ポールの秘密は“熱伝導”/最悪の接触/「フェルスタッペンが見たい」etc.【デイトナ24時間木曜Topics】

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2025年01月24日 12:20  AUTOSPORT web

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AOレーシングの77号車ポルシェ911 GT3 R
 1月23日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイでIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権第1戦『ロレックス24・アット・デイトナ』(デイトナ24時間レース)の予選が行われ、BMW Mチーム RLLの24号車BMW Mハイブリッド V8が、ドリス・ファントールのアタックによりポールポジションを獲得した。

 この日は予選の前に1回、予選後にナイトセッションとして1回と、計2回のプラクティスも行われた。FP2では、キャデラックの小林可夢偉がポルシェと同タイムで最速となっている。

 そんな木曜のデイトナのパドックから、各種トピックスをお届けする。

■昨年からの改善が予選で実る

 予選日の朝には、日曜日の公式テスト以来となるフリープラクティスのセッションが行われた。90分間のこのFP1では、60号車アキュラARX-06(アキュラ・メイヤー・シャンク・レーシング)のトム・ブロンクビストが首位に立ち、僚友93号車のニック・イェロリーが僅差で続いた。

 予選でデイトナ24時間レースのポールシッターとなったドリス・ファントールは、姉妹車25号車BMWのトラブルが早々に赤旗をもたらしたことで、とくに路面温度が低かったこともあり、GTPクラスの「全員にとって」速いラップタイムを出すのが「困難」になったと認めた。

 ファントールは次のように語った。

「赤旗があったから、確かに簡単ではなかった。全員にとってタイヤのウォーミングアップが少し難しくなった。僕らはその点を、かなり改善してきたと思う。とくに昨年を通してね。昨年はそれが大きな苦戦ポイントだった……ラップをまとめ、ベストを尽くすだけだった。幸運にもうまくいったので、とても満足している」

■アタックラップ同士の“引けない”接触

 ブロンクビストは、予選でのミルコ・ボルトロッティとの接触は、「ふたりにとって最悪だった」と語った。ふたりのドライバーはそれぞれ最後のフライングラップで、オーバルのバンク部で接触していた。

「もちろん、僕はいいラップを走っていた」とブロンクビスト。

「僕らは悪い位置関係にいた。僕は、あまり長くは止まらないだろうと思った時点で彼に追いつき、本当にいいドライブができていたので、基本的に彼を追い抜こうと試みることができたが、彼は僕が追い抜くことを望んでいなかった。僕が(ル・マン・シケインで)彼のラップを台無しにしてしまうからだ」

「僕の前のラップは良くなかったので、少しでも余裕があれば改善できると思ったんだ。彼はバンクで僕を追いやろうとしたが、それが僕らふたりを台無しにした」

■エンジニアの観察眼でポール獲得

 GTDプロクラスのポールシッター、マイク・ロッケンフェラーは、マルチマチック・モータースポーツの64号車フォード・マスタングGT3で記録した1分45秒523というベンチマークタイムと、ファクトリー・マスタングGT3の2台が最前列を占める中で姉妹車である65号車の予選ペースに貢献したのは「ヒートソーク(熱の吸収)」だったと明かした。

「なぜ誰もやらなかったのか分からないが、僕はこのヒートソークを行った」とロッケンフェラー。

「アウトラップの直後にピットに戻り、ブレーキの熱がタイヤに伝わるのを待っていたんだ。とても寒かったので、これでグリップが大幅に向上した。姉妹車を通してもそれが分かった。これは良い決断だったと思うし、うまくいった。それが僕らがポールポジションを獲得した理由だ」

 また、LMP2クラスのポールシッター、ダン・ゴールドバーグは、ユナイテッド・オートスポーツのエンジニアがGTDプロの予選セッションでロッケンフェラーを見て、予選中にヒートソークを行うというアイデアを思いついたことを明らかにした。

 ゴールドバーグのLMP2ポールポジションは、ベン・キーティングの5年間にわたるロレックス24でのクラスポールの連続記録に終止符を打った。2番手となったテキサス出身のキーティングは、2020年から2024年まで毎年クラスポールにつけており、昨年まで行われていた予選レース2回でクラス優勝を果たしている。

■「大きな音」とともにサスペンション故障

 2025年のルール変更により、プラクティスで赤旗原因となった場合、予選でのベストタイムを失う可能性がある。5号車ポルシェ963(プロトン・コンペティション) がFP1でコース上に停止したときに、これが適用される例へと近づいていたが、メカニカルトラブルが原因だったことで、IMSAは後にこの車両にペナルティを課さないことを決定した。

 プロトンのポルシェ963は、最初の練習走行で右フロントサスペンションの故障に見舞われ、赤旗を招いていた。原因は、当初疑われていたタイヤのパンクではなかった。

 トリスタン・ボティエはSportscar365に対し、ターン1に近づいたときに「大きな音」が聞こえたと語った。このクルマは、予選でタイムを記録できなかった3台のうちの1台だった。

 なお、GTDプロクラスにエントリーするAOレーシングの77号車ポルシェ911 GT3 Rは、オープニングプラクティスと予選の間にギヤボックス交換を行った。

 作業は予選に間に合い、ローリン・ハインリッヒはこのクラス7番手で予選を通過している。

■ロッシと対戦希望

 今週末、トラックハウス・バイ・TFスポーツのシボレー・コルベットZ06 GT3.Rラインアップの一員であるコナー・ジリッシュは、昨年のデイトナ24時間レースでEraモータースポーツとともにLMP2クラスで優勝したことが、トップレベルのスポーツカーレースで「自分の実力を証明する」のに役立ったと語った。

 18歳のトラックハウスドライバーは、来月サーキット・オブ・ジ・アメリカズでNASCARカップ・シリーズデビューを果たすことが最近発表されている。

 ジリッシュは次のように語った。

「大きな自信につながっただけでなく、パドックのこちら側で多くのチャンスが開けた。GTカーに乗り込み、TFスポーツのようなチームやコルベットでレースをする機会を得る前に、自分の名前を売り込まなければならないと感じた」

 同チームの共同ドライバー、ベン・キーティングは、将来マックス・フェルスタッペンがロレックス24に参戦するのを見たいと述べ、同じくスコット・マクラフランは将来ここで個人的にレースをしたいスーパースターとして、バレンティーノ・ロッシの名前を挙げた。

■ソフトタイヤが使用可能な17時間

 IMSAは、GTPクラスにおいてミシュランのソフトコンパウンドタイヤを使用できる時間帯を発表した。

 レース中の土曜日の午後5時から日曜日の午前10時までの時間帯で、使用可能となる。レースディレクターがウエットタイヤの使用を宣言しない限り、ミディアムタイヤの使用は常に許可される。

 GTPチームは、予選後の木曜のナイト・プラクティスにおいても、ソフトタイヤの使用が許可されている。

 また、レース中の夜間のドライビングを承認されるために、合計45人のブロンズまたはシルバードライバーたちは、ナイト・プラクティスに参加する義務がある。

■ペンスキーの“安定性”

 オフシーズン中に多くのチームがクルーの変更を行ったが、ポルシェ・ペンスキー・モータースポーツのマネージングディレクター、ジョナサン・ディウグイドによると、同チームは「非常に安定」しており、「変更はほとんどなかった」と明かし、「チームはひとつになって勝つ方法を知っているので、今年は良い兆しだ」と語っている。

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