クロちゃん破局オチに導いたスタッフの腕がすごい!今年も『水ダウ』“1人勝ち確定”と断言できるワケ

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2025年01月25日 09:10  女子SPA!

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女子SPA!

(画像:『水曜日のダウンタウン』TVer配信ページより)
またも、『水曜日のダウンタウン』(TBS系)が、世間を騒然とさせる企画を放送した。

◆「クロちゃんリアル人生すごろく」コア視聴層、個人全体ともに2位

同番組は、お笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんが出演する「新春クロちゃんリアル人生すごろく」を年明けの1月8日放送から1月22日まで3週間にわたって放送。3ヶ月以上にわたってクロちゃんを隠し撮りするドッキリで、本人が気付かないうちに「リアル人生すごろく」へ参加させられる壮大な企画となった。

この企画は、クロちゃんが日常生活のさまざまな場面で1〜6までの数字を知らぬ間に選び、すごろくの盤面(ばんめん)を進んで止まったマスに書かれた出来事がリアルに起きるというもの。人体実験に近い『水曜日のダウンタウン』らしい企画で、年明けからSNSを中心に大きな話題を集め、最後はゴールとして、恋人・リチにプロポーズして見事にフラれるオチまで見せてくれた。

この「リアル人生すごろく」だが、1月8日放送分がREVISIOの調べで、週間ランキングにてコア視聴層(65.7%)、個人全体(67.4%)ともに全体で2位となる「注目度」を獲得。この注目度は、テレビ画面に視線を向けていた人の割合がわかるデータで、NHKも含めた全局の番組で2位を獲得する快挙となる。

それだけ多くの視聴者から注目を受けたのだが、この企画は何がおもしろかったのだろうか?

◆クロちゃんのポテンシャルの高さを見せつけた

今回の「リアル人生すごろく」は、予算削減が叫ばれるバラエティ番組で珍しい長期のドッキリ企画となった。

ロケ期間は3カ月以上で、クロちゃんはマスに書かれたドッキリを行うためだけに、さまざまな場所に駆り出される。そのドッキリは「巨乳のファンにサインを求められる」「温泉で入浴中に服が盗まれる」といった、大小さまざまなもの。

通常の番組であれば、1人が延々とドッキリを仕掛けられる様子は退屈だ。しかし、クロちゃんは視聴者を引き込むリアクションを何度も繰り返す。

例えば、「団長からマジ説教食らったしん」というマスでは、安田大サーカス・団長安田からトリオの活動について本気の説教を受けて涙する。また、催眠術関連のマスでは、水が甘くなる暗示をかけられ、最後まで催眠が解かれない状態で放置される。

数多くドッキリを仕掛けられる芸人はいるものの、今回の企画でクロちゃんが頭一つ抜けた素のリアクションができることを証明した。

クロちゃんのプレイヤーとしてのレベルが規格外に高いことで、「リアル人生すごろく」は大成功。さらに、クロちゃんにバレないよう3ヶ月間もドッキリを仕掛け続ける番組スタッフのテクニックも、視聴者から評価を受けた理由の一つだろう。

◆かつて『ロンハー』今は『水ダウ』

現在のテレビ局が制作するバラエティ番組で、ここまで壮大な企画を成功させられるのは『水曜日のダウンタウン』くらいだ。

かつて『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)に勢いがあった頃は同じようなドッキリを作ったが、仕掛け人のロンドンブーツ1号2号・田村淳がコントロールする形で企画を成立させていた。

しかし、「リアル人生すごろく」はあくまでクロちゃんが巻き起こす、偶発的な笑いで構成。完全にクロちゃん任せでギャンブル的な企画なのに、スタッフの巧妙なドッキリの作り込みで、番組として成立させる荒業を見せた。

数多く作られてきたドッキリの進化系であり、『水曜日のダウンタウン』が新たな歴史を作ったと言える。

◆最後はプロポーズして玉砕した「リアル」な人生すごろく

そんな「リアル人生すごろく」は、最終的に交際相手のリチにプロポーズして終結するのだが、クロちゃんに対して鬱憤が溜まっていたリチの感情が爆発し、結婚どころか破局する結末を迎えた。

スタッフはリチから不満を聞いていなかったと説明したが、クロちゃんの部屋に番組がつけたカメラがあるので、なにか不穏な空気は感じていたのだろう。クロちゃんの性格を知り尽くしたスタッフが、巧妙にバッドエンドに導いたのではないかと思う。

しかも、すぐれたプレイヤーであるクロちゃんは、最終的にスタッフへ「どう責任とってくれんだよ」とブチキレ破局をエンタメ化することに成功。結果、恋人同士の悲しい別れのはずが、なぜか笑ってしまう映像に仕上げた。クロちゃんを信じ、抜群におもしろいオチに導いた番組スタッフは神がかっていると言える。

◆この後も話題の企画が控える『水ダウ』が今年も一人勝ち

現在、規制が厳しくなったテレビのバラエティ番組はつまらなくなる一方だ。NetflixやAmazonプライムビデオでも秀逸なバラエティを配信し、おもしろいことは配信番組でやる風潮ができつつある。今年は、ダウンタウン・松本人志が復帰の場をネットに求めることを公表している。

そんな中で、規制をかいくぐりながら孤軍奮闘し、新たな笑いを『水曜日のダウンタウン』は作り続けていることを今回の「リアル人生すごろく」で証明した。

同番組には、昨年末に話題となった「電気イスゲーム」も、いまだに千原ジュニア、FUJIWARA藤本、今田耕司、東野幸治の戦いが放送されず温存されている。

他のバラエティ番組が同じことを繰り返している中で、常に進化を続ける『水曜日のダウンタウン』が2025年も一人勝ちすることになりそうだ。

<文/ゆるま小林>

【ゆるま 小林】
某テレビ局でバラエティー番組、情報番組などを制作。退社後、フリーランスの編集・ライターに転身し、ネットニュースなどでテレビや芸能人に関するコラムを執筆

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