【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。
今回ピックアップするのは、松たか子さん＆松村北斗さん共演作『ファーストキス 1ST KISS』（2025年2月7日公開）です。脚本は坂元裕二さん、演出は映画『ラストマイル』（2024）『グランメゾン・パリ』（2025）などを手がけたヒットメイカー塚原あゆ子監督。
塚原監督が坂元さんとタッグを組むのは初ですが、素晴らしいラブストーリーでこれが抜群によかった〜！ では、物語から。
【物語】
結婚して15年、カンナ（松たか子さん）は夫の駈（松村北斗さん）を列車の事故で亡くします。いつしか夫との仲は冷め切っており、お互いに離婚を考えていたときに突然、永遠の別れがやってきたのでした。
しかしある日、カンナは不思議な現象に巻き込まれ、15年前にタイムスリップします。彼女はそこで結婚前の駈と出会い、再び彼に恋をするのです。
|
|
|
|
【冷めた夫婦生活のリアル】
駈の事故はカンナと彼が離婚届を提出しようとしていた日に起こります。冒頭から冷め切った夫婦関係にモヤモヤしているふたりですが、出会って、お付き合いして、プロポーズして、夫婦になるプロセスはとても幸せそうで、まさにラブラブカップルなんですよ。
しかし、生活を重ねていくうちに少しずつ心がずれていく……。新婚のラブラブなんて長く続くもんじゃないとは思いつつ、結構リアルに描かれているので、ふたりの関係が崩れていく様子はちょっと胸が痛くなりました。
【ファンタジーがふたりの愛を蘇らせる！】
駈が亡くなったあと、呆然とした日々を過ごすカンナですが、ある日、不思議な現象に遭遇して、15年前にタイムスリップ。アラフォーのまま過去に戻った彼女は、駈と出会う前だと知り、過去を変えようとします。
それは駈の事故死を防ぐため。やがてそれは自分と恋に落ちないように、夫婦になる未来を阻止する行動になっていきます。
彼に生きていてほしいから、何度も現在と過去を行ったり来たりして出会わないように画策するのです。でも、そうやって彼と会うたびにカンナは再び駈にどんどん惹かれ、彼もカンナに惹かれていく。つまりアラフォーのカンナと20代の駈が2度目の恋に落ちるんですよ〜。
|
|
|
|
ふたりの過去の出会いはコミカルなタッチで描かれ、くすくす笑いが止まらないんですが、お互いが惹かれあっていくのもすごく伝わってくるので、笑いながらもドキドキが止まらないんです！
【後半は感動の涙が止まらない！】
ネタバレになるのでその後の展開はぜひスクリーンで見ていただきたいのですが、号泣すること必至。特に駈のセリフが素晴らしくて……。あんなこと言われたら、もうたまりませんよ！
【演出・脚本・俳優の魅力、全ての歯車がカチッとあった！】
日常のリアルを切り取りながらファンタジーへと転換していく坂元さんが描くセリフと、現実と非現実を見事に調和させた塚原あゆ子監督の手腕もお見事。そして何より素晴らしかったのは主演のおふたり！
松さんは坂元さんが脚本を手がけたドラマ『カルテット』（2017/TBS）『大豆田とわ子と3人の元夫』（2021/フジテレビ）に出演しており、いずれも大好評。坂元脚本と相性の良い俳優で、今回も可愛い大人女性の魅力を炸裂させていました。
松村さんは、坂元さんの脚本への出演は初ですが、想像をはるかに上回る相性の良さ。さまざまな表情をこの作品で見ることができ、改めて役への解釈が深く、器用な俳優だと思いました。松村さん、本当に輝いてた〜！
|
|
|
|
もう2025年のラブストーリーNo.1かもしれないくらい大好きな映画『ファーストキス 1ST KISS』ぜひ、皆さんにも見ていただきたいです！
執筆：斎藤 香(c)Pouch
『ファーストキス 1ST KISS』
2025年2月7日（金）より全国ロードショー
監督：塚原あゆ子
脚本：坂元裕二
出演：
松たか子 松村北斗
吉岡里帆 森 七菜
YOU 竹原ピストル 松田大輔 和田雅成 鈴木慶一 神野三鈴
リリー・フランキー
配給：東宝
（c）2025「1ST KISS」製作委員会
エンタメ
