公表後は仕事激減も…元アイドル男子が“女性として生きていくと決めた”覚悟「偽らない自分の姿を表現していきたい」

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2025年02月07日 11:00  ORICON NEWS

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男性グループ・XOXのメンバーとして活躍したDaoさん
 女性ホルモン注射を受ける前後の姿をTikTokに公開したモデル・Daoさんの動画が、「どちらも美男美女!」「男でも努力すれば可愛くなれるって勇気づけられました」などと反響を得た。投稿者のDaoさんは、「新世代ボーイズグループ」「元祖ジェンダーレス男子」などと話題になった男性グループ・XOXのメンバーとして2015年にデビューし、アイドル活動をしていた。女性ホルモン注射を受けたきっかけやコンプレックスとの向き合い方、アイドル時代を振り返り、発信への想いを明かしてくれた。

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◆グループ卒業後に自分のあるべき姿に気づいた…「本当になりたい自分を目指していく」

――いつ頃から女性ホルモン注射を始めたのでしょうか?

【Daoさん】 本格的に打ち始めたのは2023年の下半期です。ただその後、同じ境遇の友人の悲報があり、ファンの方々から心配の声をたくさんいただき、「この選んだ道で本当に良いのか?」と気持ちの整理を一度しました。そして、その友人のためにも、同じ境遇の方やこれからの未来を担う世代の方たちのためにも、自分の経験を発信し続けたいという強い思いが芽生え、改めて2024年の春頃からホルモン治療を再開しました。

――そもそものきっかけはどういったことだったのでしょうか?

【Daoさん】 ボーイズグループ「XOX」を卒業後、自分のあるべき姿に気づきました。本当になりたい自分を目指して、日本だけではなく世界で活躍したいという想いが、今の自分の姿や生き方になったのかなと思います。

――幼少期から自身の性に対する違和感はあったのでしょうか?

【Daoさん】 幼い頃は母が日本で仕事をしていたので、私はフィリピンにいるおばあちゃんや親戚のみんなと暮らしていました。周りの友達には女の子が多く、子どもながらも性別に関係なく、自分を表現している友達もたくさんいたので、私もあまり性別に拘った生活はしていなかったと思います。

――男の子っぽさもあまりなかった?

【Daoさん】 自分が好きな遊び方やファッションは、幼い頃から性別関係なく取り入れていたので、違和感は特にはありませんでした。ただ、男の子が好きになるような『仮面ライダー』などのジャンルに興味を全く抱かなかったのは、自分を男の子という性別で見ていなかったからなのかなとも思います。

◆偽りの自分を演じることへの葛藤も…公表後は仕事が激減、人と会うのが怖くなった

――アーティストやモデルとして表舞台で「男性」として活動していく中、女性ホルモン注射を始めることに対して、事務所や家族などからの反対はなかったのでしょうか?

【Daoさん】 本当に周りに恵まれていて、ホルモン注射を始めることに対して、反対はされませんでした。私は性別よりも「私にはこの仕事しかない!」「この仕事が大好き!」という想いや、表現できる場所がたくさんあることへの喜びで、10代から活動してきました。ただ、その頃から、周りや世間からは「ゲイっぽいよね」とか「オカマ?」と言われることもありました。

――そういった言葉に振り回されてしまったこともありましたか?

【Daoさん】 男らしく振る舞ったり、声を低くしてみたり、いろいろと試してみましたが、それは本当の自分ではなく、偽った表現でしかありませんでした。当時はトランスジェンダーという言葉が馴染みのない時代でしたが、いまはLGBTQという当事者をわかりやすく表現した言葉が浸透してきたことで、自分を表現しやすくなりました。

――ソニー・ミュージックからCDデビューし、メジャーシーンで活動していたこともあり、かつての姿がネット上にも溢れています。ご自身の姿を嘘偽りなく見せることへの抵抗などはありますか?

【Daoさん】 過去の経歴で認知していただいていたり、昔の姿の方が好きな人がいるのも理解しています。私がトランスジェンダーだということを発表した当時は、心無い言葉や否定的な声もたくさんあったのは確かですし、離れていく方も少なくはありませんでした。だから、このまま偽って、SNSやメディアでは今まで通りにしたほうが良かったのかなと涙が止まらない日々もありました。

――いろいろと弊害もあったと?

【Daoさん】 仕事が激減したり、人と会うのが怖くなってしまったり…。でもそれ以上に、家族や友人、本当に心から好きでいてくれるファンのみなさんの言葉が、私の心に響いて救ってくださり、偽る必要がないと教えてくれました。男性として生きてきたことも私にとっては大事な時間だったので、これからも偽らない本当の自分の姿をたくさんの方に認知していただけるように、そして心無い言葉ではなく心温かい言葉が溢れる世の中にしていけたらなと思っています。

◆“言葉にしなくても”理解してくれたメンバーたち「自分らしさは簡単には見つからない」

――グループ解散時には「青春を捧げてよかった」と言っていたかつての仲間である“XOX”のメンバーに、ご自身のことを話したり、相談したりしたことはあったのでしょうか?

【Daoさん】 家族や友達以上に一緒に過ごす時間が長くなり、メンバー全員に自分から話したというよりは、“言葉にしなくても”私を理解してくれたことが大きかったです。家族であり、戦友でもある仲間として共に過ごしたこのメンバーだったからだと、心から思います。そして、いつもそばにいてくれたアンキス(ファンネーム)のお陰で、当時から自分らしくいられたと思います。

――TikTokでは、「私自身もコンプレックスもあるけれど、それを武器に変えた」「昔も今も心から自分を愛してます」とコメントしています。コンプレックスを乗り越え、それを武器に変えるのは、容易なことではありません。コンプレックスとの向き合い方を教えてください。

【Daoさん】 これだけSNSが栄えると、ほかの人を見る機会が増え、「可愛い」「かっこいい」「綺麗」など、比較の対象が自身のコンプレックスに繋がる部分も少なからずあると思います。でも、その方を真似しても本人には絶対になれないので、それを活かしつつ自分のスタイルを見つけていくことが武器になる。「人は人。自分は自分。これが私」。このマインドが大切だと思います。

――ジェンダー平等が掲げられる現代では、誰もが自分らしく生きることへの理解も深まりつつあります。Daoさんが自分らしさを表現する上で大切にしていることはありますか?

【Daoさん】 “自分らしさ”はそう簡単には見つからないと思っています。身を削ることもあったり、日々の生活を少しずつでも変化させていくことにより発見できることで、1つひとつのパズルがハマった時に、「これが自分だ」に変わると思います。それと「愛を忘れないこと」です。愛で救われるし、愛で傷つくし、愛という形は無限にある。目に見えるもの、見えないもの、心で感じるもの、体で感じるもの。さまざまな愛で人は成長するということもすごく大切にしています

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