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日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが新作映画をレビューする『高橋ヨシキのニュー・シネマ・インフェルノ』。安楽死を望む女性の最後の数日間を描いた珠玉のドラマ!
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『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』評点:★2.5点(5点満点)
「理想的な死に方」を選べる贅沢
ティルダ・スウィントン扮する戦場ジャーナリストの女性マーサは、末期がんの治療を中止して、密かに入手した薬を用いての〈安楽死〉=〈自死〉を迎えようと考えている。
彼女が最後の日々を共に過ごすよう依頼したのはジュリアン・ムーア演じるイングリッドという売れっ子作家。マーサは金持ちの別荘をレンタル、緑に囲まれた美しく豪華な家で残された時間を過ごすことにするのだが、「そのとき」にイングリッドに「隣の部屋」にいてほしい、というのである。
その条件が映画の題名にもなっている。端正な映画であり、主演の二人の醸し出すキャラクターのニュアンスも繊細で、その意味で「見事に作られた作品」ではある。しかし本作には意外性がない。
70代なかばに達したペドロ・アルモドバル監督が、「死」をテーマにした作品を作るということもそうだし(そこに「安楽死」というホットなトピックを投入していることも含め)、知性あふれる二人の女性が交わす会話の数々も、彼女たちの思考の流れも、どれも収まるべきところにしっかり収まっていささかも逸脱しない。
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賢く裕福な女性がラグジュアリーな環境で美しい死を迎えるのを観たい人にだけおすすめしたい。
STORY:かつて戦場ジャーナリストだったマーサと小説家のイングリッドは親友同士。何年も音信不通だったマーサが末期がんと知ったイングリッドは、マーサが借りた森の中の小さな家で最後の数日間を共に過ごすと決めるのだった
監督・脚本:ペドロ・アルモドバル
原作:シーグリッド・ヌーネス
出演:ティルダ・スウィントン、ジュリアン・ムーアほか
上映時間:107分
全国公開中
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