3歳クラシックに向けて重要な一戦となる、GIIIきさらぎ賞(京都・芝1800m)が2月9日に行なわれる。
京都競馬場の改修工事によって2021年〜2023年まで中京競馬場(芝2000m)で行なわれていたが、昨年から本来の京都・芝1800mの舞台に戻って施行されている。厳冬期という時期的なものもあってか、例年出走頭数はそれほど多くない。そうしたなか、過去10年で1番人気は4勝、2着1回、3着2回と、まずまずの成績を残している。
ただし、伏兵の台頭もしばしば見られ、時に波乱も起こっている。日刊スポーツの奥田隼人記者もこう語る。
「(きさらぎ賞は)出走頭数が少ないレースで、昨年の12頭立てが過去10年では一番頭数がそろっていました。そんな少頭数のレースですが、意外にも"ヒモ荒れ"から高配当まで狙えるレースといった印象があります。
実際、昨年は10番人気のウォーターリヒトが2着に入ってヒモ荒れ。2019年には3番人気のダノンチェイサーが勝利し、2着に6番人気のタガノディアマンテ、3着に7番人気のランスオブプラーナが入って、3連単は14万円超えの高配当となりました。
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また、2020年には7番人気のコルテジア、2017年には6番人気のアメリカズカップが勝って波乱を演出。少頭数だから"荒れない"という先入観は捨てて、積極的に穴馬探しに徹してもいいレースだと思っています」
そして今年も、再び少頭数の10頭立て。そのうち、2勝馬はジェットマグナム(牡3歳)のみ。ほか、サトノシャイニングが前走のGII東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)で2着になって賞金を加算しているが、それ以外は皆、収得賞金は横並び。実績面での差はほとんどなく、どの馬にもチャンスがありそうだ。
陣営にとっても、クラシックへ駒を進めるうえで力の入る一戦。たとえ人気薄でも、ここに照準を合わせて万全の仕上げで臨んできた馬が、思わぬ激走を果たしてもおかしくない。
そこで、奥田記者も大駆けが期待できる伏兵を推奨馬に挙げる。
「まず気になるのは、ウォーターガーベラ(牝3歳)です。
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昨夏の新馬戦(2着。8月18日/中京・芝1600m)でデビューし、2戦目の未勝利戦(9月14日/中京・芝1600m)で勝ち上がり。その後は、GIIIファンタジーS(11月2日/京都・芝1400m)13着、1勝クラスのつわぶき賞(12月7日/中京・芝1400m)7着と、距離を短縮したレースで振るいませんでしたが、年明け初戦、距離をマイルに戻した前走のGIIIシンザン記念(1月13日/中京・芝1600m)で、ブービー人気(14番人気)ながら後方から鋭く伸びて3着と好走しました。
振り返れば、新馬戦ではのちにGI阪神ジュベナイルフィリーズ(12月8日/京都・芝1600m)で2着となったビップデイジーにコンマ2秒差の2着。持ち味の末脚を存分に生かせるマイル戦では、3戦すべてで馬券に絡んでいます。その脚質から、距離延長で初の1800m戦もマイナスよりプラスのほうが大きいと感じています」
父レイデオロ、母父ヴィクトワールピサという血統からしても、1800mへの距離延長は申し分ないところだろう。
「管理する河内洋調教師も、『前走もよく伸びてきている。もともと走る馬だけど、敗れた時は道悪や目の外傷もあったからね。1800mも大丈夫だと思う』と、同馬へ期待を口にしていました。
半兄のウォーターリヒトが昨年、シンザン記念3着(17着人気)から、という同じローテーションで2着(10番人気)と好走。好配当をもたらしました。同様の道をたどる妹にも注意が必要でしょう」
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奥田記者はもう1頭、注目している馬がいるという。
「スリーキングス(牡3歳)です。
昨夏の新馬戦(9月15日/中京・芝2000m)で勝ち上がって、2戦目でGIII京都2歳S(11月23日/京都・芝2000m)に挑戦して5着。続く3戦目は年明けの1勝クラス(1月5日/中京・芝2000m)に臨んで6着でした。その戦績からすると狙いづらいかもしれませんが、2走前の重賞での内容は悪くありませんでした。
勝ったエリキングとはコンマ5秒差。2着ジョバンニ、3着クラウディアイが続くGIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)でも2着、5着と奮闘していて、レベルの高いメンバー相手に善戦していたことは明らか。ならば、スリーキングスを評価しない手はありません。
同馬を管理する上村洋行調教師も、『良化途上で重たさがあった前走よりも、今は軽い走りになっているし、よくなってきていると思う。京都2歳Sは追い出しがワンテンポ遅れたし、エリキングについていく形なら差はなかったと思う。ここで賞金を加算して、クラシックに向かえれば』と意気込んでいます。
戦ってきた相手や上向きな状態面を考えれば、ここでも侮れない存在だと思います」
奥田記者がピックアップした、人気の盲点となっている2頭。それぞれ、重賞で見せた走りをここでも再現できれば、好勝負は必至。好配当を狙うなら、無視できない存在ではないだろうか。