プロバイダ責任制限法の施行から2年超。一向に減らないネットの誹謗中傷に開示請求件数も急増中だ。だが、相手を追い詰めようと開示請求すると……地獄の蓋を開けた人の泥沼劇を渾身リポート!
◆幸せな家庭への妬みか?9歳女児に“ブス”と悪口
「バカ」「母親がヤリ〇ンで娘が可哀想」「娘も知能が低そうな底辺顔」……。
夫と9歳の娘と暮らす専業主婦の太田由美さん(仮名・36歳)は、ある日突然自身のXのアカウントに届いた匿名の悪意に身を震わせた。
「ヘイトメッセージが届くようになったのは、’23年の末から。私の投稿は、娘の寝顔や夫がプレゼントしてくれたバッグの写真などたわいもないものばかりでしたが、ひどい時には一日に10件以上もの悪口が送られてきました」
誹謗中傷は収まる兆しがなく、’24年1月半ば、太田さんは弁護士に依頼し開示請求に踏み切った。
「私だけでなく、娘まで『一重でブサイク』って誹謗中傷されたんですよ!? それが許せなくって。特に悪質な投稿を3件選び、開示請求しました。それぞれアカウントは別でしたが、文体から同一人物だと予想していました」
◆なぜか自宅に開示請求が届く…まさか夫が?
通常、開示請求された側のもとには、情報開示に応じるか否かを問う「発信者情報開示に係る意見照会書」が届く。太田さんに誹謗中傷を続けていた犯人にも書面が行くはずだったが――。
「その書類が自分の家に届いたんです。夫が悪口を投稿しているのかと疑いました」
太田さんが夫を問い詰めた。すると、さらなる衝撃の事実が判明する。
「犯人は夫の浮気相手だったんです。夫は医療施設を複数経営しているのですが、そこで法人契約しているスマホを愛人に渡していました。女がそのスマホから悪口を投稿していたので、事務所兼住まいであるウチに書類が届いたというわけです」
太田さんは自身のアカウントを削除。金輪際、浮気相手に会わないと夫にも約束させた。だが、事態はさらに泥沼化する。
「その後、自宅の前に菊の花が添えられるなど嫌がらせが続くようになりました。浮気相手は場末のスナックに勤める独身女。Xへの誹謗中傷も裕福で幸せそうな私たち家族への嫉妬からでしょう。でも、“無敵の人”だからこそ娘にも危害を加えるのではないかと心配です」
これ以上事態が悪化しないことを祈るばかりだ。
取材・文/週刊SPA!編集部
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