ホストに通う女性はいつの時代も存在しますが、昔の繁華街は今よりも入りにくい秘密の場所のような雰囲気が漂っていました。ホストクラブ自体が「選ばれし者だけが導かれるナイショのお店」という感覚で、客層もお金持ちのマダムや芸能人がメインだったそうです。
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今となってはお客さんの年齢も下がり、キャバクラやホストクラブへの偏見も薄まったせいか、歌舞伎町をはじめとした夜の街は誰でも入れるようなオープンな世界へと変化しています。
飲み屋は娯楽の一環ですから、どれだけお金を落とすかは個人の自由。しかし、歯止めが効かないところまで進むと身を滅ぼしかねない、危険な遊びであることは確かです。実際にホストクラブに通いつめ(通称、ホス狂い)繁華街の沼にハマッた友達・A子(30代)の話をしましょう。
彼女がホストにハマったのは、友達と行った初回がきっかけ。なんとなく繁華街を歩いてた時にキャッチに声を掛けられ「初回3000円」という安さに釣られ、冷やかし気分で入店しました。
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A子はこの時の感想を「その時は面白かったけど、ハマる感覚はわからなかった。むしろホストにハマる人をちょっと馬鹿にしてたくらい」と語っています。
A子が席に座るとすぐさま店内を見渡し、ホストといちゃつく他のお客さんを見て「ないわ」と思ったそう(笑)。けれどお店のゴージャスな装飾、驚くくらいのイケメンが勢揃いな点に加え、お姫様扱いをしてもらえることに気分が高揚したそうです。
またホストクラブに足を踏み入れたという「人とは違う」特別な感じが、非日常的でたまらなかったと言います。気づくと「安いから」という理由で、月に何度か初回へ行くようになりました。
あちこちのお店に顔を出し、A子は遂に運命の担当ホストを見つけてしまいました。顔もスタイルもちっともタイプではないものの、フィーリングが合う彼にビビッときて、出会った1週間後に再来店します。これが彼女にとっての“ホス狂いすごろく”のはじめの一歩です。
もともとA子はOLとして働きながらガールズバーでバイトをしていたため、収入が少ないわけではありません。
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そして引っ越しをするために夜のバイトで堅実に貯めていたお金が、徐々にホスト通いの資金へと変わり、週1回ペースで担当のところに行くのがルーティン化。次第にお店でシャンパンをオーダーするようになり、さらにお金が必要になります。
そこからは、皆さんのご想像通り。高い時給を求めてハイクラスな飲み屋さんに“転職”し、さらなる高みを目指してオトナの遊園地へ……。日給10万円を稼げる現実と直面し、ついにOLの仕事を辞めてしまいました。
夜職専業になればホストに落とせる金額も大きくなり、徐々に「あぁ、客としてアテにされているな」と感じ始めます。実際に、担当ホストからは「今月いくら使えるの」と毎月聞かれるようになっていたそうです。
A子は嫌な仕事でメンタルバランスを崩し始めますが、大金を支払った時の興奮と、好きな人に会えるのが生き甲斐で昼職に戻れません。常に収入のことばかり頭によぎり「やめたいけど、やめてどうなるか。先を考えた時に怖い」と思うと、現状維持する以外できないと語ります。
彼女は遊びが義務化してしまったため、まずはホス狂いから“引退”すべきだと思います。ガツガツと出勤して、お金をかき集めることさえエンジョイする女の子たちもいますから、頭の中が冷静になり、苦しみが大きくなった時点で潮時かもしれません。
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ホストに通い大金を落とし続ける女の子たちはみんな、心のどこかで「やめたい」と思っています。しかし、一度ハマると飲み屋からはなかなか抜け出せないもの。多くの人がどこかで寂しさを感じていて、心の隙間を埋めたいから何かに救いを求めてしまうのでしょう………。
A子は「私が本気でマズイところまで行ったら、その時は相談に乗ってね」と最後に言ったので、「もちろん」と返しました。いつかまた彼女が連絡をくれるのを、私はただ祈ることしかできません。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。