2月に下がりやすい業種は?
2月相場は、3月決算企業の決算を控えて利益確定売りが増えるため、株価が下落する傾向にあるといわれています。今回は、値動きが激しい2月相場の中でも特に、株価が下がりやすい傾向にある銘柄をご紹介します。株価が下がりやすい銘柄を事前に知っておくことで、不用意に損失を被るリスクを回避できるでしょう。今回は、2月の株式相場においてどのような業種が下がりやすいのか、日経平均採用銘柄(225銘柄)の過去の株価データから統計的に検証してみました。
■検証対象:日経平均採用銘柄(225銘柄)
■検証期間:2000年1月1日〜2024年12月31日
■1銘柄当たりの投資金額:20万円
■買い条件:1月末の寄り付きで買い
■売り条件:25営業日経過後の翌営業日寄り付きで売り
1月末にある業種の銘柄をすべて購入し、25日経過後に売却した場合について検証を行います。検証対象の業種の勝率が50%以上で損益がプラスならば、2月は株価が上がりやすく、逆に勝率が50%未満で損益がマイナスならば、株価が下がりやすい月となります。
以上のルールで過去のデータを用いて検証した結果は、以下の通りです。
2月相場の業種ワースト3
検証の結果、値動きが激しい2月相場の中でも、特に勝率の低かった業種を順に紹介します。
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1位:繊維(4銘柄)
勝率:39.58%
勝ち数:19回
負け数:29回
引き分け数:2回
平均損益(円):-4,058円
平均損益(率):-2.03%
平均利益(円):8,856円
平均利益(率):4.43%
平均損失(円):-12,800円
平均損失(率):-6.40%
合計損益(円):-202,921円
合計損益(率):-101.46%
合計利益(円):168,265円
合計利益(率):84.14%
合計損失(円):-371,186円
合計損失(率):-185.60%
PF(プロフィット・ファクター):0.453
平均保持日数:26.80日
2位:建設(9銘柄)
勝率:44.70%
勝ち数:97回
負け数:120回
引き分け数:4回
平均損益(円):-2,071円
平均損益(率):-1.04%
平均利益(円):13,019円
平均利益(率):6.51%
平均損失(円):-14,337円
平均損失(率):-7.17%
合計損益(円):-457,661円
合計損益(率):-228.84%
合計利益(円):1,262,837円
合計利益(率):631.44%
合計損失(円):-1,720,498円
合計損失(率):-860.28%
PF(プロフィット・ファクター):0.734
平均保持日数:26.80日
3位:小売業(10銘柄)
勝率:51.63%
勝ち数:111回
負け数:104回
引き分け数:1回
平均損益(円):-316円
平均損益(率):-0.16%
平均利益(円):12,813円
平均利益(率):6.41%
平均損失(円):-14,331円
平均損失(率):-7.17%
合計損益(円):-68,160円
合計損益(率):-34.08%
合計利益(円):1,422,285円
合計利益(率):711.17%
合計損失(円):-1,490,445円
合計損失(率):-745.25%
PF(プロフィット・ファクター):0.954
平均保持日数:26.80日
以上が、2月相場で不調だった3業種の検証結果です。検証結果を見てみると、小売業は勝率が50%を上回ったものの、その他は勝率が50%以下です。3業種共に1トレード当たりの平均損益もマイナスになっています。したがってこの3業種は2月に下がりやすい傾向があるといえるでしょう。
2月相場の低成績ランキング
では最後に、これらの業種の中でも特に下落傾向が強く、2月相場で軟調に推移する傾向がある銘柄をご紹介します。表は、先ほどの検証において、勝率50%以下の銘柄のランキングです。平均損益がマイナスの銘柄が多く、2月に繊維、建設、小売業といった業種の銘柄をトレードする際は注意が必要でしょう。
株の売買を行う前に今回のように簡単な検証を行うことで、その投資がどの程度リターンを期待でき、どの程度リスクがあるのか、事前に把握できます。検証を行ってから投資すれば、きっと安心感が違うことでしょう。皆さんも投資する際には一度検証してくださいね。
※このテーマでの検証については、【システムトレードの達人】を使って検証しています。記事の内容に関しては万全を期しておりますが、その内容の正確性および安全性、利用者にとっての有用性を保証するものではありません。当社および関係者は一切の責任を負わないものとします。投資判断はご自身の責任でお願いします
文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー)
国内運用会社にて中小型株式ファンドマネージャー兼アナリストを経て独立。個人投資家に分かりやすく株式投資を伝授すべく、講演や執筆を行う。『夕刊フジ』3年連続 株-1グランプリ グランドチャンピオン。(文:西村 剛(証券アナリスト、ファンドマネジャー))
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