「もっとも影響を受けるのは年金生活者」有識者が指摘する第二次トランプ政権の日本への“悪影響”

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2025年01月23日 06:10  web女性自身

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1月20日に就任式を行ったドナルド・トランプ米大統領(78)。



第二次トランプ政権(トランプ2.0)が新たに船出したが、「アメリカ・ファースト」の政策による“トランプリスク”への警戒感が高まっている。



「トランプ大統領の横暴とも思える発言は、本気なのか交渉材料なのか判断がつきにくいところも。



しかし“関税”という言葉は辞書の中でもっとも美しいと語るトランプ大統領は、高い関税をかけて安価な輸入品を国内から追い出すことがアメリカのためだと信じ切っています」(全国紙経済部記者)



第一生命経済研究所の首席エコノミスト、熊野英生さんが語る。



「日本において、最大のトランプリスクは日本国内の物価上昇です。



トランプ大統領は、日本など同盟国を含めて輸入品に一律10〜20%の関税をかける方針を打ち出しています。



アメリカ国内では減税による景気の押し上げ、不法移民の大量送還による人手不足や人件費高騰に加えて、関税の上乗せによって輸入品の価格が上昇。



インフレが悪化すればFRB(米連邦準備制度理事会)も利下げができずに、日本との金利差がさらに拡大。



ドル高円安が進行し、1ドル165円も十分考えられます。



食料やエネルギーなど輸入に頼っている日本でも生活必需品が値上がりしてさらなる物価上昇を招いてしまうのです」



トランプ大統領がもたらす超円安は家計にどのような影響をもたらすのだろうか。



■1円の円安で4人家族で年約6千円の負担増に



同じく第一生命経済研究所の首席エコノミスト・永濱利廣氏の試算によると、円安が1円進むと、4人家族で食費や光熱費などを合わせて年6千31円の負担増に。



1ドル155円(1月21日現在)が、仮に165円まで円安が進むと、4人家族で年6万310円の負担増に。



なにか打つ手はあるのだろうか。熊野さんがこう続ける。



「日本が対抗措置として、アメリカからの輸入品に10%の報復関税をかけるのではと言われていますが、その関税がかかった分だけ割高になり、そのコスト増は日本国内の消費者に価格転嫁されるだけです。



ちなみに2023年にアメリカから日本に輸入している化学製品や鉱物性燃料、食料品などの額が11.5兆円で、単純に1.5兆円の負担増が間接的に消費者にのしかかってくるのです」



この負担増を国民全体で負担するとなると、1人あたり約9千500円にのぼる。



生活経済ジャーナリストの柏木理佳さんは、さらなるトランプリスクについてこう語る。



「トランプ大統領は“掘って、掘って、掘りまくれ”と石油や天然ガスの生産拡大路線を強調。



バイデン前大統領が進めた地球温暖化対策を見直し、温暖化を防ぐ枠組みの『パリ協定』の離脱を表明しました。



近年、温暖化による異常気象が、カカオ豆やコーヒー豆などの生産量に影響を与えていますが、環境問題よりも経済を優先するトランプ政権によって温暖化がさらに加速すれば、影響はほかの農作物の品質や生産量にも波及。



それがさらなる価格上昇を招くことも考えられます」



また軍事費においても日本がさらなる負担を強いられる可能性もあるという。柏木さんが語る。



「トランプ大統領は、就任前の1月7日に、NATO(北大西洋条約機構)の加盟国に対して、防衛費をGDP比5%に引き上げるべきだと発言。



岸田文雄前首相は5年間で43兆円とGDP比2%まで引き上げましたが、トランプ政権で国防次官についたエルブリッジ・A・コルビーは、昨年のインタビューで『日本の防衛をGDPの3%程度に増強する』と語っています。



それに対して、安全保障政策に持論のある石破茂首相は防衛費を積んでいきたいという思惑も。GDP比3%を超える可能性も否定できません」



ちなみにGDP比1%(6兆円)を上乗せさせるとしたら、税金などにより国民1人あたりの負担は5万円も増えることになる。



■ますます加速する物価高で年金生活者が割をくう



「円安による物価高などの影響をもっとも受けるのは、年金生活者です。



働いている場合は賃金上昇という動きがトランプリスクの影響を小さくさせますが、物価や賃金の伸びより低く抑えられる年金の支給額は微増。



現在でも物価上昇に追いつかずに実質的には目減りしています」(前出、柏木さん)



65歳以上の高齢者は約2580万世帯。厚生労働省の『国民生活基礎調査』(2023年)によると、年金だけで生活している人は41.7%、約1075万世帯にのぼる。



「すべての年金者世帯ではありませんが、トランプリスクに対して、石破政権が適切な対応をしなければ、多くの高齢者世帯が困窮危機に陥ってもおかしくはありません」(柏木さん)



新たなトランプ政権始動の影響で、割をくう形になる年金生活者が出てきそうだ。

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