NHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』の放送が始まり、1月12日に第2回が放送された。64作目の大河は前作『光る君へ』と同様に、これまでの大河とは一風異なったテイストのドラマとなっている。描かれるテーマは、江戸時代の“出版王”蔦屋重三郎の生涯。となれば、オールド大河ファンが好む合戦シーンはおそらく出てこないだろうと思われる。
視聴率に関しては、初回は12.6%で、大河ドラマの初回世帯平均視聴率としては歴代最低だったが、第2回はさらに0.6ポイント減の12.0%。幸先悪いスタートで先が思いやられたが、視聴率とは裏腹に、SNSでは、《今まで大河はちょっと…と思ってたけど、これは面白い。ぐいぐい引き込まれる》《平安貴族や武家社会じゃなく、当時の江戸庶民の世界観が描かれていて興味深い》など、若い層から称賛の声が上がっている。
吉原の花魁役で脚光
また、オールド大河ファンにも、《テンポがよくて話の進み方が早く、華やかな感じで、昔民放で見た娯楽時代劇みたいだ》《痛快時代劇。萬屋錦之介が演じていた映画『一心太助』を見ているようで、面白い》と、すこぶる評判がいい。
テレビ番組を配信や録画で視る時代となって、番組の正確な評価を単純な視聴率では測れなくなっていることがよくわかる。実際、『NHKプラス』では、視聴数がこれまで配信した全ドラマの中で72.8万UBという、最多視聴数を記録した。
そして、このドラマで主演の横浜流星以上に脚光を浴びているのが、吉原の花魁を演じている小芝風花だ。小芝といえば、昨年末に所属していた芸能事務所『オスカー』を退所し、今年『トップコート』に移籍したことが報じられたが、芸能界入りは2012年と早く、15歳のときにドラマ『息もできない夏』(フジテレビ系)で女優デビューを果たしている。
|
|
これまでNHK連続テレビ小説『あさが来た』をはじめ、数多くのドラマに主演しているが、2023年に主演した『波を聞いてくれ』(テレビ朝日系)でその演技が評価され、2024年にエランドール賞・新人賞を受賞している。
「大化けする可能性が高い」
実力派女優への道を着実に歩んでおり、今一番期待されている女優に間違いないのだが、昨年1月期に出演したフジテレビ『木曜劇場』枠の『大奥』は、大コケしてしまった。
「NHKでは同じ『大奥』をテーマにしたドラマがヒットしたので、いけると思ったのでしょうが、あちらは大ヒットしたコミックが原作で、男女逆転した、いわばSFものでした。単なる時代劇として『大奥』を取り上げても、ドラマファンに受けるのか正直言って不安でしたが、的中しました」(テレビ誌ライター)
ドラマがコケたのは小芝のせいではないが、おかげで彼女は《時代劇には向かない》という烙印を押されることになってしまった。ベテラン映画記者はこう語る。
「演技力は折り紙付きで、これまでシリアスな役も演じていますが、小芝さんといえば、“明るく笑顔が可愛い”イメージが定着しています。彼女自身がそのイメージから脱却しようとしたのかわかりませんが、確かに『大奥』はピンときませんでしたね。でも、大河は実にいいと思います。彼女の持ち味だけでなく、新たな一面も見られ、ドラマだけでなく彼女の今後も期待できます」
|
|
花魁の艶やかさ、華やかさとその裏にある悲哀を見事に演じている小芝に、ドラマを視た女性たちから、《キュートやかわいいだけでなく、花魁として大人の“色香”を感じました。もともと好きな女優さんですが、ますますファンになりました。今回はハマっています》と絶賛する声が出ており、前出の映画記者も「大化けする可能性が高いです」と言う。
ドラマは始まったばかりだが、今後への期待が高まっているのは言うまでもない。そして彼女に対しては、こんな声も出てきている。
「朝ドラの出演経験もあり、大河でこれだけ評価が高いということは、“次期朝ドラヒロイン”は決まったようなものですね」
小芝の進撃はまだまだ続く――。
|
|