象にオンラインで調査を行った。データは各国の既知の人口構成に合わせて重み付けをし、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、英国、イタリア、日本、スペイン、米国からそれぞれ約1000人、アルゼンチン、ベルギー、チリ、コロンビア、ハンガリー、インドネシア、アイルランド、マレーシア、メキシコ、オランダ、ペルー、フィリピン、ポーランド、ルーマニア、シンガポール、南アフリカ、韓国、スウェーデン、スイス、タイ、トルコからそれぞれ約500人、インドは約2200人で構成され、そのうち約1800人が対面調査を受け、400人がオンラインで調査を受けた。
調査によると、日本人の87%が「自国のインフレが落ち着き通常に戻るには、1年以上かかる、もしくは戻らない」と回答。これは、世界平均の62%を大きく上回っており、調査対象32カ国の中で一番高い割合となった。日本が最も悲観的であるのは、先進国の中でも「失われた30年」と呼ばれる経済停滞期が続き、その間、デフレ経済に慣れ切ってしまったことが関係あるのかもしれない。
また、日本では63%が「今後12カ月以内に自国のインフレ率が上昇する」と考えている。この数字は4月から5ポイント上昇しており、2022年11月以来の最高値だった。世界各国でもインフレ上昇の予想は同様となっている。
他方、日本では30%が「経済的な管理にかなり、またはとても苦労している」と回答し、日本以外では、イタリア、オーストラリア、米国などで経済的に困難を抱える人々の数が増加している。また、日本人は「パンデミック以前よりも自分の経済状況は悪化し、日本も不況に陥っている」と感じている人も多いようだ。さらに、「今後1年間で、可処分所得(生活費の支払い後に支出可能な額)がかなり、または少し低下する」と回答した人が日本では32%いた。
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